土曜日, 9月 12, 2026
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見えない印が示す「AI時代の透明性」《安全の窓》4

【コラム・佐々木哲美】2026年8月2日以降に登場した新しいAIモデルでは、EUだけでなく世界中で文章に“見えない印”を入れる仕組みが導入されたといわれています。文章の意味を変えず、特定の単語をわずかに選びやすくすることで、後からAI生成の可能性を推測できるようにするものです。お札の透かしに例えられることもありますが、お札は国家の信用を守るための“絶対的な証明”。一方AI透かしは、情報の透明性を補うための“補助的な目安”。同じ「見分ける」でも、重さも精度もまったく異なるのです。

では、AI生成かどうかを区別する意味はどこにあるのでしょうか。それは文章の価値を決めるためではなく、“使われる場面を守るため”です。ニュースや行政文書、研究論文、教育現場、偽情報対策など、責任の所在が重要な領域では区別が不可欠です。一方、創作や趣味の文章、メールの下書き、会議メモ、アイデア出しなどでは、内容や効率が目的であり、AIか人間かを区別する必要性はほとんどありません。川柳などは、面白ければ作者がAIでも人間でも構わないでしょう。重要なのは「区別すること」ではなく、「区別が必要な文脈を見極めること」なのです。

AIと共に書く時代の「揺れる境界」

こうした議論を進める中で、私自身の体験がこのテーマをより身近なものにしました。最近、文章をつくる過程が大きく変わり、情報収集から整理、構成の調整までAIに手伝ってもらうようになりました。効率は上がり、思考の幅も広がりましたが、その一方で疑問も生まれました。ここまでAIに助けてもらっているのに、この文章を「自分の文章」と言い切れるのだろうか―そんな迷いです。この問いが今回の考察の出発点になりました。

AIが自然な文章を生成できるようになり、人間とAIの境界は表面的には曖昧になっています。しかし、境界を決めるうえで最も重要なのは能力ではなく、責任の所在だと気づきました。AIは膨大な情報をもとに文章を作れますが、意図を持たず、倫理判断もせず、結果に対する責任を負うこともできません。一方、人間の言葉には経験の重みや葛藤が宿り、その内容を説明し、引き受ける力があります。文章が社会に影響を与える場面では、誰がその内容を担保するのかが決定的な意味を持ちます。

「責任を引き受ける者」としての人間

さらに、境界は「作り手」ではなく「使い手」の姿勢によっても変わると感じました。AIの文章をどう扱い、どこまで自分の判断で補正し、どのように責任を引き受けるか。ここに人間の役割があります。最近、会議の席で「AIに作成させました」と謙遜なのか責任逃れなのか分からない言葉を口にする人がいますが、私はこれは言うべきではないと思っています。AIがどれだけ手伝ってくれても、最終的に内容を自分の判断で引き受けている限り、その文章は「自分の文章」なのです。

AIと人間の境界は固定された線ではなく、文脈によって揺れ動く線です。その揺らぎを恐れるのではなく、責任を明確にしながら両者の強みを響き合わせることこそ、AI時代の言葉との向き合い方だと感じています。(労働安全コンサルタント)

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「出口見えない研究、今も森の中」ラスカー賞受賞の筑波大 柳沢教授が会見

