【相澤冬樹】筑波大学発宇宙ベンチャー、ワープスペース(本社・つくば市吾妻)開発の超小型通信衛星が、国際宇宙ステーション(ISS)へ向かう補給船に搭載され、21日未明(日本時間)に米国から打ち上げられる。17日、常間地悟(つねまち・さとる)CEOが会見し、「県内の民間企業としては初めての衛星の軌道投入になる」と意義や狙いを語った。
21日午前2時36分、米国東海岸のワロップ島海軍基地からアンタレスロケットで打ち上げられる。補給船に搭載されるのは、一辺が約10センチ角の立方体で、重さ1.3キロの超小型衛星「WARP-01(ワープゼロワン)」。同社にとって初号機で、「日輪」の愛称を持つ。
宇宙飛行士の野口聡一さんが滞在中のISSに届けられた後、地上約400キロの低軌道に放出され実証試験に移る。放出時期は未定だが、1-2カ月の間と見通されている。常間地CEOは野口さんと同郷(神奈川県茅ケ崎市出身)で、「ぜひ滞在中に放出の機会が訪れてほしい」と話す。

同社が目指すのは、光通信モジュールを搭載した中継衛星を高度1万キロに打ち上げ、低軌道衛星のデータを受け渡す「WarpHub InterSat(ワープハブ インターサット)」というネットワークシステムの構築。地球に近すぎて通信しづらい低軌道衛星の難点を克服する「世界で初めて取り組み」だとしている。今回の実証実験では軌道やオペレーションを検証し、実用機に反映させるのが狙いだ。最長で2年間の運用を見込んでいる。
同社の目論見では、2022年に中継衛星の1号機を打ち上げ、23年に2機を追加し計3機によってネットワークを展開。地上局とユーザーの低軌道衛星との間を24時間365日にわたって常時接続できるシステムの構築を目指している。中継衛星は現在、設計に着手したところだ。
常間地CEOによれば、従来の人工衛星は数百キロから数トンのサイズのものを高度数万キロに打ち上げていたが、現在は数キロから数十キロの小型衛星を低軌道に放出するケースが一般的で、事業開発コストが大きく下がった。これにより2030年の小型衛星の数は1万2000基と、22年見込み比で1.8倍の規模まで増える見通しという。
こうした動きに伴い世界全体の地球観測市場は急速に拡大。これまでは政府機関が観測データの主要ユーザーだったが、近年は金融や流通業界に加え漁業や農業など第一次産業向けのニーズも高まっている。世界各地で頻発している山火事や洪水など大規模な自然災害の把握にも有効とされ、発生直後から撮影した映像情報を途切れることなく入手し、被害を最小限に抑制できることなどが期待されるという。
ワープスペース社は2016年設立、約3年前から光通信を利用した人工衛星向けの通信インフラ事業に取り組んできた。常間地CEOは筑波大学・同大学院卒。