【鈴木宏子】つくば市、五十嵐立青市長の定例会見が10日、同市役所で開かれた。情報通信技術などの新技術を活用した持続可能なまち「スマートシティ」化を進めるにあたって、市が守るべき倫理原則を制定したと発表した。先端技術は市民のためにあるということを示す内容で、同市によると制定は全国初という。

同市は、マイナンバーカードを用いたインターネット投票の実証実験など、すでにAI(人工知能)やビッグデータを活用した社会実装実験に取り組んでいる。さらに、新技術やデータを活用して地域課題を解決する国交省のスマートシティモデル事業に選定され、今後市内で顔認証技術を用いた実証実験が展開される。日本を代表する研究学園都市として同市では今後も、最先端の科学技術を社会に生かすスマートシティ化が進むとみられている。

一方、AIやビッグデータを活用したまちづくりに対しては、個人データの保護やシステムの安全性・透明性の確保に対して、市民などから不安や懸念があることから、懸念をやわらげ、さらに倫理的課題に対して継続的に議論し合意形成を図っていこうと制定した。

制定された「つくばスマートシティ倫理原則」は①自律の尊重(市民に複数の選択肢が提供される。透明性が担保され市民が仕組みを理解した上で意思決定できる)②無危害(市民は身体的、精神的、経済的な危害にさらされない)③善行(社会、市民に恩恵がもたらされる、恩恵は常にやむを得ない損失を上回る)④正義(全ての市民は年齢、性別、経済的事情などによらず公平に扱われる。市民間の格差が広がらない)の4つ。

生命倫理における4原則を参考に策定したという。4原則は、スマートシティの分野で今後、市が事業に取り組むか否かを判断する基準にする。すでに取り組みがスタートしている国交省の「つくばスマートシティ協議会」などに対しては、メンバーの県、筑波大、民間企業などに市の倫理原則を示し理解を求める。

併せてスマートシティ化を進めるための専門組織「スマートシティ戦略室」を庁内に設置し、市としてどの分野を優先して取り組むかなどを検討していくとしている。

会見ではほかにイベントなどの案内があった。

➡つくば市長会見の過去記事はこちら