医療と介護のデータ200万件 つくば市が筑波大に託す

覚書を締結した(左から)筑波大学ヘルスサービス開発研究センターの田宮菜奈子センター長と五十嵐立青つくば市長

【鈴木宏子】つくば市が、過去5年分の医療と介護の報酬明細書(レセプト)データ約200万件を、筑波大学ヘルスサービス開発研究センター(つくば市天王台、田宮菜奈子センター長)に提供し、同センターがデータを分析して、効率的な医療と介護政策の検討に役立てる組みが始まる。

同市と同大が1日、医療介護分野のデータ解析に関する覚書を交わし、取り組みがスタートした。

市が提供するのは、国民健康保険加入者や75歳以上の後期高齢者医療制度加入者の診療報酬明細書(医療レセプト)と、介護保険給付費明細書(介護レセプト)など、年間40万件に及ぶ医療と介護のレセプト。2014~18年度の5年分計約200万件を、個人情報が特定できないよう匿名化して同センターに提供する。

センターは、医療と介護のレセプトを連結させてデータ分析し、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、効率的な地域包括ケアシステムづくりに生かす。

これまで同センターは、千葉県柏市のデータを2014年から分析し、高齢者が太ももを骨折した場合にかかる医療と介護の費用を日本で初めて算出したり、特別養護老人ホームと介護老人保健施設を比較し、入所後に、症状が悪化し病院に入院する割合が異なることを突き止めた。

つくば市のデータについては、どの観点からどのように分析するかはこれから検討する。例えば、退院後に、訪問看護サービスを受けていた高齢者と受けていなかった高齢者を比較して、サービスを受けていた高齢者の方が再入院する割合が少なかったとすれば、予防の観点から政策に反映させることができる。高齢者施設によって、入所後の高齢者の体調や体の機能維持の割合が異なれば、ケアの在り方を再検討することもできるという。

同センターの田宮センター長はこれまでも、つくば市の高齢者福祉計画策定や在宅医療・介護連携推進協議会に携わってきた。新たなデータの分析結果は、毎年、進ちょくに合わせて市に報告し、市の政策に生かす。

田宮センター長は「モデル的な分析をして、地域に根差した包括ケアシステム構築を市と協働し進めていきたい」と述べ、五十嵐市長は「レセプトをどう活用するかは行政にノウハウがない。医療と介護を組み合わせて本当に必要なサービスを検討することができれば大きな意義がある」などと話した。