【鈴木宏子】今年4月、8年ぶりの大幅な改編=1月18日付け=を実施したつくば市のコミュニティバス「つくバス」の4月の利用者数が、前年同期と比べ約3%減少したことが分かった。停留所の数を2倍に増やしたため目的地に到着するまでの所要時間が平均15分程度長くかかるようになったこと、所要時間増と路線数増に伴って、1日の運行便数が減ったことが原因とみられる。
市総合交通政策課が、このほど開かれた市公共交通活性化協議会に4月の実績を示した。同課によると、改編後、利用者から「止まるバス停が多くなって乗っている時間が増えた」「乗り継ぎがスムーズでなくなった」「最終便が早過ぎる」などの意見が寄せられたという。一方、同課は、これまで利用してなかった人に、つくバスを利用しやすくしたのが今回の改編だとして、さらに利用促進のPRをしたいとしている。乗り継ぎ時間が短くなったバス停については、協議会に諮り、時刻表の微調整はしていきたいとする。
つくバス改編の柱は、バス停の数を111カ所から223カ所に倍増した、これまでバスが運行してなかった市西部にバスを運行するなど路線を増やし走行総延長距離を7路線149キロから9路線205キロと1.4倍にした、それに伴って運行便数を334便から15%減らし283便にした―など。ほかに、高齢化率が最も高い茎崎地区と2番目に高い筑波地区で3年間の実証実験として、路線バスの運賃補助と、ワゴン車を使った支線型バスの運行をスタートさせた。
改編に伴って、市が実施している、つくバス、路線バス運賃補助、支線型バスと、乗り合いタクシー・つくタクを含めた公共交通の年間事業費は、約3億8700万円(2018年度当初)から約5億6600万円(19年度当初)と約1.5倍に増えた。
つくバスの路線別では、つくば駅から谷田部、茎崎地区を運行する南部シャトルを除いて、4月の利用者数が前年同期と比べ減少した。新たに路線を新設した、みどりの駅から谷田部、上郷地区を運行する西部シャトルの1便平均利用者数はわずか1.2人で、9路線のうち最も利用者が少なかった。
茎崎は健闘、筑波は不振
4月から、茎崎地区などと牛久駅を結ぶ路線バスでスタートした運賃補助など路線バスの実証実験は1日平均304.3人が利用した。前年度との比較はできてないが、上々の滑り出しとなった。運賃を市が補助し、つくバスと同等の金額で乗車できるようにした取り組みで、同課によると、バス利用を促進しようと、住民同士が積極的に声を掛け合っている地区もあるという。
一方、筑波地区でスタートした支線型バスの利用は振るわず、茎崎地区と明暗が分かれた。支線型バスは、10人乗りのワゴン車4台を使って、集落と集落をつなぐ4コースを運行し、乗り合いタクシーからの転換を図ろうという初の実験的取り組みだが、4月の1日平均利用者数は13.5人にとどまった。4コースに設けた停留所のうち2割で4月の1カ月間、1人の乗降もなかった。
同課は、車体のラッピングが遅れていて、支線型バスだとわからない人もいるかもしれないので、今後、地域の人に乗ってもらう取り組みをしていきたいとしている。
同市は、これまで循環型だったコミュニティバスの運行を、2011年度に直行型に改編してシャトル便を導入し、毎年、利用者を増やしてきた。4月の利用者が前年同期と比べ減少したのは、2011年度の直行型への改編以来、初めて。つくバスの乗車料金は距離によって1回200~400円。