【鈴木宏子】チョウ愛好家に人気のジャコウアゲハが、つくば市豊里の杜の住宅団地で次々と羽化している。住宅の庭に自生する食草のつる植物、ウマノスズクサに現在100匹以上の幼虫がおり、これから毎日数匹ずつ羽化する姿が見られそうだ。
成虫のオスは黒色でジャコウのような臭いがする。メスは薄茶色。羽を広げると10センチくらいの大きさがある。幼虫は黒と白のまだら模様で、たくさんの突起に覆われている。
同住宅団地に住む主婦、清水雪子さんが9日、自宅の庭で羽化しているのを確認した。清水さんの庭で羽化したのは初めてという。

ジャコウアゲハはウマノスズクサだけに卵を産む。清水さんによると、以前は雑草だと思って毎年抜き取っていが、3年ほど前、知人からジャコウアゲハの食草だと教わった。その後注意して観察するようになったものの、梅雨入り前には抜き取っていた。
今年は6月1日、直径1ミリほどのオレンジ色したジャコウアゲハの卵数個を葉っぱに見つけため、抜き取らずにいたところ、次々と卵が産みつけられた。現在、100匹以上が幼虫になっている。羽化した成虫は今も卵を産みにやってくる。
清水さんはこのところ毎日、朝、昼、夕、晩の1日4回ほど庭に出て、成長の様子を見守っている。近所の子供たちもやってきて、一緒に観察している。「羽化して飛び立つ姿を見るたびにうれしい。新しい生命の誕生を見るのは、日頃の苦労を忘れさせてくれ癒される」という。
住宅地の庭は珍しい
イオンモールつくば内に完成した「チョウの楽園」を監修した土浦市のチョウ研究家、岡澤貞雄さん(74)は「ジャコウアゲハはウマノスズクサがあると必ずといっていいくらい卵を産みに来るが、住宅地の庭は珍しい。幼虫はグロテスクで小さな怪獣のよう。成虫の飛び方はほかのチョウと比べて優雅で、おもしろいチョウ」だと話している。