睡眠と覚醒を調整する重要な神経伝達物質、オレキシンを発見し、睡眠理解の飛躍的な進歩に大きく貢献したとして、筑波大の柳沢正史教授(66)が9日、米国医学会で最も権威ある賞、アルバート・ラスカー基礎医学研究賞を受賞した。柳沢教授は10日、筑波大で記者会見し、「出口が見えない研究だった」「今も森の中にいる」などと語った。 ラスカー賞は、受賞者のうち3分の1がノーベル生理学・医学賞を受賞するなど、ノーベルに次ぐ賞といわれている。柳沢教授はオレキシンの発見のほか、オレキシンの欠乏が、ナルコレプシー(過眠症)と呼ばれる突然眠り込んでしまう病気の原因となることを解明し、米スタンフォード大のエマニュエル・ミニョー教授と共同でラスカー賞を受賞した。柳沢教授らの研究により不眠症治療薬が開発されたほか、今年ナルコレプシー治療薬が薬事承認された。 柳沢教授は10日の会見で、オレキシン発見に至る経緯を改めて話した。神経伝達物質を「鍵」、神経伝達物質の受け口となる受容体を「鍵穴」に例え、米テキサス大准教授だった1995年当時、「相手の鍵が分かっていない鍵穴分子が多数見つかっていた。これまでの古典的な薬理学では、鍵分子が先に見つかって、その作用を調べる過程で鍵穴が見つかるが、私たちは逆方向の鍵穴分子から出発した」と述べた。 当時、ポスドクだった桜井武筑波大教授がテキサス大に来て、鍵穴を、鍵を見つけるための検出器として使い「桜井さんの検出で、当時まだ知られていなかった神経伝達物質が分かった」と言い、「桜井さんは筑波大に戻って、データ出しを全部やった。(オレキシン発見は)テキサス大だけでなく筑波大の仕事でもあった」と強調した。 この新しい神経伝達物資は、脳の中心の、本能や自律神経をつかさどる視床下部にあることが分かり、当時は「食欲を制御すると思った」と振り返り、「オレキシンはギリシャ語で食欲という意味。当時は食欲をつかさどる物質だと考え、オレキシンと名付けた」と明かした。 次の段階として、この神経伝達物質が欠損したマウスをつくって、食欲が減るのではないかと予測し実験した。「しかし何も起こらず、マウスは健康で異常は見つからなかった」と話した。「苦労して実験したので非常に悲しかった」が「あきらめず観察してみよう」と、マウスは夜行性なので「虚心坦懐に夜の行動を観察した」「わらをもすがる思い」だったと述べた。 発売されたばかりの安価な赤外線カメラを買って観察すると、マウスが急に動かなくなることがあった。最初はてんかん発作ではないかと思ったが、診断するには脳波をとらないといけない。当時、小さなマウスの脳波を測定できるラボは世界に数ラボしかなかったが、たまたまテキサス大にマウスの脳波をとっていた人がいて、その人に教わってマウスの脳波をとった。すると、てんかんの脳波ではなく、レム睡眠の脳波で、脱力発作と同時にレム睡眠が起こることが分かった。レム睡眠の時、人は夢を見るが、夢を演じるのは危険なので脱力が起こる。しかし当時は睡眠のことはほとんど分かっていなかった。柳沢教授は「睡眠の異常であれば『これはでかい』と感じ、ラボ全体を、食欲研究から睡眠研究にかじを切った」と話した。 柳沢教授はさらにナルコレプシーの原因を解明する。当時を振り返り「最初からゴールを目指した研究ではなかった。鍵穴分子を見つけるという宝探しを始めた」とし、ハワードヒューズ医学研究所から、自由に研究できる研究資金の提供をいただいたことが大きかったと振り返った。「基礎研究の中の探索研究はどこへ行くか分からない研究。そういう研究環境は大事」「出口はどこかとか、社会実装とかいわれると作文はするが、本当の研究はそういうものではない」と強調した。 脳の中には睡眠を維持する睡眠中枢と、覚醒を維持する覚醒中枢があって、睡眠中は脳の中で睡眠中枢が活性化して、覚醒中枢の働きが弱まる。覚醒時は逆になり、シーソーのように、常にどちらか一方の状態になっている。柳沢教授は、睡眠と覚醒の切り替えの仕組みを、竹筒の先端に水を入れ、水がたまると先端が下がって音が出る「ししおどし」に例え、「(ししおどしの)水に当たるものが脳内で何なのか不明、今はそこを研究している」とし、「そもそもなぜ眠らなきゃいけないのか、この二つのなぞが解けていない。私が現役のうちにだれかが解いてほしい」とし、将棋の藤井聡太さんの「頂上が見えないという点では森林限界の手前」という言葉を引用し「睡眠研究は森林限界を超えていない。自分の行く道は見えないし、ピークも見えない、周りは森しか見えない」などと話した。(鈴木宏子)

