畑違いの植物工場建設へ 土浦の電気設備業が農業参入

植物工場の栽培ベッドの写真を説明する植田社長㊧と工場長に就任予定の辻井康介さん=土浦市のTEC本社

【相澤冬樹】電気設備業のつくば電気通信(TEC、土浦市東若松町、植田利収社長)が、畑違いの農業分野に参入する。全額出資の子会社、ベジタブルテック社により、完全閉鎖型の最新植物工場を那珂市に建設する。工場は4月にも着工し、来春の完成時には日量1280キロのリーフレタスを生産・出荷する計画だ。

リーフレタスを毎日6400個

植物工場建設には事業費約13億円を投じる。すでに那珂市堤に5600平方メートルの用地を確保しており、約2000平方メートルの建屋を建設する。工場内には最大で20メートルの長さの「栽培ベッド」が横に16列、縦に8段設置される。培養液が循環し、人工照明が当てられるベッドで、レタスは種子から200グラムの大玉になるまで約40日かけて育てられる。

操業は年間365日、毎日15人程度の従業員で稼働させる。収穫などに人手が必要だが、光合成のための二酸化炭素の量やLED照明を当てる時間調整などは自動制御となる。「農家出身で農業の難しさは十分理解しているが、電気のコントロールなど技術力を武器に参入するならやっていけると思った」と植田社長。「耕作放棄地対策や食料の自給率向上など農村・農業の課題に少しずつ取り組んでいきたい」という。

同社によれば、1個200グラムの大型リーフレタスを生産する完全密閉型の植物工場としては関東初。最大日産6400個、1280キロ収穫する予定で、出荷先となる大手コンビニエンスストアなどと協議に入っている。ハウス園芸と異なり、無菌状態の環境を実現でき、季節を問わず安定供給できるのが強みということだ。

照明や空調などで消費電力がかさむため、夜間割引を活用する時間帯での稼働となるが、那珂市には立地後7年間電気料金の半額程度を交付する制度があり、コスト圧縮を図れることから進出を決めた。植田社長は「1万平方メートル規模で第2期を目論んでいるが、まずはこの工場に全力投入をし、ノウハウや経験を蓄積したうえで展開したい」と意気込んでいる。

TECは1991年設立で電気設備業を中心に業容を拡大し、ネットワークシステムや太陽光発電などから人材派遣、デジタルコンテンツの人材養成スクールなどに進出、2018年度には経産省の「地域未来牽引企業」に選定されている。ベジタブルテック社は18年の設立で、植物工場建設に向け異業種交流会などを通じ情報を収集してきた。今回は、完全閉鎖型植物工場で実績のある木田屋商店(浦安市)、工場プラントでは大気社(東京・新宿)の協力で詳細設計を詰めている。