宇宙航空研究開発機構(JAXA)が26日、つくば市千現の筑波宇宙センターで開いた特別公開で、2人の宇宙飛行士がつくばデビューを飾った。21日に日本の新たな宇宙飛行士として認定されたばかりの米田あゆさん(29)と諏訪理さん(47)。月探査計画を含む将来の宇宙プロジェクトに向けて意気込みを語り、イベント参加者からの質問に答えた。
この日約4800人を集めた特別公開には40を超すイベントが用意された。注目を集めたのは「宇宙飛行士候補者 基礎訓練報告会」。2人は昨年、宇宙飛行士の候補者に選ばれたあと、約1年半の基礎訓練を経て21日、JAXAから正式に宇宙飛行士として認定された。このため「候補者」の肩書が外れて、一般向けに初のお披露目となる晴れ舞台になった。
報告会では、4つの分野からなる基礎訓練の内容が紹介された。飛行機に乗って無重力に近い環境を体験したり、自衛隊のサバイバル訓練に参加するなどの経験を積んだ。そのうえで宇宙実験に必要な科学的な知識などを問う試験があり、合格の報に2人は「ワクワクしている」(米田さん)、「一歩一歩頑張ってやっていきたい」(諏訪さん)と決意を新たにした。
2人は今後、渡米してNASA(アメリカ航空宇宙局)で宇宙飛行士としての訓練を受けることになる。アメリカが主導する国際月探査プロジェクト「アルテミス計画」など国際的な月探査計画に参加して、日本人として初めて月面に降り立つことも期待されている。
質疑応答で「月で何をしたいか」を問われた2人は「空気のない月では影が暗く映ると聞くので、かくれんぼをしたらどうなるか試してみたい」(米田さん)、「太陽系がどうやってできたか、地球がどうやってできたか、月がどうやってできたか分かるような石を探したい」(諏訪さん)などと答え、会場を沸かせた。
JAXAでは13年ぶりの宇宙飛行士の誕生で、これで古川聡さん、星出彰彦さんら7人の陣容になる。報告会は事前予約制で参加者を募ったが、新たな飛行士誕生を知った多くの宇宙ファンが会場に詰め掛けた。
千葉県柏市から来た中学2年と小学5年のきょうだいの兄、中村凌さんは「旅客機のパイロットを目指しているので飛行機での無重力訓練の話が興味深かった」、妹の葵さんは「米田さんはかっこよくて堂々としていて憧れの存在になった」という。(相澤冬樹)