【鈴木宏子】つくば市が、人口が急増するつくばエクスプレス(TX)みどりの地区に新設予定のみどりの南小学校(仮称)の建設予定地を約600メートル南に移転し、小中学校の併設校を建設することが分かった。もともとの南小予定地には学校用の屋内プールを建設する。
南小は、みどりの義務教育学校の児童・生徒数が増加し、校舎を増築しても足りなくなることから、同義務教育学校から分離新設する。開校は2024年4月の予定。
もともとの予定地は同義務教育学校から1キロほど南の約2.5ヘクタールの県有地だった。今年度当初予算で用地購入費約8億5000万円などが計上され、3月議会で可決されていた。中学校はさらに南に600メートルほど離れた別の場所に新設する予定だった。
市教育局教育施設課によると、小中一貫の義務教育学校から分離新設して学校を新設することから、小学校と中学校を別々に建設すると学習環境が大きく変わってしまい子供たちの負担が大きくなるとして、学習環境を大きく変えないため、南小の予定地を中学校の予定地に移転し、小中学校併設校とする。
新しい予定地は、常磐道とゴルフ場(つくばみらい市)などにはさまれた県有地で、準工業用地。小中併設のため面積を拡張し計約6.1ヘクタールとする。規模は特別支援学級を含め、小学校が6学年で40学級、中学校は3学年で10学級を予定している。開校時期に変更はない。土地購入費は約18億7000万円。9日開会の6月議会に提案する。
プールは市民にも開放、会議室併設
一方、もともとの予定地2.5ヘクタールは、市が予定通り県から用地を購入し、屋内プールを建設する。みどりの南小中学校のほか、近く開校しプールが設置されない香取台小学校(仮称)、研究学園小中学校(仮称)など他校の児童生徒も利用する。学校の利用がない夜間や土・日曜などは一般市民に開放する。会議室なども設置される予定で、市民が利用できるという。
プールも、みどりの南小中学校と同じ24年4月までのオープンを目指す。
産廃施設近く議会から懸念
南小のもともとの予定地は、つくばエクスプレスの線路をはさんでつくばみどりの工業団地に隣接している。産業廃棄物処理施設が近くに立地しており、予算を審議した市議会3月議会では「小学校用地は産廃施設が目の前にあること、高圧電線の下に位置する場所であるため、地元からは教育環境として問題があるのではという心配の声が上がっている」などとして、環境調査や有害物質の有無についての検査を実施し、地元住民が安心して子供たちを学校に通わせられる教育環境を整備するよう求める意見が一部議員から出ていた。
すでに立地している産廃処理施設の近くに学校を新設する場合、規制はない。一方、県廃棄物処理施設設置の事前審査要領では、今回とは逆の廃棄物処理施設を後から設置する場合、住民説明会の開催や敷地境界から300メートル以内の土地所有者の同意などが必要とされている。
もともとの南小予定地が産廃施設に近いことについて市は、今回の移転とは関係ないとしている。