【コラム・沼田誠】今年もまもなく「梅まつり」の季節…と言ったとき、つくば市の皆さんは「筑波山梅まつり」を想起されるでしょうか? それとも「水戸の梅まつり」でしょうか? つくば市の皆さまには申し訳ないのですが、「梅まつり」と言えば、水戸に縁がある私にとっては偕楽園の「水戸の梅まつり」です。年明けに暖かい日もあったことから、偕楽園では梅が咲き始めているとの情報も入ってきました。
一方、本サイトの記事「ロウバイが満開 筑波山梅林…」(1月14日掲載)に掲載された写真を見て、「筑波山の梅もなかなかよいかも」と感じました。余談ですが、水戸でロウバイ(蝋梅)と言えば弘道館です。本館前のロウバイが開花したとの情報を得ると、早春の香りを楽しみに弘道館を訪れたものです。ということで、今回は「水戸の梅まつり」と「筑波山梅まつり」を比べてみます。
入込客数:水戸24万、筑波15万

まず、県の観光動態調査の数字(入込客数)を見てみます。「水戸の梅まつり」は2010年までは約100万人で推移していました。ところが、2011年の東北大震災で50万人台に落ち込みました。その後も震災前の水準に戻らなかったところ、コロナ禍でさらに減り、直近では24万人台(2025年24.4万人)で推移しています。
もちろん「入込客数」は推計であり、数え方が変わって実数に近づいた結果、減ったように見える可能性もあります。しかし、外部からのショックで数字が大きく揺れる、という傾向は読み取れます。
一方、「筑波山梅まつり」はどうでしょうか。2010年は18万人で、震災の年だった2011年でも12万人を確保しています。そして2019年が19万人。ここがひとつのヤマで、2023年には18万人まで戻り、2024年は15万人でした。「水戸の梅まつり」に比べると、乱高下はしていないが、右肩上がりでもない、「上限が見えやすい催し」だと思います。
無理せず気持ちよく回遊-筑波山
その原因は、たぶん交通です。筑波山の梅は、ロープウェイ駅などの限られた入口から歩き出して見に行くようになっています。このため、駐車場やロープウェイなどの収容力や渋滞、公共交通の便といった物理的限界が、そのまま来訪の上限になっているのではないかと思います。
上にリンクを張ったロウバイ記事の「駐車場満杯」も、その「入り口の細さ」を象徴しているように見えます。このことを踏まえれば、無理に増やすより、気持ちよく回遊してもらう―そういうイベント設計思想の方がふさわしいのかもしれません。
歴史を借景に楽しむ-水戸偕楽園
一方、「水戸の梅まつり」は、「地元で自然発生した催し」ではなく、鉄道開通後に始まった観梅列車の運行(当時のインフルエンサーだった新聞記事とセット)と深く結びつきながら、観光のしくみとして育ってきた経緯があります。偕楽園が「藩主の庭園」から観光資源へと変わっていく過程で、鉄道側の観光サービスが重要だったわけです。
つまり、偕楽園は「歴史を借景に梅を見る」場所、筑波山は「地形を楽しみながら梅に会いに行く」場所。同じ早春の花でも、味わいが別ジャンルなのです。その違いを感じるために、今早春は、どちらの「梅まつり」にも行ってみませんか?(元水戸市みとの魅力発信課長)






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