土曜日, 5月 24, 2025
ホームコラム《介護教育の現場から》2 介護における外国人労働力

《介護教育の現場から》2 介護における外国人労働力

【コラム・岩松珠美】現在日本で働く外国人介護職は4つに分類される。第1分類は経済連携協定(EPA)事業の一環で、インドネシアやフィリピンなどから受け入れているEPA介護福祉士候補者。第2分類は日本の介護福祉士養成校を卒業した在留資格「介護」をもつ外国人。筆者が勤務する専門学校の学生がこの区分に該当する。

さらに、第3分類は技能実習制度を活用した技能実習生、第4分類は在留資格「特定技能1号」を持つ外国人である。いずれも、5年の日本滞在中に国家資格「介護福祉士」を取得できれば、永続的に日本で介護職としての就労が可能となる。

実際、来日の時点での日本語能力や介護知識・技術については、大きなバラツキがある。第2分類の学生たちは日本語学校で、半年から1年学び、それから介護福祉士の養成校に進学し、2年間、日本の生活文化や介護について専門的に学ぶ。

これらの学生たちに比べると、EPA候補者、技能実習生、特定技1号職は、日本語や日本文化、介護の専門的知識・技術を学ぶ時間が短く浅い。日本の日常生活に不自由しない力と介護に必要な基礎的技能に求めるラインをどこに引くのか―教育と技能訓練に対する考え方の違いに現れているように思う。

外国人介護労働力は欠かせない

茨城県労働局の調べ(2019年)によると、県内で働いている外国人労働者は約3万7千人で、茨城は全国11位である。うち医療福祉分野で働く人は670人いる。

また千葉県の外国人労働者受入施設への調査(2018年)によると、これまでに外国人介護労働者を受け入れた施設は34.1パーセント、1施設当たり1.8人。これらの数字をみると、地域での外国人介護労働力は欠かせない存在となっている。

最近訪問した土浦市内の特別養護老人ホームの施設長はこう話している。

「私たちは、EPAや技能実習での介護スタッフを採用して、衣食住環境を整え、日本語研修講座への送迎までやっています。受け入れ仲介組合に手数料や事務費を支払うと、日本人を雇用する場合の1.5倍くらいコストがかかります。施設を経営する立場では、今後どんどん外国人雇用を進めようとは思えないのが現状です」

身近な生活圏で、外国人介護職員が当たり前のように働く時代がまもなくやってくる。そういった流れの中、お互いの文化や考え方を大切にしながら、介護を受ける共生社会づくりをどう進めたらよいのであろうか。(つくばアジア福祉専門学校校長)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

0 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

食と一緒に春の恵みを楽しむ《宍塚の里山》124

【コラム・阿部きよ子】4月27日、宍塚大池の堤防で「里山の春を楽しむ会」(宍塚の自然と歴史の会主催)を開催しました。この行事は、里山の春の恵みを食と共に体験する恒例のイベントです。新型コロナウイルスのため、しばらく休んでいましたが、昨年から復活ができました。 今回は、地元の方々をはじめ、毎月東京から里山保全活動に来ている「法政大学キャンパス・エコロジー・フォーラム(キャンエコ)」の学生の皆さん、4月に新学期を迎えた「田んぼの学校」の親子受講者、雑木林の植生管理に汗を流す「里山さわやか隊」、そして会員の皆さんに加え、視察に来られていた「大阪自然環境保全協会」の方々も足を運んでくださいました。 さらに、関彰商事から3名のボランティアの方々が応援に駆けつけてくださり、機材の運搬作業や草餅づくり、天ぷらの調理など、終日大活躍してくださいました。 楽しむ会の主な内容は、野外調理、竹食器の工作、学生主体の踊り、おしゃべりなどの交流です。事前に野草の摘み取りを行い、前日には筍(タケノコ)掘り、筍の水煮、食材の下ごしらえ、水の準備などを進めました。当日は、早朝から多くの方々が機材運搬や会場設営、調理、工作指導などにご協力くださり、大変助かりました。 春の恵みとして楽しんだ料理は、筍おこわ、筍とセリ、ノビルなどの天ぷら、ヨモギやタンポポ、ハルジオンなどの山菜を乗せたお焼き(宍塚に伝わる大豆を使った自家製味噌添え)、ヨモギたっぷりの餡入り草餅、余った食材で作った炒め物など、用意した食材をすべて食べきることができました。 竹工作では、長老の3名が指導してくださり、学生たちが大きな孟宗竹の「お皿」に料理を盛り付けて食べる姿は豪快そのものでした。久しぶりに顔を見せてくださった方や、病から回復された方も参加され、あちこちで交流の輪が広がりました。 お弁当を持って散策してください 昼過ぎには、堤防の上でキャンエコの指導による踊りが披露され、青空と新緑のもと、素敵な踊りの様子が動画に記録されました。若い皆さんに加え、ベテラン会員さんも軽やかに踊っておられました。ぜひ皆さん、キャンエコ発信のYouTubeでご覧ください。 午後になると風が強くなり、軽いものが飛ばされる場面もあり、早めに帰られた方もいましたが、無事に行事を終えることができ、ほっとしています。春の一日、里山の自然の恵みを、老若男女92名が存分に満喫できました。 今回の行事は終了しましたが、皆さん、宍塚を訪れ、お弁当を持って散策してみてはいかがでしょうか。外で食べるお昼は格別です。(宍塚の自然と歴史の会 理事)

