土曜日, 3月 28, 2026
ホーム土浦慶応大の学生10人 土浦・阿見の博物館など巡り 歴史語り継ぐ方法を調査

慶応大の学生10人 土浦・阿見の博物館など巡り 歴史語り継ぐ方法を調査

土浦市立博物館(同市中央)や予科練平和記念館(阿見町廻戸)などを巡り、歴史を語り継ぐ方法を調査しようと、18日から、慶応義塾大学の学生10人が土浦を訪れている。土浦市内に20日まで滞在し、街歩きをしながら史跡を見たり、地元の人にインタビューするなどしてフィールドワークの手法を学ぶ。最終日には同市中央のギャラリー、がばんクリエイティブルームで作業をし、体験したことをまとめる予定だ。

社会学者の清水亮さん企画

訪れたのは同大環境情報学部と総合政策学部の1~3年生10人。土浦や阿見町の戦中・戦後史をまとめた「『軍都』を生きる 霞ケ浦の生活史1919-1968」(岩波書店)=23年3月22日付=の著者である同大専任講師の清水亮さんが教育活動の一環として合宿を企画した。社会学を専門とする清水さんのゼミ生や、フィールドワーク法の授業を受講する学生など、調査手法を学びたい学生たちが参加した。清水さんは学生時代から自身も幾度となく土浦を訪れ、近現代史の調査を続けている(24年8月3日付)。

調査1日目となる18日には、明治、大正、昭和の調剤道具などが展示されている「奥井薬局」や、1929年に飛来した際の写真や資料が展示されている「ツェッペリン伯号記念館」、江戸時代後期の商家を活用した観光拠点「まちかど蔵」などを学生たちが巡って、街中にある小さな展示を見学。手作りの展示に取り組む人々に聞き取りをするなどし、土浦の街全体を博物館に見立てる「フィールドミュージアム」の可能性を探った。

午後には市立博物館を訪れ、歴史や文化を伝える資料を見学した。学生たちは一つ一つに足を止め、メモを取ったり写真撮影をしたりしながら、熱心に見入っていた。見学後は同館学芸員の野田礼子さんに展示の工夫や課題についてインタビューした。2日目となる19日には予科練平和記念館などを訪れ、学芸員の山下裕美子さんや、予科練戦没者の遺書や遺品などの資料を保存・収集する「海原会」の行方滋子さんにも話を聞いた。

災害、地方創生…それぞれの興味から

参加した3年生の福島優希さんは桜川市の出身で、防災教育に関心があり普段は全国各地で調査を行っている。地元の茨城についてもっと深く知りたいと考え、この合宿に参加した。調査で土浦を訪れるのは2回目だ。「土浦は水運の街。今は水害を避けて川辺には住まないことが多いが、土浦の昔の富裕層は川辺に住んでいたのが興味深く、もっと調べたいと思った」と災害の観点から着目し、関心を深めていた。

同じく3年生で静岡県出身の高久快さんは地方創生や地方の経済活性に関心を持っているという。土浦を訪れるのは初めてで「昔の街並みが残りつつ、昔と今とが融合している。『昭和レトロ』な雰囲気がいい」と話す。戦後、軍用地がどのように利用されてきたかに興味を持っており、調べたいという。

1年生の中沢遥花さんは図書館や、サードプレイスと呼ばれる自宅や学校、職場でもない第3の居場所に関心があり、合宿に参加した。「土浦は昔の雰囲気が残っており、歴史を感じられる街」と土浦の印象を語った。

五感で「生きた歴史」見つけて

同大の清水専任講師は「博物館などの展示は、それを作る人の努力と工夫があってできている。リスペクトの気持ちを持ってほしい」と活動の目的を話す。歴史をどのように語り継いでいくか、若い世代の視点で考えてほしいとし、「フィールドワークのノウハウやスキルというよりも、人との出会いを大切にし、そこに生きた歴史があることを学生たちに伝えたい。街中も、風景や地形など実際に歩いて分かることがある。教室での勉強や、書物を紐解いていく勉強とは違い、空間の中で五感を使って体験することを大事にしてほしい」と思いを語り、フィールドワークの楽しさを説く。(田中めぐみ)

◆社会学者の清水亮さんは、29日(日)午後1~3時、土浦市民ギャラリー(同市大和町、アルカス土浦1階)で開かれるトークセッション「ツェッペリン伯号と湖都・土浦を語る」に出演し、小説家の高野史緒さんと対談する。トークイベントに先立って24日(火)~29日(日)、同ギャラリーで「霞月楼所蔵品展」が開かれる。開館時間は午前10時から午後6時(初日は午後1時から開場)。いずれも入場無料。

