金曜日, 3月 13, 2026
ホームつくば「常陽新聞がなくなり市民が失ったもの」 茨城大生が土浦シンポで問いかけ 

「常陽新聞がなくなり市民が失ったもの」 茨城大生が土浦シンポで問いかけ 

【崎山勝功】メディア論の村上信夫茨城大学人文社会学部教授が指導するゼミ主催のシンポジウムが25日、土浦市の亀城プラザで開かれた。土浦・つくばを本拠に活動した地域紙「常陽新聞」が2017年3月に事実上の廃刊をしてから3年を迎えるのを前に、「新聞廃刊のインパクト―常陽新聞がなくなり市民が失ったもの」を掲げての開催で、市民や報道関係者ら約40人が参加した。

集会の第1部では、学生たちが紙面を読み、読者らへの聞き取りを通じ行った調査研究が発表された。地域紙が廃刊することで報道の監視が及ばないエリアが生じることを「取材空白カテゴリー」と定義した上で、同紙が手厚く報じていた土浦など県南地域の①市政②事件事故③街ネタ-の3分野を中心に検証した。

市政では、地域紙の機能の一つに、全国紙や県紙があまり取り上げない市政の問題を取り上げる「報道機能補完」があるが、同紙廃刊で「市政の問題を市民が知る機会が減ったと考えられる」と言及した。

事件事故では、同紙では窃盗事件などの軽微な事件事故の記事が多い特徴を踏まえ「市民への注意喚起や犯罪の抑制効果につながると考えられる」と指摘した。

街ネタでは、土浦市立真鍋小のお花見集会や土浦駅前ハロウィンイベントなどを例に挙げ「地域のコミュニティー形成の要だった」と結論づけた。

パネル討論で話すゲストたち=同

「取材空白域」の出現を危惧

第2部のパネル討論では、朝日新聞東京本社編集局の伊藤宏地域報道部長代理が、水戸総局長時代に発生した八千代町での選挙違反事件に触れ、同社記者の取材に八千代町議経験者が「警察に呼ばれることは無かった。マスコミも取材に来ることも無く怖くなかった」と話し、茨城県内にも報道機関の監視の目が届かない「取材空白域」が出現している現状を明かした。

集会後取材に応じた村上教授は、常陽新聞廃刊をテーマに取り上げた理由を、地元の新聞廃刊を学問的に取り上げる必要を感じていたところに、昨年のゼミ生が「常陽新聞廃刊をテーマに卒業論文を書きたい」と申し出たのがきっかけに始まった。村上教授は、複数の常陽新聞関係者から「論文にしてもらえないか」という申し入れがあったと言い、今後も研究を続ける可能性を示唆した。

同ゼミ所属の3年生、久保葵さん(21)によると、19年5月ごろからテーマを決めて、同年6月から今年1月まで常陽新聞関係者5人を含む計32人にヒアリングを実施したという。久保さんは、常陽新聞廃刊により行政監視機能や防犯機能、地域コミュニティー形成機能が失われる危機感を研究発表で提示した上で、「新聞が無くなって本当に困らなかったのか、訴えたくて土浦でシンポジウムをした」と語った。

➡常陽新聞廃刊に関わる過去記事はこちら

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がん治療で読んでおきたい本《ハチドリ暮らし》59

【コラム・山口京子】がん治療をする上で知っておきたい情報が整理されている3冊の本を見つけました。 最初のお勧めは「国立がん研究センターの がんになったら手にとるガイド」(国立がん研究センター・がん対策研究所著、小学館クリエイティブ)です。がんと診断されてからの検査、治療、生活、仕事、お金、体験談などがまとめられており、これからどうなるのだろうという不安に対して、見通しを立たせてくれる本です。 次のお勧めは「専門医が教えるガン克服の21カ条 ガンとわかったら読む本」(佐藤典宏著、マキノ出版)です。医師からがんと告知されたあと、患者本人がどのような選択をするのかによって治療の進展が違ってくるので、標準治療、非標準治療、西洋医学、東洋医学などにこだわらず、自分がよいと信じる治療法を組み合わせることがよいと書かれています。 また、告知されたときに知っておくべきこと、手術前にしておくべきこと、手術後に心がけるべきことなど、貴重なアドバイスが載っています。 恐ろしい「多重複合汚染」 3冊目は「がん患者3万人と向きあった医師が語る正直ながんのはなし」(西尾正道著、旬報社)です。この本では、がんと医療の問題を考える一つのきっかけとして、近藤誠医師(がん放置療法の提唱者)の主張の誤りを指摘しつつ、日本の医療の問題点を述べています。 また、放射線によるがん治療の意義と今後のがん医療の在り方、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)が日本の医療や食物の安全に与える影響、福島原発事故による放射性物質が健康に与える影響、低線量被ばくがもたらす健康被害などが語られます。 さらに、化学物質と放射性物質の「多重複合汚染」が子どもの発達障害の原因ではないかとの脳神経科学者・黒田洋一郎氏の指摘を読むと、がんの増加やさまざまな病気の原因に「多重複合汚染」があるのではないかと考えてしまいます。そして、放射線の核種と線量の公開を求めるなど、福島原発事故対策のあり方を明記しています。 1945年の原爆投下以来2000回以上と言われる核実験、チェルノブイリ原発事故、福島原発事故などで、健康被害が静かに進行しているのでは!(消費生活アドバイザー)