【橋立多美】「猫と一緒に生き残る防災BOOK」がこのほど発刊された。8年前の東日本大震災時、阿見町でネコ(当時8歳のオス)と住んでいた本田真穂さんが、震度5強の揺れに遭遇したことで、飼い主の防災への心得と避難に関心を持ったことがきっかけ。
発行元は、ネコの魅力を紹介している雑誌「猫びより」を隔月で刊行している日東書院本社編集部(東京都新宿区)。本田さんは同社の編集者を務める。
東日本大震災後も各地で豪雨や地震、台風などの自然災害が相次ぎ、その度に課題となるのがペットの避難。同書には、同社編集部が被災地で取材した事柄や、震災後、在宅避難していた本田さんが体験した、余震を怖がりパニックになったネコの捕獲、キャットフードやトイレ砂などネコ用品が品薄で入手できなかったことなどがつづられている。困り事を生かして編まれたという。
災害時の心得として「人命が最優先」を挙げている。飼い主が助からなければ、生き残った愛猫の面倒を見てくれる人が現れるか分からない、ネコのための防災は人の防災の次に成り立つとしている。キャリーバッグやキャットフードなどの備えや代用品で出来るフード皿やネコトイレ、いざというときに慌てないための基本的なしつけを推奨している。
「災害発生!その時どうする」として自宅で被災したときの対応や避難準備、ネコと一緒の同行避難の方法や避難生活の送り方なども紹介。また、外出先で被災した場合や獣医師の指示を仰げない場合の応急処置と手当てなど、さまざまなケースを想定した対処法を載せている。
本田さんは「首都直下や、南海トラフなど今後30年以内に大きな地震があると予想されているだけでなく、近年はいろんな自然災害も多く発生している。何よりも普段からの心構え、備えが大切。たくさんの方に読んでいただき、いざという時、お役に立てることを願ってます」と話す。
巻末には飼い主とネコのために用意する非常用チェックリスト、愛猫の持病やかかりつけ動物病院、ワクチン接種の有無などを書き込むページもある。ネコと暮らす人が自身とネコの安全確保のために普段から考え、備えておく情報が網羅されている一冊だ。(定価1300円+税)