金曜日, 11月 22, 2024
ホーム土浦生活再建できる滞納処分に転換求め 商工団体が「茨城会議」結成 16日土浦で総会

生活再建できる滞納処分に転換求め 商工団体が「茨城会議」結成 16日土浦で総会

【鈴木宏子】税金滞納者の生活を壊すのではなく、生活再建を基本とした滞納処分行政に転換させようと、長年、事業者や住民の納税相談に応じてきた茨城県商工団体連合会(水戸市)と、県内の税理士、弁護士などが16日、土浦市内で総会を開き、「税金滞納処分対策茨城会議」を結成する。

国保税や市県民税などの納税が滞り徴収が困難なケースは現在、県内全44市町村で構成する茨城租税債権管理機構(県水戸合同庁舎内、管理者・豊田稔北茨城市長)が市町村に代わって徴収している。同機構は、滞納者から強引に取り立てたり、差し押さえをしたり、公売にかけるなどして生活困窮者を生み出しているとして、滞納者が生活困窮に陥らないよう、個々人のそれぞれの状況に応じた徴税方法に改めるよう求めていく。

「荒っぽいやり方、止めさせたい」

同連合会土浦民主商工会(つくば市上ノ室)会長で行政書士の高橋孝さん(66)によると、ここ数年土浦民商は、同機構から強引な取り立てや差し押さえを受けた事業者や住民からの相談を数多く受けている。国保税の値上げによって特に国保税滞納の相談が増えているという。

これまで相談を受けた自営業者のケースでは、元請けから振り込まれた売掛金全額を同機構に差し押さえられ、仕事の材料が購入できなくなったばかりでなく、元請けとの信頼関係が損なわれ次の仕事が受注できなくなり、生活困窮者になった。

ほかに、銀行口座に振り込まれた給料を差し押さえられ生活費や家賃を払えなくなったり、アパートに踏み込んできて家財道具を差し押さえられ公売に掛けられたり、県外の転居先の職場に押し掛けてきて雇い主が脅されたり、相談にのっていた支援者を怒鳴り立てたなどのケースがあったという。2016年には機構の取り立てを苦にした自殺者も出たという。

高橋さんは「滞納者は引け目を感じているので声を挙げられない。荒っぽいやり方を即刻止めさせたい」と話す。

分納や猶予の権利ある

同機構は全国に先駆けて2001年につくられた一部事務組合。県と市町村からの出向職員などから構成され、市町村から移管を受けた未収の税金を徴収している。同機構ホームページの今年度の取り組み方針によると、設立からの17年間で、市町村から引き受けた滞納額の総額は約520億円。そのうち機構が累計約226億円超を徴収し市町村の税財源の確保に大きく貢献したと説明している。この間、国保税を除く市町村全税の徴収率は、88.1%から95.5%(16年度実績)となるなど収入未済額を大幅に縮減・改善することができたとしている。

これに対し土浦民商の高橋さんは「市町村から出向職員は『税の公平性』だけを研修で叩きこまれ、それだけを金科玉条のように言う。しかし税金を払いたくても払えない場合は、納税者の権利として、分割して払ったり、猶予するなどの権利がある」とし「民間が差し押さえをする場合、通常は裁判所に申し立てをするなどの手続きが必要になる。一方、行政には裁判所命令がなくても差し押さえができる権限がある。だからこそ行政は、より慎重なやり方が求められるのではないか」と話す。

◆税金滞納処分対策茨城会議結成総会は16日午後2~4時、土浦市藤沢、新治地区公民館で開催される。結成総会と併せて、滞納処分対策全国会議代表の角谷啓一税理士が「滞納処分問題への対応策を考える」と題して講演する。問い合わせは電話029・253・5966(税金滞納処分対策茨城会議準備会=茨城県商工団体連合会内)。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img
spot_img

