筑波大学(つくば市天王台)で毎年5月末に催される学生イベント「やどかり祭」の中止が決定された。同大の宿舎祭実行委員会(望月圭委員長)が主催する春の風物詩的イベントで、新入生らがクラスごとに屋台を出店し、親睦を深める祭りだ。コロナ禍で昨年に引き続き2年連続の中止が決まり、祭りは存続の危機にある。
「やどかり祭は新入生同士が絆を深める大事なイベント。延期やオンライン開催の可能性をギリギリまで模索したが、準備期間の短さと委員の人員不足から断念した」と話すのは、同実行委員長で応用理工学類3年の望月圭さんだ。
昨年のやどかり祭が中止になって以降、実行委では規模を大きく縮小し感染対策を徹底することで、現地で開催することを目指していた。しかし新型コロナの感染拡大は続き、同大学生課からも対面での開催に難色を示された。実行委でもオンライン開催や延期など、別の方向性を探ろうとしたが「いずれも難しい」と断念した。

背景にあるのは、授業のオンライン化に伴って生じた活動の難しさだ。同大は昨年度、一部の授業を除き全面的にオンラインで講義を行う方針を取った。そのため、新入生が大学に来る機会はほとんどなかった。
望月委員長は「昨年は新入生がほとんど大学に居なかったこともあって、勧誘の機会が失われ、実行委員会に加入する学生も大きく減った。コロナ禍のさなかに入学した現在の2年生の委員は10数人ほど。例年であれば1学年で40人強の委員がいるから、コロナ禍で入った委員は例年の半分以下ということになる」と語る。
この状況が続けば、やどかり祭そのものの存続も危ぶまれるという。「今年も勧誘がうまくいかなければ、実行委員会の体制は維持できない。2年連続の中止でさらに勧誘がしにくくなった。『今年は中止だが来年なら開催できる』という保証はどこにもなく、『祭りの運営をしませんか』と新入生を誘うことは難しい。このままでは先細り。近いうちにやどかり祭はもう開催できないということになったとしても不思議ではない」と望月委員長。

副委員長で比較文化学類3年の樋口将也さんは「大変な状況であることは間違いないが、やどかり祭は多くの筑波大生にとって大切な思い出。それを無くしてしまうというわけにはいかない。今年度はまずは勧誘に力を入れ、実行委員会体制の維持を目指す」と語る。
危機的状況だが、希望もある。「もし来年度以降、祭りが実施できるならば、実際に運営する委員は『実際に自分では見たことがない祭り』を企画して実施することになる。大変なことかもしれないが、今までとは全く違うやどかり祭の可能性が開けるかもしれない。」と樋口副委員長は話す。(山口和紀)
◆やどかり祭実行委員会は新入生を募集している。詳細は公式HPへ。