木曜日, 2月 12, 2026
ホームスポーツ北京冬季五輪で採用目指す ヒト型ドーピング検査ロボット開発 産総研など

北京冬季五輪で採用目指す ヒト型ドーピング検査ロボット開発 産総研など

【富永みくに】スポーツ選手のドーピング検査の自動化を可能とするヒト型ロボット「まほろ」が23日、つくば市春日の筑波大学高細精医療イノベーション棟で報道陣に公開された。2022年の北京冬季オリンピックでの採用を目指して開発を進めている。

近年ドーピングは巧妙化し、禁止薬物を使用するのではなく、遺伝子操作を行った細胞を体内に注入する「遺伝子ドーピング」が行われるようになっている。従来の尿検査では検出できず、特殊な検査が必要となるため、国際オリンピック委員会(IOC)や世界反ドーピング機関(WADA)は、対策に頭を悩ませている。

産業技術総合研究所(つくば市)は、安川電機(福岡県北九州市)らと共同で昨年4月、ドーピング解析の自動化を目的としたプロジェクト「まほろプロジェクト」を設立。オリンピックなど世界的なスポーツイベントでの採用を目指している。

熟練者の動き再現

産総研創薬分子プロファイリングセンターの夏目徹センター長によると、「まほろ」には2本の腕と7つの関節が付いている。器具などを次々と持ち変えながら、液体を注入したり、遠心分離機を操作するなど一連の動作をこなす。熟練した検査員の基本動作を1台のロボットで再現した。

普段、検査員が使用している器具・機材をそのまま使える。さらに遺伝子検査は通常のドーピング検査に比べて検査工程が多く、髪の毛1本落とすことも許されないクリーンルームでの作業となるため、ロボットを活用することでさらに不純物の混合が避けられる。オリンピックなどの大会期間中、不眠不休で作業に当たることも可能。5年間24時間働き続けてもミスを起こさない性能を持っている。

リース価格は1台につき約1億円だが「人件費や開発費などを考慮すると数年で回収できる」と夏目センター長は話す。工程の追加・入れ替えをするだけでドーピング検査に限らず幅広い検査に活用できる。

当初、2020年の東京五輪での採用を目指していたが、公式的な作業手順の策定や、検査を行う研究所の設置などが間に合わなかった。夏目センター長は「スポンサーが見つかれば東京オリンピック中にもデモンストレーションをやってみたい。今は人の動作を完全にまねているが、いずれはAIを使って最適な動作が行えるようになる」と意気込みを語った。

「まほろプロジェクト」をリードする産総研創薬分子プロファイリングセンターの夏目徹センター長

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

北条の街で起こった出来事《映画探偵団》97

【コラム・冠木新市】1月25日、つくば市北条にある宮清大蔵での詩劇コンサート「北条芸者ロマンの唄が聞こえる」を無事終了することができた。当日は晴天だったものの警報級の大寒波が襲った。参加者が集まるか心配したが、開場前から参加者が来場され、74人が観劇する「満員御礼」となった。 参加はつくば市からが多かったが、埼玉県8人、土浦市5人、常総市2人、東京都2人、小美玉、桜川、北茨城市が各1人と、遠方からも見に来てくれた。年齢も20~70代と幅広く、女性が半数以上だった。 うれしかったのは、地元・北条から4人の参加があったことだ。たかが4人と思う人がいるかもしれないが、これまで「北条芸者ロマン/筑波節を歌う女」「北条芸者ロマン/三代目襲名」「北条芸者ロマン/二代目の恋」と3度公演したが、地元の参加者はほぼゼロだった。 今回は北条街づくり振興会会長に、地元の人からの問い合わせが数多くあったという。スタッフも会場前を通りがかった北条の人から「今日ですね」と声を掛けられたそうだ。シリーズ4作目にして、ようやく地元に浸透してきた。 異口同音に「なぜか懐かしい」 お話は95年前の1930(昭和5)年の出来事だから、北条の人は生まれていないはずなのに、「なぜか懐かしい」と異口同音に連発するのだ。プロローグで、昭和初期の筑波・北条のスライドにかぶせて、カ一ペンタ一ズの「イエスタデイ ワンスモア」を流したせいだ。知らない世界なのに、名曲の力で懐かしさを感じられる。 北条の人は、劇中に出てくる地名にいたく反応し、感動していた。これは予想外でびっくりした。終了後、劇中に出てくる料亭で結婚のお祝いをしたと、うれしそうに語り掛けられた。自分の思い出を重ね合わせて見ていたのだろう。もっと地元の人に見ていただければ、さらに世界観が深まると思った。 岡本喜八監督の「殺人狂時代」 翌日、急に岡本喜八監督のアクションコメディ「殺人狂時代」(1967)が見たくなった。この作品は1966年に東宝で作られたが、理由なくお蔵入りとなった。翌年2月4日に公開されるが、東宝始まって以来の不入りとなり、短期間で打ち切りとなる。その後、名画座で上映されると、だんだん人気が出てきてカルトム一ビ一化する。私は公開時に見たが、名画座でも度々見て夢中になった。 水虫に悩む、さえない大学講師・桔梗信治(仲代達矢)は、「不要な人間は殺せ」という思想の精神病院院長・溝呂木省吾(天本英世)が育てた精神病患者の殺し屋に狙われる。しかし、桔梗は次々と殺し屋たちを返り討ちにする。話が進むうち、溝呂木は、ナチスドイツの残党が桔梗の知る宝石「クレオパトラの涙」を狙っていると分かる。 物語はいつしか宝石をめぐる話へと変わる。さらに、桔梗は殺し屋たちに襲われるふりをして、逆に殺し屋組織の壊滅を図っていく。仲代演じるぬぼーっとした桔梗が、どんどん格好よく変貌を遂げるのだ。 なぜ、北条でのイベントが終わって「殺人狂時代」を見たくなったのか? 多分、さえない桔梗が変化する姿と北条の街に共通するものを感じたからかも知れない。北条の街はこれから変化していくのではなかろうか。次の「北条芸者ロマン・完全版」では、北条の街の歴史を組み込むつもりである。「北条芸者ロマン」が、少しでも街の発展のお役に立てればと願っている。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家) <お知らせ>特別試写会『北条芸者ロマンの唄が聞こえる』・日時:2月28日(土)午後1時~・場所:つくばカピオ(つくば市竹園)中会議室・参加費:無料・対象:まちづくりに興味がある方