別館宴会場「昴」を大改修 ホテル日航つくば

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投票時間1時間繰り上げ午後6時まで つくば市選管

つくば市は9日、今後実施される選挙について、投票日当日の投票時間を、これまでの午後7時までから1時間繰り上げて午後6時までとすると発表した。1日開いた市選挙管理委員会(野尻等委員長)で決めた。12月4日告示、13日投開票の県議選から実施される。 繰り上げの理由は、期日前投票を利用する投票者が増加していること、当日投票者の9割が午後6時までに投票を済ませていることなど。市選管事務局によると、昨年9月の知事選での同市の期日前投票の投票率は39%、今年2月の衆院選は54%だった。投票所立会人の従事時間が長時間に及んでいることを懸念する意見も出されたという。 投票日当日の投票開始時間に変更はなく、午前7時から。期日前投票の投票時間も変更はなく、市役所投票所の場合、午前8時30分から午後8時まで。 投票時間が繰り上がるのに伴い、12月の県議選の開票作業は、これまで午後8時20分から開始していたものを、午後8時からに20分繰り上げる予定だという。 公選法は午後8時まで 一方、公職選挙法は投票時間を午前7時から午後8時までと定め、特別の事情があり投票に支障をきたさない場合に限り、4時間以内の範囲内で繰り上げなどを認めている。 つくば市では2012年から、投票時間を法定の午後8時までから1時間繰り上げて午後7時までとしてきた。 県選管によると、今年2月の衆院選では、県内44市町村中、38市町村が午後6時で当日の投票を締め切り、つくば市を含め5市町が午後7時までとしていた。公選法の規定通り県内で唯一、午後8時までだった牛久市は今年度から、当日の投票時間を2時間繰り上げ、午後6時までとすると発表している。12月の県議選の各市町村の投票時間について、県選管はこれから調査する予定だとしている。(鈴木宏子) 【訂正 10日午後1時10分】3段落目、市役所投票所の期日前投票の開始時間は午前9時ではなく8時30分からの誤りでした。

ワイン用ブドウの収穫が最盛期 筑波山麓

筑波山麓で8月末からワイン用ブドウの収穫が始まり、最盛期を迎えている。収穫作業は9月末まで続く。つくば市は2017年に「つくばワイン・フルーツ酒特区」に認定され、現在市内には四つのワイナリーがある。 筑波山麓には、筑波大出身で、ワイナリー「ビーズニーズヴィンヤーズ」(同市神郡)を経営する今村ことよさん(53)のブドウ畑が広がる。今村さんは2015年から栽培を始めた。現在、山麓の沼田地区と臼井地区の2カ所に計約1.5ヘクタールあり、白ブドウのシャルドネ、黒ブドウのシラーなど10品種を栽培している。今村さんは今年6トンの収穫を目指している。 ブドウの栽培からワインの醸造まで今村さんが一人で担っているが、収穫作業は人手が必要になる。初日の8月30日にはSNSの呼び掛けで、ワイン作りを学びたいと、つくば市内や東京都、千葉県などから、50歳代の男女6人が集まり、ボランティアで収穫を手伝った。 ボランティアの6人はこの日、沼田地区のブドウ畑でジュースとして利用するメルローなどの品種を収穫した。今村さんから指導を受けながら、剪定(せんてい)ばさみを用いて、ていねいに収穫していった。千葉県習志野市から参加した公務員、角田圭吾さん(54)は「各地域のブドウ畑でボランティアとして収穫作業に参加している。今村さんの指示は的確で細かくありがたい」と語り、都内から参加した50代の男性は「つくばでワインが出来るのに驚いた。山麓の景色の良いところで作業できるのはうれしい」と話していた。 収穫作業と併せて、今村さんのワイナリーでは9月4日から、今シーズンのワインの仕込みが始まった。八千代町と埼玉県入間市の2軒のブドウ農家も加わり、それぞれ収穫したブドウを持ち込み、ブドウの品種や状態に合わせて、機械でブドウの茎や軸を取り除いたり、圧力をかけてブドウを絞る作業などを実施した。 この日持ち込まれたブドウは、今村さんが700キロ、八千代町のブドウ農家が700キロ、入間の農家が220キロの合計1620キロ。仕込み作業で出た搾りかすは、今村さんが肥料として利用する。2軒のブドウはそれぞれ、今村さんが受託しワインを醸造する。 今村さんは「今年はここ数年に比べて気温が低く、ブドウの色づきも良く、昨年よりも良いブドウが収穫出来そうだと期待している。収穫や仕込みの作業がまだまだ続くが、良いワインになるようにがんばっていきたい」と話している。(榎田智司)