最近のコメント

最新記事

街の文化とは何か《遊民通信》101

【コラム・田口哲郎】 前略 前回(11月9日掲載)は街の文化について書きました。文化とは言っても、人それぞれ考え方が違うので、定義はさまざまでしょう。同じ一人の人間でもその時々、気分によって文化の捉え方は異なると思います。 文化を二つに分類すると、いろいろなモードがわかりやすくなるかも知れません。いわゆるハイ・カルチャーとサブ・カルチャーです。ハイ・カルチャーはハイをとって単にカルチャー、サブ・カルチャーはサブカルなどと呼ばれますね。 たとえば、近所にホールがあってクラシックのコンサートを鑑賞する、美術館で絵画を見る、劇場で歌舞伎を見る、寄席で落語を聞くといったことはカルチャーでしょう。短歌や俳句の会、お茶席もカルチャーですね。 一方、サブカルは幅広いです。あらゆることがサブがつけば、カルチャーになる。趣味も多様性の時代で皆さんさまざまな活動をされています。ハイが上位でサブが副的な意味ではなく、古くからあるか、新しいかとか、すでに定着しているか、これから普及するのかとか、区別はあまり重要ではないと思います。 「ふるさと」を思わせるなつかしさ 街の文化を考えるときに私が挙げたいのは、喫茶店と古本屋です。これはサブカルですね。そもそも街歩きがサブカル的だと思います。 とある地方都市に住んでいる大学の先生が感動していた、狭い路地に並ぶ飲食店、とくにバーや喫茶店。そして、神田神保町などにある古書店は文化の香りに満ちています。郊外の街にあるチェーンのカフェや古書店も、安定したサービスを提供してくれる点では街になくてはならないものだと思います。 でも、古い家並みになじんだ喫茶店や古書店にはなんともいえない雰囲気があり、不思議です。機能性を追い求める現代社会で、何かを守り続ける意志を感じるからでしょうか。時流から置いていかれたような場所に、われわれは安心を感じるのかも知れません。 それは「ふるさと」と呼べるものなのだと思います。たとえ初めて見るお店であっても、そこに時の流れに消されない何かを見とめたら、自分の心に響く懐かしさといとおしさが込み上げてくるでしょう。そんな文化的な場所が住んでいる街にあれば、生活が豊かになりますね。ごきげんよう。 草々 (散歩好きの文明批評家)

県営赤塚公園の秋《ご近所スケッチ》13

【コラム・川浪せつ子】今年のつくば市周辺の紅葉は例年より遅めのようです。つくば市で一番大きい洞峰公園のイチョウ並木も、今年は11月中頃でもまだ緑色。温暖化のせいでしょうか? ですが秋は日々深まりつつあり、至る所で紅葉が見受けられるようになりました。 つくば市役所のホームページによりますと、市内の公園は209カ所だそうです。面積の小さな、駐車場もないような近隣公園もあります。私のお薦めは県営の赤塚公園。駐車場は40台分。市営になった洞峰公園と遊歩道でつながっています。小さな池とかわいらしい水路もあります。 春の桜の季節は見事。とても静かで、近隣の方でないと気付きにくい穴場の公園です。絵のような東屋、ベンチも配置されていますので、ユックリできます。先日は、家族連れの外国の方々が、お子さん達を遊ばせながら、ランチタイム。また、大きな袋を持った女性が、木の枝や実を拾っていました。 近くには、映画館、日帰り温泉… お隣には茗溪学園や住宅。子供たちが遊びに来るからでしょうか、大きな時計も設置されています。先日は、全く水鳥は見えなかったのですが、鳥たちも集まっていることが多いです。自然をそのままに残しているような公園、小さいながら本当に素晴らしいです。 最近、研究学園駅周辺など、新しく移住してくる方が多いですが、どうぞ少し足を延ばしてみてください。赤塚公園の前には、映画館、日帰り温泉、ジム施設などもあります。ジムのボルダリング施設は、オリンピックに出場したスポーツクライミング選手、森秋彩(あい)選手が練習もした所です。(イラストレーター)

