水曜日, 1月 14, 2026
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小美玉市のイトウ製菓工場《日本一の湖のほとりにある街の話》32

【コラム・若田部哲】「チョコチップクッキー」をはじめとする様々なお菓子で、日本の庶民派おやつとしておなじみの「ミスターイトウ」こと、イトウ製菓。クッキー・ビスケットの専業メーカーである同社の商品全てが、小美玉市で製造されていることをご存じでしょうか? 今回は、そんなおいしいお菓子の製造現場を訪ねました。

見学に先立ち、マーケティング課長の櫻井さんと、工場見学担当の郡司さんから、工場概要のレクチャーです。現在、約200人が働く小美玉工場では、全130品目、毎日16万個ものお菓子が作られています。

製造にあたっては、鮮度保持のため、1日に作る10~16種類の製品について、必要な数量を必要な時間に生産するジャストインタイム方式を採用。効率化のお手本と名高いトヨタ方式と同様のこの方式をとる製菓メーカーは、他ではあまりみられないそうです。

そうしてレクチャー後、いざ工場見学がスタート! 入念な衛生管理を経たあと、製造工程に入室すると、そこは甘い香り漂う攪拌(かくはん)の工程。ここでは一度に600キロもの生地がこねられており、十分均質に混ぜ合せることが、おいしいお菓子づくりの第一条件なのだそうです。

品質を保つため、製品により生地の固さがそれぞれ異なる原料は、機械だけでなく担当者が固さを手でチェック。こねられた生地は、クッキーは型抜き、ビスケットはワイヤーカッターで切断され、見慣れた形へ成形されます。

そしてコンベアを流れる生地は、こんがりとおいしく焼き上げる「焼成」の工程へ。45メートルもの長さを持つ巨大な直線オーブンが4台並ぶこの箇所は、同工場の最大の特徴です。この特製オーブンにより、4段階の温度で一気に生地を焼くことこそ、手作りではできない食感とおいしさを生み出す秘訣、と櫻井さんと郡司さんは胸を張ります。

一歩焼成の部屋に足を踏み入れると、巨大なオーブンの存在感と熱気、部屋に満ちる濃厚な甘い匂いに圧倒され、言葉を失いそうに。次々に吸い込まれる、先ほどまでしっとりしていた生地は、オーブンをくぐること約8分、熱々のクッキー・ビスケットとして再びコンベアに現れます。その後、製品のチェックを経て梱包(こんぽう)・包装され、日本中の家庭で愛される「ミスターイトウ」のお菓子が出来上がり! トラックに積み込まれ、全国へと運ばれていきます。

地元の米粉を使ったバームクーヘン

イラストは筆者

そして今回は見学の後、工場の道向かいに建つ、イトウ製菓による初の直営洋菓子店「アトリエ・プティ・ボア」に伺いました。モミの木をはじめとする様々な植栽による「小さな森」をコンセプトにした敷地に、かわいらしくたたずむ三角形の建物は、まるで童話の中の風景のよう。イトウ製菓工場の目の前にありながら、その存在感の違いから、あらかじめ知らなければ関連会社とは気づかないでしょう。

店内は、バームクーヘンをイメージした独特の形状の木のアーチの連なりと勾配天井が印象的な、シックでいてラグジュアリーな空間。職人さんがお菓子を作っている姿も見られるように設計されており、お買物だけでなく工場見学気分も同時に味わえます。この素敵な店内で、取締役の川中さんにお話を伺いました。

看板商品は、クッキー・ビスケットの専業メーカーであるイトウ製菓の新しいチャレンジである、半生菓子の「バームクーヘン」。小美玉市産コシヒカリの米粉を使用したソフトタイプの「Minoriz(みのり)」と、ハードタイプの「Gateau a la broche(ガトー ア・ラ・ブロッシュ)」の2種類がラインナップされています。

その他のとりどりのクッキーやサブレも、地場の素材に徹底的にこだわっています。米粉のほか、茨城の生乳に卵など、地元の素材をふんだんに使用。併設のカフェで提供するドリンクも、茨城名産の猿島茶、茨城のおいしいコーヒーの代名詞・サザコーヒーを使用するなど、お店全体で茨城の豊かな食の風景を表現しています。

パッケージもモノトーンを基調としたシックなものから、木をあしらったかわいらしいものばかり。近年大人気の「お菓子缶」への対応もぬかりなく、かわいらしい宝石箱のような缶が出迎えてくれます。

イトウ製菓がこれまで小美玉とともに紡いできた歴史を踏まえつつ、さらに地元とのつながりを深め、地域に新たな場所を提供したいと、川中さんは穏やかな、それでいて熱い言葉で語ってくださいました。その思いは着実に浸透し、若者からお年寄り、サイクリストも多く立ち寄るなど、小美玉の新スポットへと成長。庶民派おやつの「イトウ製菓」と、ラグジュアリーな「アトリエ・プティ・ボア」の、これからがとても楽しみです。(土浦市職員)

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