【鈴木宏子】つくば市、五十嵐立青市長の定例会見が4日、同市役所で開かれた。起業を総合的に支援する「つくばスタートアップパーク」を、同市吾妻2丁目、市産業振興センター1階に20日オープンすると発表した。
起業したい人などが気軽に集まって交流するスペースを備え、起業に関する相談や、経理や特許などに関するセミナーなどを開催して、起業を総合的に支援する。
市スタートアップ推進室によると、同パークは面積約740平方メートルで、共有事務所のコワーキングペース(46席、約200平方メートル)、だれでも出入りできる交流スペース(約140平方メートル)のほか、会議室やセミナールーム、シャワールーム、ロッカーなどを備える。カフェもあり、コーヒーや軽食を提供する。
施設の運営は、都内などでレンタルオフィスやコワーキングスペースを運営するツクリエ(東京都千代田区、鈴木英樹社長)に委託する。今年度の委託料は約2800万円(6月末から来年3月までの9カ月間)。
同市は、起業を支援する拠点づくりに向け、2018年度に設計、19年度に改修工事などを実施してきた。設計・工事などの事業費は計約1億3400万円。産業振興センター2階は貸しオフィスで、アニメ制作会社やIT企業など4社が引き続き入居する。
つくば駅周辺3カ所目
一方つくば駅周辺には、つくばセンタービル内にコワーキングスペース「アップツクバ」(吾妻1丁目、2018年10月開設)、ダイワロイネットホテルつくばビル内に「リージャスつくばビジネスセンター」(吾妻1丁目、19年3月開設)があるなど、民間が運営するコワーキングスペースが相次いでオープンしている。
同駅周辺で3カ所目となることについて市は、筑波大近くに立地するため大学生などをターゲットにするという。毛塚幹人副市長は「民業を圧迫しないよう、一時利用料金を民間より安め、定期利用を高めに設定した」と説明する。
同スタートアップパークは9月20日から30日までが内覧期間。10月1日から利用を開始する。利用料金と利用時間は、コワーキングスペースの一時利用が1時間300円(利用時間は午前11時~午後9時)、定期利用は1席1カ月1万8000円(24時間365日利用可)など。交流スペースは無料で午前10時~午後9時まで利用できる。定休日は年末年始のみ。
社会実装支援に5社を採択
市長会見ではほかに、革新的な技術やアイデアを全国から募集し、つくばでの実証実験を市が支援する2019年度の「つくばSociety(ソサエティ)5.0社会実装トライアル支援事業」に5社を採択したと発表した。
▽ドローン運航のため空に道をつくる上空利用権売買サービスを開発する「トルビズオン」(福岡県)▽異国で医療を受ける外国人向けにスマートフォンで多言語対応の医療通訳サービスを展開する筑波大発ベンチャー「Ambii(アンビー)」(つくば市)▽声を掛けると情報検察や家電の操作を行うスマートスピーカーを使った高齢者の見守りサービスを開発する「iRuuza」(イルーザ)」(東京都)▽人や物を載せて自動で動く移動ロボットを開発する「Doog(ドーグ」(つくば市)▽難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)患者が体を動かさず意識するだけでコミュニケーションをとる技術を応用して、年齢や体の障害の有無に関係なく脳だけで戦う新競技「bスポーツ」のつくば開催を目指す産業技術総合研究所(つくば市)―の5社・法人。
一次審査を通過した11件を対象に、データ改ざんなど不正ができないとされるブロックチェーン(分散型台帳技術)や、マイナンバーカード、顔認証技術を活用したインターネット投票などを実施して選んだ。
会見ではほかに、市内2カ所で9月に開催する子育て世代を対象に未来構想キャラバンと、28日から10月8日開催の茨城国体のつくば市開催8競技の案内などがあった。
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