【伊藤悦子】昨年5月、90歳で亡くなった筑波大学名誉教授、山口勝弘さん(1928-2018)をしのぶ『追悼 山口勝弘:僕たちのヤマカツ先生』展が2日、筑波大学会館アートスペース(つくば市天王台)で始まった。
11月2日まで。2005年から07年に描いた「顔曼荼羅シリーズ」7点のほか、年表や画像資料、授業の音源、ポートレート、卒業生から寄せられた山口さんへのオマージュ作品などが展示されている。
戦後まもなく芸術活動を始めた山口さんは、光や映像、音響など最新のテクノロジーを作品に取り入れたメディアアートの先駆者として知られている。同大学に新設された総合造形領域で、1977年から15年間、後進の指導に当たった。在職中は芸術研究科長、芸術系学長、芸術専門学群長を歴任。アーティストであり、教育者でもあった山口さんは、「ヤマカツ先生」の愛称で慕われていた。教え子にはゲームプロデューサーの石原恒和さん(ポケモン社長)など著名人も多い。

今回の展覧会では、教育者としての山口さんにスポットを当てているのが特徴。事務局の林剛人丸(ごうじんまる)さんは、「ヤマカツ先生はメディアアートの始祖鳥のような方。学生たちには芸術と社会、芸術とテクノロジーなど、先生ご自身が経験されたことを教えていた」と話す。
「ヤマカツ先生」への思いをつづった卒業生や退官教員、関係者からの寄稿文も読むことができる。受付を担当していた同大学大学院2年の男子学生は「山口先生が筑波大学の芸術専門学群の流れを作られたことを実感した。たくさんの人に観てもらいたい」と話している。
【追悼 山口勝弘:僕たちのヤマカツ先生】
- 日程:11月2日(土)まで(毎週日曜日、10月22日、26日は休み)午前9時~午後5時
- 会場:筑波大学大学会館アートスペース
◆関連プログラム
▽山口勝弘ビデオ彫刻作品のアーカイブ事業成果発表会
10月2日から11日(日曜を除く)午前9時~午後5時、同大学総合交流会館多目的ホールで開催。文化庁メディア芸術アーカイブ推進事業採択の成果として1988年に制作された『アーチ』を再整備したもの。
▽シンポジウム「僕たちのヤマカツ先生とは、」
10月5日午後0時30分から同大学芸術エリア6A208教室で開催。山口勝弘ビデオ彫刻作品のアーカイブ研究グループが、教育者である山口の目指したものや、影響力について語り合う。パネリストはクリストフ・シャルル、井口壽乃、森山朋絵ほか、モデレーターは森脇博之(敬称略)。
いずれも入場は無料。問い合わせは「僕たちのヤマカツ先生展」事務局・林さん(TEL029-853-2861)