障害者スポーツの普及・発展などを目指す一般社団法人「茨城パラスポーツ協会」がこのほど設立され、8月31日、土浦市内のホテルで設立式が開催された。パラスポーツの振興、障がいに関する理解の促進、自立と社会参加の促進、多様性の尊重と共生社会の構築ーの四つを設立目的とする。大井川和彦知事のほか国会議員、県会議員、周辺市町村長ら多数が来賓として出席し鏡開きによって門出を祝った。
代表理事を務める皆川鉄雄さんは「スポーツを通じて得られる絆や達成感、自己成長の機会を、より多くの人々に広げたいという思いから設立した。特に、若い世代が競技に打ち込める環境を提供し、彼らがスポーツの素晴らしさを実感しながら成長できる機会をつくりたい」と構想する。皆川さんはシッティングバレーボール日本代表としてパラリンピック北京大会と東京大会でともに8位入賞した。
協会設立は励みに
所属選手のうち最年少は9歳の冨嶋美月さん。2歳のとき脊髄梗塞で障害を負った。リハビリ入院していた阿見町の県立医療大に車いすバスケのチームがあることを知り、体験会を経て練習に参加するようになった。
同チームでは年齢や性別、障害の有無も問わず一緒に練習に励み、他県のチームなどと交流試合もしている。「大学生や大人の人と混ざってやるとテクニックの練習にもなるし、シュートも入りやすくて楽しい」と美月さん。
4歳からパラスキーも始めた。ガイドの人にロープで引っ張ってもらいながら滑っていたが、今年からは一人で滑って止まる練習もしている。中学生になったら一人でリフトに乗ることにも挑戦したいという。
「活発な子なので、歩けなくても何かスポーツをさせてあげたいと思ったが、最初はどこへ行けばできるかも分からなかった。テレビで見るパラスポーツも大人ばかりだったので、最初は『子どもでもできるんですか?』という質問からスタートした」と母の里美さん。「これからもいろんなスポーツにチャレンジさせてあげたい。協会の設立はこれから始めたい子にも、続けていきたい子にも励みになると思う。できてよかった」と喜ぶ。
サポート受け情報交換の場にも
「選手の頑張りを通じて、パラスポーツによって障害者がこんなに元気になっているんだと一般の人たちにも伝えられ、障害があってスポーツをやっていなかった人にも知ってもらう良い機会になる。協会があることでさまざまなサポートが受けられ、情報交換の場にもなると思う」と話すのは、車いすバスケ女子日本代表のチームドクターを務める筑波大学医学医療系リハビリテーション科准教授の清水如代さん。自らも健常者として車いすバスケの練習に参加しながら、選手にどういう困りごとがあるかや、どういうけがをしやすいかなどを研究する。「所属選手には日本代表を目指す子もいる。競技力向上やパフォーマンス向上のためのサポートもしたい」という。(池田充雄)
◆同協会はビジョンに共感し、共に歩んでくれる協賛企業を募集している。問い合わせは電話029-832-4699(一般社団法人茨城パラスポーツ協会)へ。