日曜日, 12月 21, 2025
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「もうかる農業」で注目 つくばのワールドファームが農水大臣賞

【鈴木宏子】つくば市谷田部に本社がある農業生産・加工業「ワールドファーム」(上野裕志社長)が、2019年度6次産業化アワード(6次産業化推進協議会主催)で最優秀の農水大臣賞を受賞することが決まった。2月20日、都内で表彰式が催される。「もうかる農業」のビジネスモデルを確立し、注目されている農業法人だ。

野菜を露地栽培し、カット野菜や冷凍野菜に加工して販売する「もうかる農業」を全国展開している。「アグリビジネスユートピア構想」を掲げて農業の担い手を積極的に育成し、耕作放棄地の活用や農産物の国産化などに取り組んでいることなどが評価された。

2000年に創業。現在、つくば市など県内のほか、秋田県から熊本県まで10県の14カ所に計約300ヘクタールの農地を借り受け、平均年齢30歳のスタッフ約70人が、主にキャベツ、ホウレンソウ、ゴボウ、コマツナの4品目を栽培している。農業と加工を組み合わせ、農作業の無駄を省いて効率を高め、収益をアップしたのがもうかる農業のビジネスモデルだ。

加工工場でキャベツをカットするスタッフ(ワールドファーム提供)

働き方は「晴耕雨工」

野菜を加工することで付加価値を高めたほか、農業は天候に左右されることから、晴れた日は農業をし、雨の日は工場で加工するなどして人件費の無駄を省いた。畑は工場から半径10~15キロ圏内とすることで輸送コストを削減。収獲する野菜は、従来なら大きさや見栄えが規格品の対象外のため廃棄していたものを加工用にすることでロスを無くすなど、作業を徹底的に効率化した。さらに畑を全国各地に確保してリスクを分散したり、産地間リレーをして年間を通して安定量が生産できるようにした。

スタッフは全員を正社員として雇用し、7~8年で一人前の担い手に育てる教育プログラムを導入している。非農家出身者がほとんどで、新規就農意欲が高い若者が全国から集まってくるという。

販路は、近年、加工野菜の需要が増え、さらにコンビニや外食産業、冷凍食品業界などが野菜の国産化を求めている背景から、現在の年間生産量約7000トンに対し18倍もの引き合いがあるという。

農業への参入を計画している企業と合弁会社をつくって、もうかる農業のビジネスモデルを展開したり、農業者として地域で独立した元スタッフと連携した事業も始まっており、今後も事業を拡大していく方針だ。

上野社長は「大変名誉な賞をいただいた。この賞に恥じないように全国でもっと担い手育成をしながら、若い人たちの就農を目指しながら、展開を頑張っていきたい」と話す。

ワールドファームのスタッフ(同社提供)

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高校生が江崎玲於奈賞受賞者と科学交流 つくば

探究活動や課外研究で科学の実験などに取り組むつくば市内の高校生が実験成果を発表し、顕著な研究成果を上げ江崎玲於奈賞を受賞した研究者から講評を受けたり、直接会話して懇談する「科学交流会」が19日、つくば国際会議場(つくば市竹園)で開かれた。昨年に引き続き2回目の開催となる。 茨城県科学技術振興財団(つくば市、江崎玲於奈理事長)とつくばサイエンス・アカデミー(つくば市、江崎玲於奈会長)が主催し、関彰商事が協賛した。 発表したのは、並木中等教育学校、茗溪学園中高、つくばサイエンス高、竹園高に通う高校生9人。講師を務めたのは、省電力で高性能な次世代のメモリ素子開発に可能性を開く研究で2023年にで江崎玲於奈賞を受賞した理化学研究所の十倉好紀さんと于秀珍さん。于さんは初の女性受賞者だ(23年11月20日付)。 並木中等教育学校高校2年の中島桃花さんは、「光の波長におけるイースト菌の代謝制御への影響」を発表。パンを作る際に欠かせないイースト菌に可視光を当てると、波長によって発生する二酸化炭素の量や、細菌などの微生物がシャーレなどの上で増殖してできるコロニーの数が異なることに着目した。グルコース(ブドウ糖)の消費量を調べることで、その原因を探った。 茗溪学園高2年の秋山茉白さんは、食品添加物として使用されるグリシンが、細菌のストレス耐性に及ぼす影響について調べた。 つくばサイエンス高1年の飯岡玲菜さんと染谷千穂さんは、水道から流れ出る水を2リットルのペットボトルに入れた際の音の変化について、注水の様子を撮影した動画と音声編集ソフトを用いて分析した。 生徒たちの実験結果に対して講評に立った十倉さんと于さんは、「レベルの高い研究発表」「面白い研究」などと感想を述べたほか、「論拠をしっかり書く必要がある」「科学では、どのくらいなのかを具体的に説明しなければならない」などと、生徒らにアドバイスを送った。 つくばサイエンス高の飯岡さんは「発表はとても緊張した。(講師や他の生徒からの質問は)とても勉強になった。答えられなかったところもあったが、これからの活動に生かしていきたい」と話した。また、飯岡さんとともに登壇した染谷さんは「今回の経験を生かして、2年次に向けて、より完成度の高いものにしていきたい」と意気込みを語った。 イベントにビデオメッセージを寄せた江崎理事長は、「参加する高校生の皆さんは、日頃から探究活動や課題研究に取り組んでおられると伺っている。これからの時代を担う皆さんが科学に興味を持ち、研究を行うことは大変素晴らしいこと。本日の科学交流を通じて創造力をさらに高め、研鑽(けんさん)を深めて、今後の活動に生かしていただきたい。本日参加している高校生の皆さんの中から、いつか江崎玲於奈賞の受賞者が出ることを願っています」と、科学に打ち込む生徒たちに言葉を送った。(柴田大輔)