末期がんと診断されてしまいました…《ハチドリ暮らし》58

【コラム・山口京子】末期がんと診断され、生活が変わりました。昨年12月、痔の治療のつもりで病院を訪れたところ、「痔ではなく、大腸がんです」と、医師にあっさり説明されました。そのあとの血液検査と内視鏡検査で分かったのは、進行性の直腸がん。 「ここでは治療はできないので、紹介状を書きます。どこの病院を希望しますか?」と言われても…。がんだから、専門の病院がいいのか、家から通いやすい病院がいいのか…。 家に近い総合病院の名前を伝えると、受付の方がそこに連絡し、予約日を決めてくれました。紹介状を受け取り、帰宅したものの、実感はありません。確率的にはおかしくはないけれど、自分にもホントに来たのだな…。 体の感覚は昨日と変わらないのに、がんと診断されたことで、何か変わってしまいました。この原稿を書いているときも、がんが増殖中と思うとおかしな気分。昨年は体調不良を感じていたけれど、左足の骨折や夏の暑さのせいと思い込んでいました。 4日後、総合病院で検査。10日後、直腸がんであること、肝臓・肺・リンパに転移し、ステージ4との検査結果。治療しないと余命8カ月、治療してうまくいけば2年半。治療方針は、化学療法で転移を抑え、経過を見るとのこと。年明けに入院し、抗がん剤治療を始める日程。説明を涙ながらメモしている娘。 2週間を1クールとして治療 期間限定の人生になったらしい…まだ信じられない。でも人生は期間限定。死亡率100%なのだし…。副作用の説明もあったけれど、具体的にはどんな症状が出るのか。痛みに弱い、ヘタレな自分がどこまで治療についていけるのか。 がんと分かってから、がん関連の本を何冊も読んでみました。標準治療に対する評価、抗がん剤に対する考え方、先進医療や代替治療、食事やサプリメント、漢方薬など。さまざまな見解がありましたが、とにかく抗がん剤治療を受けることにし、仕事は12月で辞めました。 入院は1月6日。CVポート(皮下埋め込み型カテーテル)を装着し、2日後に抗がん剤の点滴を開始。4日間入院して点滴を受け、退院後の10日間は静養。この2週間を1クールとして治療を続けていく段取り。これから、どのような経過をたどるのでしょう。(消費生活アドバイザー)

