【崎山勝功】病気、災害、自殺などで保護者を亡くした遺児らの進学支援を訴える「第96回あしなが学生募金」が21日から県内3カ所で始まった。このうち県南地域ではつくば市吾妻のライトオン本社前であしなが奨学生やボランティアらによる街頭募金活動が行われた。
例年、県南はつくば、取手の2カ所で実施されるが、今回はボランティア不足のため取手での活動を断念した。つくばでは、県立藤代紫水高校(取手市)の高校生やアステラス製薬労働組合の組合員らがボランティアで募金を訴えた。
活動に参加したあしなが奨学生で東洋大学2年の塚本理香さん(19)=鹿嶋市出身=は「人通りが少ないと感じたけど、時間が経つにつれチラシをもらってくれる人も増えた」と手応えを感じていた。藤代紫水高3年の風間涼さんは「結構、皆優しくて、話し掛けてくれた」と話した。
28日も同所で活動が行われる。塚本さんは「進学をしたいと思っても親に迷惑を掛けないようにと自分の夢を諦める子がいる。その子どもたちのために募金活動を頑張りたい」と話した。
アルバイト漬け「グルグル回ってる感じ」
塚本さんは5歳のとき父親を亡くし、看護師の母親と兄2人の4人家族。福祉と保育を学びたいと東洋大学に進学した。
今年度から新たに導入された給付型奨学金3万円と無利子貸与型奨学金4万円の計7万円を受給し、学費に充てているという。一方で生活費のため、週6日、居酒屋でアルバイトをしている。授業のある平日は午後5時から同11時まで、土日は午前11時から午後11時までの12時間勤務だ。アルバイト収入は10万円前後だが「春と秋には教科書代が掛かり厳しい」と話す。
大学で保育の勉強をする塚本さんは、時間に余裕があるなら子育てを支援するボランティア活動をしたいというが、アルバイト漬け同然の現在の生活は「アパートと学校とバイト先をグルグル回っている感じ」だという。
あしなが学生募金事務局によると、生活状況を調査した一人暮らしの奨学生の7割以上が実家からの仕送り無しで生活しているという。