➡詳しくはこちら

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

1コメント

1 Comment
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

塗装完了、ライトアップ再開 つくばエキスポセンター H2ロケット

40周年、エメラルドグリーンに つくば駅近くの科学館、つくばエキスポセンター(同市吾妻)のシンボルであるH2ロケット実物大模型の全面塗装工事が25日完了し、約4カ月間の工事を経て、一新された姿が披露された。同日夜にはライトアップも再開され、エメラルドグリーンの光が高さ約50メートルのロケットを照らし出した(25年12月11日付)。 今回の全面塗装は2014年以来、11年ぶり。昨年11月25日から足場の組み立て作業が始まった。1990年に同所にH2ロケット模型が設置されて以来、おおむね10年ごとに、基部から先端部分まで全面的に塗り替えが行われてきた。 ライトアップは工事完了に伴い、25日夜から再開された。今年エキスポセンターは、1986年4月の開館から40周年を迎えることから、ライトの色を、ロゴや看板、横断幕などに使用される40周年記念イメージカラーのエメラルドグリーンとした。これまでも、乳がん啓発月間にはピンク、世界糖尿病デーには青など、イベントに合わせてテーマカラーに変えながら常時、ライトアップを行ってきた。 館内では40周年を記念して、来場者用の記念スタンプや、館内限定で利用できる特設オンラインフォトフレームなどが用意されている。 今回の塗り替えについて、エキスポセンターの中原徹館長は「つくばエキスポセンターのH2ロケットの再塗装が無事終了した。つくばのランドマークであるロケットをきれいな姿で皆様に披露できることをうれしく思っている。是非、新品のようになったロケットを見にきていただけたら」と語った。 エキスポセンターは、1985年に開かれた「科学万博つくば’ 85」の第2会場として建てられ、万博閉幕翌年の1986年に科学館として再オープンした。当時、世界最大だったプラネタリウムをはじめ、万博関連資料が展示されているほか、最先端の科学技術をわかりやすく紹介している。 今回、お色直しされるH2ロケットの模型は、初の純国産大型ロケットとして1994年に1号機が打ち上げられた「H2」を模したもので、1989年の横浜博覧会で展示された模型を1990年6月にエキスポセンター屋外展示場に移設した。(柴田大輔)

J:COM茨城が「JCOMマーケティング茨城支社」に 4月から

茨城県南を中心に事業展開するJ:COM茨城(登記名は土浦ケーブルテレビ、本社土浦市真鍋)の名称が4月から「JCOMマーケティング茨城支社」に変わる。親会社JCOM(本社東京千代田区)のグループ組織再編に伴うもので、J:COM茨城は存続会社ジェイコム東京(4月からJCOMマーケティング)の地方部門になる。サービス内容は変わらないという。 土浦ケーブルテレビは1983年、土浦市や地元有力者の出資で設立された。元々は有線によるテレビ番組を提供する会社だったが、現在では、通信ケーブルや光ファイバーケーブルを使い、多チャンネルテレビ、インターネット接続、固定電話サービスのほか、ネット防犯カメラ、太陽光発電パネル設置なども扱う会社になった。 事業拡大の過程で、住友商事が出資するJCOMの傘下に入ったが、登記上の社名は「土浦ケーブルテレビ」を維持してきた。ところが親会社のJCOM(現在はKDDIも折半出資)が大規模な組織再編を実施。全国展開するケーブルテレビ子会社9社のうち、ジェイコム東京が存続会社になり、J:COM茨城など残り8社を吸収合併することになった。 県央にも進出へ J:COM茨城の海老澤孝一社長(4月から支社長)は再編の利点について ①契約者が東京などに引っ越した場合、そのエリアに支社(3月までは系列会社)があれば契約が社内の手続きで済むので、契約者には便利になる ②現在のサービス地域を広げる場合、同じ社内の人事で要員確保が可能になるので、スムーズに事業展開ができる―などを挙げた。 J:COM茨城の現サービ地域は、かすみがうら、つくばみらい、つくば市の一部(茎崎地域など)、阿見町、美浦村、牛久、取手、守谷、常総、石岡、土浦市、利根町、龍ケ崎市。2月末の加入世帯は、ケーブルテレビ5万3000件、インターネット5万900件、固定電話4万5400件、モバイル8638件。 同社は「茨城はケーブル事業者が少なく、県庁所在地に事業者がない唯一の県。すでに事業者が存在する日立、県西、つくばの各エリアには出ないが、今後、県央、県北、鹿行には、他社ケーブルを借りる形で出て行く」(海老澤氏)と話す。特に水戸エリアを重視している。(坂本栄)

