木曜日, 10月 23, 2025
ホームスポーツチームの団結力で束になって戦う 霞ケ浦 高橋監督【高校野球展望'24】㊤

チームの団結力で束になって戦う 霞ケ浦 高橋監督【高校野球展望’24】㊤

第106回全国高校野球茨城大会が6日開幕した。霞ケ浦、土浦日大、常総学院の名監督から熱い話を聞かせてもらった。2019年から始まった県南強豪チームの監督インタビューは今年で6回目を迎える。

1回目は霞ケ浦の髙橋祐二監督。霞ケ浦は、昨秋は鹿島学園に、今春はつくば秀英にそれぞれ準々決勝で敗れた。また、昨夏は後にプロ入りした木村優人投手を擁し、土浦日大との決勝戦では8回終了時点まで3対0で勝っていたものの、9回に逆転負けを喫した。今夏を迎えるにあたり心境を語ってもらった。

冷静であればしのげた

ーまず去年の決勝戦のことを聞かせてください。

高橋 決勝戦で先発したエースの木村優人は兄2人(翔太=東洋大―日本通運、英二)が決勝戦の延長15回、9対10で土浦日大に負けたのを小学6年生の時に現場で見ていたのです。兄のリベンジを果たすべく三兄弟で一番下の優人が向かっていって、3対0で9回を迎えて、あと1イニングだったのですがね。

9回のマウンドに上がるときにキャッチャーの安藤早駆(千葉商科大1年)を呼んで、7番バッターから始まる下位は変化球を連投して、上位になったら真っ直ぐ中心で行くよう指示をしたのですが、真逆になってしまった。

ほかにも一死一塁から出したフォアボール…。

高橋監督

二死一、二塁からの守備体系の指示を仕切れなかったのも悔やまれます。3対2で勝っていて二死一、二塁。バッター4番。一塁線と三塁線をガッチリ詰めて、一二塁間、三遊間を抜かれるのは良しとする。外野は深く守らせておいて一塁ランナーを返さない守備体系をするという定石通りの守り方をしていなくて、三塁線を抜かれて同点に追いつかれました。定石通りに守っていればサードゴロで試合終了だったということは反省すべき点だなと思います。ベンチでもっと冷静にいろんな指示をしなくてはならないんですが、木村への気持ちの切り替えの指示や励ますのに必死で、守備体系の指示が回りませんでした。冷静であればしのげたので悔やまれます。

木村は大会中にデッドボールを受けて本調子でない部分がありながらも、彼なりに頑張って勝負所は一生懸命に投げてくれました。決勝も悪いながらも8イニングを4安打無失点です。あとアウト3つだったんですけどね。

ーありがとうございます。木村君はその後、U-18日本代表に選出され、千葉ロッテからドラフト3位指名されプロ入りを果たしましたが、連絡はありますか。

高橋 今日のゲーム(6月28日)で登板予定だったんですが、雨で流れて来週先発しますとさっき連絡がありました。5月17日のイースタンリーグで初登板の時に見たときには着実に良くなっていました。体もびっくりするくらいでかくなっていて、5カ月で9キロも増量していました。3食しっかり食べて、暇さえあれば何か食べろと言われているみたいですが、臀部や足の太さは別人のようになっていますね。

采配を振るう髙橋監督(左)

春は谷底にあった

ー新チームのことについて伺います。春は準々決勝でつくば秀英に敗れました。振り返って所感などをお聞かせください。

高橋 春はチーム状態が心身共に疲弊していましたので勝ち上がれる状態ではなかったです。

ーどういうことですか。中心選手が引っ張っていけていないとか。

高橋 今年のチームは強力なリーダーシップを執れる選手が不在で、選手同士で気持ちを高め合ったり励まし合ったりという感じではなくおとなしい選手が多いのです。

チームの一体感とか、秋から冬の反省を生かしたきめ細かい野球をやっていく領域に達していませんでした。上手い下手じゃなくて、準備とか思考力を大事にしていってこそ初めてチームが出来上がるはずなのに、大事なところを無意識なまま感覚で野球をしているので、春の大会はその谷底にあった状態です。

最後の夏に賭ける想いを爆発させてほしい

ー最近はどうなんですか。

高橋 私が夏の大会モードにするために気持ちを乗せていくように仕向けたら多少は上がっていくのですが、良い日もあれば、一転して気分が乗ってない悪い日もある。夏まで残りわずかなのに危機感を覚えています。

ー1年生から出場している羽成朔太郎選手や雲井脩斗選手がチームを引っ張っていっているのではないのですか。

高橋 昨年の中心選手だった木村と新保玖和(仙台大1年)が抜けた分、羽成と雲井が去年よりも良くなればそれだけでカバーできるのですが正直言って物足りません。もう少し最後の夏に賭ける想いを爆発させて、夏にはチームを精神的にも技術的にも牽引して欲しい。出来なくてもいいから一生懸命に頑張って欲しい。彼らには期待しています。

