TX開業20周年展も
太平洋戦争の終戦から80年を迎えるのを機に、国土地理院(つくば市北郷)内の「地図と測量の科学館」で15日から、企画展「地図と測量に見る戦災からの復興」が始まった。軍港や軍事工場など軍事施設が削除された戦時中の地図、ポツダム宣言受諾決定後に行われた重要書類の焼却から地図を守るために奔走したある軍高官の歴史資料ーなど、明治から始まる国による国土の測量と、戦前から戦後に至る地図作成事業などの歴史を知る展示になる。会場では、今年8月に開業20周年を迎えるつくばエクスプレス(TX)沿線の変化を地図や写真から見る「つくばエクスプレス開業20年 地図・写真から見る沿線の変化」が同時開催されている。
展示されているのは、戦前から残る国土地理院が保管する資料や、空中写真、地図などが掲載されたパネルなど約60点。同院広報広聴室の染谷亨さんは「(土浦やつくば周辺など)私たちが普段暮らしている地域の変化を知ってもらう機会にもなる展示。空中写真などから大きく変わった風景を見ながら、親子で今と昔の変化を話し合う機会になれば」と企画への思いを話す。

「地図と測量に見る戦災からの復興」では、1869(明治2)年に近代測量を行う機関として明治政府により設置された、国土地理院の前身である「民部官庶務司戸籍地図掛」からの歴史資料が地図の変遷とともに展示されている。戦災を逃れた地図の銅原版、戦後のGHQによる測量・地図制作の様子など、現存する資料をもとに作成されたパネルが展示される。
また、国土地理院が保有する豊富な空中写真をもとに、各地の戦中から戦後の復興の様子を知ることができる。県内では土浦、水戸、日立の写真が展示されている。
TX沿線の変遷を地図と空中写真で

「つくばエクスプレス開業20年 地図・写真から見る沿線の変化」では、つくばや研究学園、守谷、八潮、秋葉原などTX7駅周辺の変化がわかる、30年前から10年ごとの空中写真と地図が展示されている。ほかに、TX開業時に先頭車両に取り付けられたヘッドマークや、「葛城」「島名」「萱丸」など仮の駅名が掲載された開業前に作られたパンフレットなどの関連資料も展示されている。

染谷さんは「写真や地図を大きく用いており、視覚的に時代の変遷がわかると思うし、お子さんも楽しめるつくりになっている。今回二つの展示を通じて日本が歩んだ戦後の復興に思いを寄せるとともに、TXによって沿線が進化する様子を感じてもらえたら」と話す。(柴田大輔)
◆企画展「地図と測量に見る戦災からの復興」と「つくばエクスプレス開業20年 地図・写真から見る沿線の変化」はつくば市北郷1、国土地理院・地図と測量の科学館2階特別展示室で9月21日(日)まで開催。開館時間は午前9時半〜午後4時半。月曜など休館。入場無料。詳細は、同ホームページへ。