小型ロボット6台 みどりの義務教育学校に寄贈 つくばのあおぞら

茨城ロボッツの地域貢献活動で 廃棄物リサイクル会社のあおぞら(つくば市片田、藤井邦彦社長)が23日、プロバスケットボールチームを運営する茨城ロボッツ・スポーツエンターテインメント(水戸市、川崎篤之社長)の地域貢献活動を活用して、つくば市に身長20センチほどのモバイル型ロボット6台を寄贈した。6台はあおぞらの地元にある市立みどりの学園義務教育学校(山田聡校長)に寄贈される。 同日、つくば市出身の陳岡流羽(じんがおか・るう)選手(22)らが参加して同市役所で贈呈式が催された。陳岡選手は同市立桜南小、谷田部東中から土浦日大高校、白鴎大学を出て、茨城ロボッツに入団した。 地域貢献活動は「M-HOPE」と名付けられ、皆が元気になれる、皆がバスケを楽しめる、皆のチャレンジを応援する、皆で地域の未来をつくる、カラフルな社会づくりーの5つのテーマのもと、茨城ロボッツの活動やバスケットボールを通じて地域が元気になることを目指している。 寄贈されたモバイル型ロボットはシャープ製の「ロボホン」で、電話や電子メールのほか、専用のツールを使用してプログラムを作成しロボットを操作したり対話することができる。 あおぞらの藤井社長は「つくば市は人口が増え発展している地域。子供の教育に役立ててもらえればという思いで、ロボッツさんの地域貢献活動を利用して寄贈した」と話した。 ロボッツの川崎社長は「茨城ロボッツは現在、水戸市が本拠地となっているが、元々はつくばで誕生した。チームカラーのオレンジは筑波山で出来る福来みかんからとったもの。今季は15勝45敗、東地区7位と苦戦したが、つくばのためにも頑張っていきたい」と語った。 みどりの学園義務教育学校の山田校長は「寄贈されたロボットを教育の現場でさっそく活用していきたい。プログラム作成のほかにも利用方法を探していきたい」と述べた。(榎田智司)

つくバスが横断中の歩行者と接触 男性が軽傷

21日午後9時ごろ、つくば市筑穂、西大通りの信号機のある交差点で、男性が横断歩道を歩いて渡っていたところ、左折してきた同市のコミュニティバス「つくバス」と接触し、男性は右膝に軽傷を負った。 市総合交通政策課によると、つくバスは研究学園駅発とよさと病院行きの吉沼シャトル下り20便で、つくバスが交差点を左折した際、横断歩道を歩いていた歩行者に気付かず接触してしまったという。男性は市内の病院に救急搬送されたが入院などはしていない。 事故時、つくバスには乗客4人が乗車していた。乗客やバスの運転士にけがはなかった。乗客4人はそれぞれ、つくバスを運行する関東鉄道が手配したタクシーや家族の送迎、徒歩で帰宅などした。 つくバスは、同市が関東鉄道に運行を委託している。五十嵐立青市長は「相手の方にけがを負わせてしまったことに深くお詫びします。バスの乗客の方にもご迷惑をお掛けしました。再びこのような事故を起こさぬよう、関東鉄道に対し安全運行の徹底と再発防止を強く要請しました」とするコメントを発表した。

工事作業車が給水管を破損 隣接施設の風呂利用を一時停止 つくば市

八幡川河川改修工事でまた事故 つくば市北条、八幡(はちまん)川の川岸で21日正午ごろ、市内の工事業者が、市発注の河川改修工事を実施していたところ、作業車両が現場付近に埋設されていた水道の給水管を誤って破損させ、漏水が発生する事故があった。給水管は利用休止中だったが、隣接する市の市民研修センター内浴室の水道から濁った水が出て、同センターは風呂の利用を一時停止した。 市道路整備課によると、重機を搬送するトラックが、地面と同じ高さに埋まっていた水道の取水栓を誤って踏み、給水管を破損させた。給水管は4~5年前から使用されていなかった。現場では直ちに破損箇所を修理したが、破損した給水管が本管とつながっていたため、隣接の市民研修センターの浴室の水道から、さびの混じった濁った水が出て、同センターは同日正午から浴室の利用を一時中止した。 濁った水は3~4分で出なくなり元に戻ったことから、同センターは濁水が出なくなったことを確認の上、同日午後1時45分、風呂の利用を再開した。この事故で、正午から午後1時45分までの間に同センターを訪れた利用者7人のうち4人は浴室を利用できなかった。3人は再開を待って利用した。 一方、同センター近隣には民家が2軒あることから、市は民家の水道に濁水が混入してないか調査を実施、濁水が無かったことを確認した。破損した給水管は翌22日午前中に改めて復旧工事を行った。 同課によると、地面に水道の取水栓があることを工事受注業者は把握していたが、重機を搬送する作業車はリース会社のトラックだったことから、運転手が取水栓があることを把握していたかどうかは不明という。 再発防止策として市は、現場内の埋設物について再度確認を行い、必要に応じて防護措置をとらせるなど、工事現場内の安全管理を徹底するとしている。 八幡川の河川改修工事現場では4月7日にも、同じ受注業者が工事中、土の中に埋まっていた霞ケ浦用水の農業用パイプラインの接続部分がはずれ、パイプラインの水が流出して、土手の斜面の一部が崩落する事故があったばかり(4月9日付)。