つくば市など5者
つくば市で2日から、運転手が乗車しながら自動で走行する「レベル2」の自動運転バスの本格運行が始まった。走行するのは既存のバス路線で、つくば駅前のつくばセンターと筑波大学を結ぶ関東鉄道の「筑波大学循環」。これまで実証実験として期限を区切って行われてきた運行を、実際の公共交通として日常的に利用できる段階に移す。1日に6便運行し、約10キロを50分あまりで走行する。同市は2027年度中を目標に、運転手が乗車しない「レベル4」の実現を目指すとしている。
利用される車両は、つくば市が2025度に購入した自動運転EVバス「ミニバス2.0」。最高時速40キロで定員15人。運賃は190円から310円で、当面は安全上の理由から乗客は着席のみ、土日祝日を除いて運行する。車体に施されたつくばの街並みを描いたラッピングデザインは、筑波大芸術系の内山俊朗准教授と、勝部里菜特任研究員によるもので、市が行ったインターネット投票によって選ばれた。
約30個のセンサーで周囲を検知

運行開始に先立つ1日、筑波大学構内の関東鉄道筑波大学車庫営業所前で、記念式典と試乗会が開かれた。同営業所は自動運転プロジェクト運行拠点として9月16日に開所した。運行を実施するのは、つくば市、筑波大学、関東鉄道、KDDI、KDDIスマートモビリティの5者でつくる「つくば自動運転社会実装推進事業コンソーシアム」で、2024年以降、3度にわたり、自動運転バスの実証実験を実施してきた。同路線は学生など日常的な利用者が多く、2025年11月から2026年1月にかけて行われた実証では、乗車率が平均98.1%に達した。
バスは車体の周囲にカメラ、レーダー、ライダーなど約30個のセンサーを搭載し、歩行者や自転車、車など周囲の物体を検知しながら走行する。事前に作成した3DマップとGPS、各種センサーの情報を組み合わせ、車両の位置を把握する仕組みだ。試乗では、筑波大学構内の2カ所の停留所間を自動運転で走行した。車内には、運転席の様子と、自動運転システムの作動状況を映す2台のモニターが設置され、乗客が見ることができる。カーブでバスに近づく自転車を検知すると、相手の進行方向や速度などに応じて実際に自動でブレーキが作動する場面もあった。

運転士不足解消への第一歩
車両の走行状況は、東京都内に設けられたKDDIの「モビリティコントロールセンター」からも遠隔監視する。KDDIによると、現在は2人のオペレーターが映像を確認し、トラブルの有無を監視している。また、乗客を乗せる車両とは別に、データ収集用の自動運転バスも走行させ、必要なデータの収集を進める。2027年度に予定するレベル4運行では、遠隔監視を含めた運用体制を整える計画だ。
つくば市が自動運転バスの導入を進める背景には、公共交通を取り巻く環境の変化がある。市は、バス運転手の不足などによって公共交通の維持が難しくなる中、自動運転によって移動手段を維持・拡大することを目指すとしている。

五十嵐立青市長は式典で「現在、つくば市の最大の課題の一つは移動」とし、「運転手不足が進む中で、市民に日常の足として利用されることを期待している」と自動運転への期待を示した。筑波大学の永田恭介学長は「実証実験の段階から、本当の意味の社会実装に移った。市民のニーズに応えるためにも、今後、増便や車両数の拡大を進めていければ」と話した。関東鉄道の登嶋進社長は「路線バスとして自動運転運行の第一歩。全国的にバス運転手不足が進む中、自動運転は地域交通を支える切り札になると期待している」と語った。KDDIスマートモビリティの松田慧社長は、「レベル4に向けて技術、安全検証、社会受容性などが課題になる。今回の運行でデータや実績を積み重ね、より安全でスムーズな運行につなげていきたい」と考えを示した。
つくば市は2026年度当初予算で、国庫支出金と一般財源により、車両関連費・システム関連費、バス運転手・自動運転システム技術者労務費、レベル4自動運転実装に向けた評価・検証費として合計1億1200万円を計上していた。(柴田大輔)





