【コラム・片岡英明】前回(8月13日掲載)は、今年の土浦市立8中学から土浦一高への入学者が18人に激減したと書いた。つくば市の高校受験も、牛久栄進高の学級増や市内のサイエンス高の普通科併設などで改善はしたものの、受験者の増加に追い付かず、状況はさらに深刻といえる。
まず、竹園高校を例に解決策を考えたい。つくば市内中学生の県立高校への入学者を、上位4校について見ると、以下のようになる。
22年 23年 24年
竹園高校 222 200 185
牛久栄進 127 129 150
土浦一高 92 88 70
(募集学級 6 6 4)
土浦二高 89 113 124
土浦一高の募集減のため、市外からの竹園高への入学者が増え、今年の市内入学者は3年前に比べ37人減った。今年から1学級増えた牛久栄進高へは前年より21人増えた。募集学級が減った土浦一高へは3年前より22人減り、土浦二高へは35人増えた。結果、つくば市からトップ2高(土浦一高と竹園高)への入学者は59人減った。
竹園高への市外入学増と土浦一高の定員削減の両挟みに遭い、進学の悩みが土浦一高・竹園高受験者だけでなく、中学生全体に広がっていると言える。この推移を過去5年について見ると以下のようになる。
20年 21年 22年 23年 24年
竹園高校 185 188 222 200 185
牛久栄進 129 127 127 129 150
土浦一高 109 119 92 88 70
(募集学級 8 7 6 6 4)
土浦二高 101 110 89 113 124
竹園高入学は、土浦一高が6学級になった22年に市内回帰が起き、222人に増加した。しかし、今年は土浦一高入学がさらに減少した上に、22年の竹園高増加分も消えてしまった。土浦一高+竹園高は、294人→307人→314人→288人→255人。22年をピークにして、今年は5年前より39人減った。つくばの受験生のため、竹園高の「狭き門」を広げる必要がある。
つくばエリアは15学級不足
土浦市の保護者からは「土浦一高は無理」といった声、つくば市の保護者からは「市内県立高が不足」の声を聞く。保護者の悩みは深刻で、募集条件が毎年違うので過去のデータは参考にならないとの意見があり、進学先を変更したとの声も多かった。
23年→24年の土浦一高入学者が大きく変動した中学も多い、土浦一中:10人→3人、土浦四中:6人→3人、都和中:5人→1人、吾妻中:9人→3人、手代木中:16人→5人、竹園東中:10人→20人。県は、この増減の裏にある受験生の悩みを読み取ってほしい。
問題は、この募集減がつくばエリアの構造的な県立高不足とTX沿線の中学生増の大波の中で起きていることだ。県全体の平均に比べ、つくばエリアの県立高の募集は現状で15学級不足している。加えて、25年入試ではエリア内の水海道一高の定員も削減される。
各エリアの生徒数に見合う入学枠設定を宣言した県の「2019年高校改革プラン」に期待しているものの、その後に筑波高・水海道一高で定員削減があり、つくばエリアの募集増は進まない。その間、つくば市の高校受験生は1928人(20年)から2174人(24年)へと246人(12.8%)も増え、状況は深刻になっている。
改めて、つくば・土浦の受験生のために、土浦一高の募集を6学級に戻し、竹園高については2学級増を求めたい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)