デジタル技術を駆使 アニメ、ゲーム、広告デザインなど展示 日本国際学園大

日本国際学園大学(つくば市吾妻)でデザインを学ぶ3、4年生が、日ごろの学習の成果を発表する作品展「2026コンテンツ デザイン エキシビジョン」(同大経営情報学部ビジネスデザイン学科主催)がこのほど、同市吾妻、中央公園内のつくば市民ギャラリーで開かれ、アニメ、ゲーム、メタバースなど最新のデジタル技術を駆使した作品や、想定した架空の店舗や商品のブランド価値を高める広告デザインなどが展示された。 1月31日から2月6日まで開催され、学生17人が作品約40点を展示した。同展は毎年開催され今年で15回目。4年生にとっては卒業制作展になる。 展示されたのは、楽曲に合わせて容姿が変化していくキャラクターを描いたアニメ作品、音楽に合わせてキャラクターや背景を動かすなどデジタルアートの制作過程そのものを映像にした作品、AIを使って小説のシナリオとキャラクターを制作したノベルゲームなど。 広告デザインは、つくば駅近くに架空のカフェがオープンしたと想定し、店舗のロゴやチラシ、缶バッチやシールなどを実際にデザインしたものや、土浦や水戸、常陸太田、龍ケ崎など、県内各地の昭和レトロな商店街を実際に訪ね歩き、それぞれの魅力を紹介したガイドブック、架空の水戸納豆のオリジナルキャラクターや商品パッケージなどをデザインした作品などが展示された。 インターネット上の3次元の仮想空間、メタバースの中で参加者を募り、参加者の分身であるアバターの撮影会や交流会を主催するなど2年間にわたる活動記録をポスター展示した4年の姜翔(きょう・しょう)さん(21)は「メタバースでは、いろいろな人が参加できるように企画を考えてイベント開きコミュニティを引っ張ったが、毎日のように反省点が出てきた」と活動を振り返った。 情報デザインやメディアアートを指導する同大の高嶋啓教授は「4年生にとっては、新型コロナの行動制限が始まった最初の年を1年生として過ごした。表現したいという強い気持ちが現れた作品や、センスが面白い作品があるので、これを引き継いでさらに深めていってくれれば」と話していた。

焼き芋ブームを「食文化」に《邑から日本を見る》191

【コラム・先﨑千尋】「焼き芋がブームになって20年。それを食文化に定着させよう」。今やスーパーの店頭だけでなく、コンビニやドラッグストアでも焼き芋が売られている。その火付け役となったのが「なめがた農協(現なめがたしおさい農協)」だ。 行方市で焼き芋サミット その本拠地の行方市にあるレイクエコーで、1月16日に「全国焼き芋サミット」が開かれ、全国から、焼き芋愛好家や生産者、行政、農協関係者、焼き芋業者、研究者など350人が集まり、焼き芋について熱く語り合った。開催は昨年に続いて2回目。主催は同実行委員会と行方市。 サミットの冒頭、同農協の金田富夫組合長が「農協では約30年前、それまでは主食用だったサツマイモを焼き芋として販売しようと考え、スーパーの店頭で売ることを考えた。しかし、焼き方や品種などで、1年を通しておいしい焼き芋を提供するのは難しかった。工夫を重ね、マニュアルを作り、今では全国約4000店舗で通年販売している。焼き芋をブームで終わらせるのではなく、食文化にしていきたい」と話した。 サミットでは最初、茨城県職員時代にサツマイモの病害虫研究に携わってきた東大大学院特任教授の渡邉健さんが、サツマイモ栽培で問題となっている「基腐(もとぐされ)病」などについて「必要以上に怖がらないように。病原菌を持ち込まない、増やさない、残さないが基本だ」と注意を呼び掛けた。 あるとうれしい⇒あって当たり前 基調講演は、サツマイモに特化したイベント「さつまいも博」を2020年に始めた石原健司さんが「焼き芋を『あるとうれしいもの』から『あって当たり前』に。生活を豊かにするものと消費者が考えられるようになれば、ブームから文化に定着したと言える。そのためには、客層を固定客だけでなく、子供世代やインバウンド(訪日客)などまで視野を広げていく必要がある」と訴えた。 「焼き芋業界のいま、そしてこれから」というテーマのトークセッションでは、龍ケ崎市や行方市の生産者や焼き芋業者らが登壇。それぞれが「原料のイモを安定して供給することが大事。そのためには土づくりが欠かせない。後継者が残れるために外部から呼び寄せることも必要。『焼き芋で笑顔に』を合言葉に、全国各地の百貨店やイベントに出店し、イモの皮まで旨(うま)味や香りを感じる焼き方を、生産者の思いも伝えながら全国の焼き芋ファンに届けている」などと話し合った。 サミットの最後は分科会。参加者が、生産、焼き芋市場・消費トレンド、地域・観光・体験農業、暮らしと女性の視点の4つに分かれて討議した。私が参加した生産の分科会では、基腐病や立枯病などの対策に関する質問や意見が多く出された。 サミット終了後、会場を隣の「なめがたファーマーズヴィレッジ」に移して交流会が開かれ、参加者は、サツマイモ料理や焼酎、いろいろな品種の焼き芋などを味わいながら、焼き芋談義で楽しんだ。(元瓜連町長)