【コラム・片岡英明】文科省は11月、今年度補正予算に公立高校の魅力向上のために約3000億円の基金を設置すると発表した。この予算が成立すれば、学費無償化を含め、公立学校の魅力アップ策も導入されることが期待できる。こうした動きも念頭に置き、今回は県立のつくばサイエンス高校と筑波高校の学校づくりについて考えたい。
サイエンス高:探求重視の進学校
2022年まで4学級だったつくば工科高は、23年から科学技術科6学級で構成されるサイエンス高校となった。しかし、初年度の入学者は88人(つくば市内からは53人)、24年は77人(同53人)であった。そこで県は、「普通科を!」の声を受けとめ、学級編成を変更し、25年から6学級中3学級を普通科にした。すると、市内からの入学者は111人に激増し、全体の入学者も178人(つくば工科時代の22年は134人)に増えた。
24年→25年の中学別入学者数を見ると、並木中:1人→10人、谷田部中:5人→25人、谷田部東中:8人→21人、みどりの中:8人→12人など、地元の入学者が増え、県立高改革が軌道に乗り始めた。
その理由としては、ノーベル賞受賞の小林誠さんが名誉校長であること、4名の外国語指導助手(ALT)などスタッフや設備が充実していることが挙げられるが、私が注目しているのは教育課程である。どの教科を、いつ、どれだけ学ぶかは学校教育の要だからだ。
進学校には、2年生から文・理を分ける受験重視の土浦二高・牛久栄進高型と、1・2年は基本共通科目とし教養を重視する土浦一高・水戸一高型がある。サイエンス高は最初から文・理融合をモットーに教養重視型で、この大きな「構え」に設立当初のスタッフの深い理念が感じられる。
リニューアル開学3年目に学校見学させてもらったところ、学校も一新され、生徒が楽しく学んでいた。職員室前には、山形大工学部をはじめ10数人の大学合格者が掲示されていた。話を聞きながら、今後、京都市の堀川高校や千葉県の市川学園が参考になるのではないかと思った。
筑波高:地域と連携した多面校
小規模校の魅力アップは茨城県の重要な課題である。その点、地域との連携に踏み出した筑波高の学校づくりは注目に値する。改革2年目の進学コースの様子に関心を持ってお話を聞いたところ、少人数での学習だけでなく、進学コースのまとまりや意識も高まってきたという。今後が楽しみである。
先日、筑波高も参加している地元北条の「祭り」を見学した折、生徒の「学校が楽しい」との言葉を聞いた。小田城址で開かれたジャズフェスでのスタッフ活動や、老人ホーム訪問後、「次はあの老人をどうすれば笑顔にできるか」と工夫する取組みなど、フィールドを持つ学びの可能性を感じた。話を聞きながら、校内の川の清掃やヤギを飼うなど、幅広い学びのある武蔵高校・中学が参考になるかなと思った。
茨城の学校づくりのモデルに
筑波高は、保護者も卒業生という生徒が多く、地元とのつながりが深い。また、歴史あるサイエンス高は、地元中学の期待が大きい。地域の応援を受け、この2高が茨城の学校づくりのモデルになるよう期待している。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)






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