中止による減収2億3千万円 土浦花火大会 市が追加負担を決定

市長らの給与減額し道義的責任 土浦市は20日、第93回土浦全国花火競技大会の中止に伴って桟敷席などの収入が無くなり2億3000万円の減収があったとして、同額の補正予算を19日、専決処分で決定したと発表した。併せて、中止により多くの人に心配と迷惑をかけた道義的責任を明らかにするため市長と副市長の給料を減額するとした。 同花火大会は11月2日に開催する予定だったが台風21号の影響により中止。荒天の場合、3日または9日に延期する予定だったが、労働力不足により順延日の警備員を確保できず大会自体を中止とした(11月1日付、5日付、17日付)。 桟敷席の設営や撤去などすでに実施済みの委託業務や、中止に伴い新たに発生する経費を速やかに支払うため、議会の議決を経ないで決定する専決処分としたとしている。2億3000万円は、市が事務局を務める土浦全国花火競技大会実行委員会(会長・安藤真理子土浦市長)に追加補助する。市は当初予算ですでに同実行委に8500万円の補助金を計上しており、中止となった大会の事業費は計3億1500万円になる。全額を市が負担する。 給与の減額は市長が月額20%、副市長が10%を12月から来年2月までの3カ月間減額する。12月の期末手当も市長が20%減、副市長が10%減となる。3カ月間減額する条例についても19日、専決処分とした。 安藤市長は「中止による減収を補うため新たに補助金を増額する結果となってしまったことについて、市民の皆様に心よりお詫びします。開催を心待ちにしていた皆様、 煙火業者の皆様、全ての関係者の皆様に対し、多大なご心配とご迷惑をお掛けしたことについて会長として責任を強く感じています。 今後は花火大会への信頼回復に努め、大会の運営等、様々な課題を検証し、次回の大会につなげて参ります」とするコメントを発表した。

オリジナルレンコン料理専門店開業へ 土浦市産業祭で一部メニューお披露目

日本一の産地である土浦のレンコンを使用したレシピを開発し提供するオリジナルレンコン料理専門店を開業しようと、同市でインターネットテレビ「Vチャンネルいばらき」を運営する会社社長の菅谷博樹さん(55)と、つくば市下広岡で軽食店「ニッチDEキッチン」を運営する増田勇二郎さん(53)が準備を進めている。開業に先立って23、24日開催の第48回土浦市産業祭でオリジナルメニューの一部をお披露目し販売する。 店名は「土浦れんこん物語」。来年1月ごろ土浦駅西口近くの同市川口、ショッピングモール「モール505」の空き店舗に開業し、ランチを提供する予定だ。店を運営する合同会社「土浦れんこん物語」を近く設立する。 菅谷さんによると、土浦にスイーツ店を構えたことがある増田さんと今年9月頃、土浦の活性化について話した際、「レンコン専門店で土浦をもっとアピールしたい」と意気投合したのがきっかけ。 菅谷さんは「レンコンといえば土浦市だが、あまり県外に浸透していないと感じている」と言い、「レンコンを使ったオリジナルメニューを提供し、市内はもちろん全国、海外にも発信したい」と、食を通じた観光促進と地元産業の活性化を目指したいと語る。新店舗のコンセプトについて「農家+料理の職人がコラボレーションしてオリジナルの新しいレシピを作り出していくこと」だと話す。 提供するメニューには、土浦市とJA水郷つくば主催の「日本一のれんこんグランプリ」で2022年と23年に2年連続最優秀賞を受賞した「市川蓮根」(同市田村、市川誉庸代表)」が生産したレンコンを使用する。メニューの開発と監修は、筑波山温泉ホテル一望(つくば市筑波)の料理長を務めた逸見千壽子さんに依頼した。 提供するランチは700円から2000円程度とする予定で、ほかにキッチンカーでの販売も予定し、インターネット販売なども模索している。 コロッケとお焼きを販売 すでにいくつかのオリジナルメニューが完成しており、そのうち「れんこんコロッケボール」と「れんこんお焼き」を23日、24日、モール505で開かれる産業祭で、「ニッチDEキッチン」のキッチンカーで販売する。 れんこんコロッケボールは、レンコンのすりおろしとジャガイモを9対1の割合で配合し、真ん中にカットしたかみ応えのあるレンコンが入っている。食べやすいよう一口大のボール型にしカップに複数入れて販売、クシで刺して食べてもらう。「れんこんお焼き」は、逸見さんオリジナルのレンコン甘辛味噌が入ったお焼きだ。 菅谷さんは「レンコンを使ったオリジナルメニューを今後も開発、提供し、モール505の活性化にもつなげたい」と意気込みを語る。(伊藤悦子)