友達を定義できるか《土浦一高哲学部「放課後の哲学」》5

【コラム・1年 月山望】 「今日友達がさぁ」 こんなふうに話すとき、「友達」という言葉はどのような人を指すだろうか。本当に親しい人、よく話をする人、果てはただのクラスメートまで。このように、友達という単語にはあまりにも多くの意味がある。 私は昔から、親や先生がクラスメートを友達と同じ意味で使うことに反感を抱いていた。よく話をする人と話さない人、気が合う人と合わない人、クラスメートの中にもいろいろいる。これらの人々をすべて友達とするのは、私には無理がある。 「クラスメートなどというものは、しょせん同じ空間にいるだけの他人であり、友達というに値しない」。そんなふうに考えたこともある。しかし、世の中にはクラスメートは全員友達である、という価値観の人もいる。(おそらくクラスLINEを作るのはこのようなタイプの人間だと、私は思う)。この違いは一体なんだろう。友達とは、いったいどこからいえるのだろうか。 私には、たまにしか会わないが、信じられないほど馬が合う友達がいる。それは一体どういうことなのかを考えてみると、その友達は、会わない時間など気にならないくらいに、気軽に話せる気の合う人だ。だとすると、私にとって友達と言える人の条件は「会わない時間が気にならないくらい、性格の相性が良い人」ということなのだろう。 しかし「クラスメートはみんな友達」という理論の持ち主は、おそらく私と全く異なる価値観で友達を考えているのだと思う。そのような人は、何をもって他者を友達と考えるのだろうか。おそらく「一緒の空間にいる(いた)こと」ではないかと私は考えている。例えば一緒のクラス、一緒の部活などが考えられる。「クラスメートはみんな友達」という理論の持ち主は、同じ空間を共有している(いた)人に、気軽に声を掛けることができるタイプの人たちなのではないか。であれば、クラスメート全員を友達と認識していてもおかしくない。 そこで問題になるのは、感情が一方通行であることだ。相手の意思とは関係なく、自分が友達だと思えればいいという考えだといえる。それは、私が考える友達とは異なるものだ。一方で、私にとっての友達の条件が、クラスの全員に当てはまることもないだろう。私が考える友達の条件も、私だけのものなのかもしれない。 ここで改めて今回のテーマである、友達を定義できるか考えてみよう。ここまで見てきたように、私と他の人の考える友達の条件は、全く異なるものであり、私と私の友達の間ですら、もしかすると異なった認識でいるかもしれない。友達に対する価値観は、それぞれ異なるものであり、あやふやなものだと言える。どこからが友達と言えるのか。そんなものは自分の主観でしか決められないのだ。しかし、だからこそ、私たちは他者と友達になることができるのではないだろうか。定められた友達という型に、他人を、自分を無理やり押し込めるのは、あまりに難しい。なんとなく話しかけてみる、距離を縮めてみる。それは、定義された友達を目指すことよりずっと簡単なことだ。 定める必要などなく、ふと気がついたらそうなっている。友達とはそんなものなのかもしれない。そうなると、友達を定義できるか?に対する私の答えは「定義できない」だ。

市営駐輪場のオンライン申請でシステム障害 つくば市

つくば市は27日、市営駐輪場を月決めなどで利用する定期利用について、今年4月分から新たにオンラインでの申請受付を開始したところ、システム障害が発生し、つながりにくい状態になったと発表した。 市によると、つくば駅周辺で4月から空きが出る9カ所913台分について、15日午前9時から午後6時まで、オンライン申請を受け付けたところ、受付開始直後の午前9時から午後6時まで計9時間にわたり、申請フォームがつながりにくい状態になった。駐輪場を管理する市公園・施設課には「(手続きが)進まない」などの苦情電話が50件ほどかかってきたという。システム障害の発生により市は当日、申請受付時間を午後9時まで延長した。 システム障害により手続きできなかった人が何人いたかは不明だが、障害が発生した午前9時~午後6時までに149件、延長した午後6時~9時までに124件の申請を受け付けた。申請できなかった人に対しては、現地の駐輪場管理事務所で随時受け付けているという。 市デジタル政策課によると、申請受付システムにはもともとアクセスが集中した際に、順番待ちしてもらう仕組みが設計されていたが、アクセスが集中して負荷がかかったことからシステム内部で処理が滞り、後続のアクセスを遮断してしまうという構造上の問題があったという。 申請は、茨城県や県内市町村が共同運用する「いばらき電子申請・届出サービス」を通して、マイナンバーカードを使って申請する仕組み。当日、同サービスを使った市の他の申請や届け出にも影響があったとみられるが、他の利用者から苦情などはなかった。 市営駐輪場の新年度からの定期利用についてはこれまで、つくば駅前の駐輪場管理事務所に並んでもらい、申請を受け付けていたが、例年200~300人が並ぶ状況であることから、今年からオンラインでの申請受付を開始した。 市は、システム提供事業者のNTTデータ関西に対し、不具合の改修と緊急時の体制見直しなど再発防止の徹底を図るよう、強く申し入れたとしている。