中心選手として活躍が期待される羽成朔太郎選手

試合つくれる投手が3人

ー今年のピッチャー陣はどうですか。

高橋 飛び抜けて良いプロ注目という選手はいませんが、左腕の市村才樹(2年)をはじめとして試合をつくれる投手が3人います。あと、何人かをベンチに入れる予定です。

ー春に背番号1だった乾健斗投手はベンチに入って来ますか。

高橋 怪我明けですが復調してきました。市村、乾、眞仲唯歩は確定です。眞仲はサード兼任。投手陣にはマウンド上で打者に向かっていく闘争心を見せてくれることを期待しています。

エースの市村才樹投手

1点の重みをずっと説いてきた

ー今年のチームの特徴としては一言で表すと…。

高橋 先ほど話したことと正反対になりますが、今年はチームの団結力で束になって戦います。突出した選手がいない分、一つにまとまって戦うしかありません。だからこそ、最後の最後で団結力を発揮できるよう、3年生には期待しています。チームを引っ張って欲しいと思っています。それから、1点の大切さや重みのことを1年間ずっと選手に説いているのですが、これだけ時間を割いたので、この1点で負けてしまうんだということを真剣に感じ取って、夏にはチームが大化けしてくれるのではないかと、願望混じりですが感じています(笑)。

良いピッチャーは飛ばなくなる

ー閑話休題。今年から高校野球の金属バットに反発力を抑える新基準が導入されました。導入後どうですか。

高橋 良いピッチャーになればなるほどボールが飛ばなくなるので打つのは厳しくなると思います。フライになったら絶対に伸びませんので、ライナーで放り込むしかありません。

ーしっかりとコンタクトすれば前のバットと変わらないという話も聞きますが。

高橋 芯で捉えれば飛びますが、詰まったら終わりです。先っぽであればまだ可能性はありますが。泳ぎながら前でさばく場合は可能性があります。ただし、木製バットの場合はインサイドアウトで引きつけて打つため、前で先っぽで打つというのは正反対なので、選手が将来木製バットでやる場合とは益々違う打ち方になるでしょうね。

ー最後に、夏に向けての意気込みをお聞かせ願います。

初戦から一戦一戦勝利を積み重ねて、去年の雪辱を果たしたい。そして甲子園で初めて校歌を歌うことが目標です。勝ちにこだわるというよりも、俯瞰(ふかん)して冷静に、時に無欲に選手の可能性を信じる。意外とこういう肩の力が抜けた方が結果は付いてくるのかもしれないなって最近感じています。(聞き手・伊達康)

続く

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

0 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

170企業・団体が技術や商品PR 筑波銀行ビジネス交流商談会

地域産業の販路拡大を応援 地域企業の情報発信と販路拡大を応援する筑波銀行(本店土浦市、生田雅彦頭取)の「2025ビジネス交流商談会」が22日、つくば市竹園、つくばカピオで開催された。県内のほか栃木、群馬県など北関東の約170の企業や団体が参加し、「食」「ものづくり」「ベンチャー」などの各ブースで自社の技術や商品をPRした。約2500人が来場し、各ブースでは担当者の話に熱心に聞き入ったり、名刺を交換する姿が見られた。約400件の商談が行われた。 同時に食のPRイベントとして「つくばマルシェ」が会場前広場と隣接の大清水公園で開催され、つくば市の「銀座惣菜店」など15店が出店した。 ワクワクするビジネスの出会いを 商談会は地域産業の販路を拡大しようと、同行が北関東の栃木銀行(宇都宮市)、東和銀行(前橋市)などと共催して毎年開催している。 生田雅彦頭取はオープニングセレモニーで「国内外の経済情勢は、原材料コストの上昇や人手不足など厳しい環境に置かれており、地域金融機関としてはこれまで以上に地元中小企業に継続した支援が必要不可欠と考えている」とし、今年の交流商談会について「同業種だけでなく異業種も含め、ワクワクするようなビジネスの出会いに貢献し、サステナブルな未来に向けたビジネスモデル構築の機会となり、地域社会の発展の一助になれば」などとあいさつした。 「食」のブースでは、筑波山麓でオリジナルブランドの常陸小田米を生産しているつくば市の筑波農場や土浦市の焼き芋専門店芋やす土浦本店など48社が出展し、商品をPRした。「ものづくり」ブースに出展した東茨城郡大洗町のワークショップステップインターナショナルは、体幹機能が低下した人や犬の体幹機能を安定させる特殊繊維のEQT繊維素材で作ったリストバンドなどを展示した。 商談会には高校生も参加した。県立常陸大宮高校(工藤博幸校長)は授業の一環として、同市の友好都市である秋田県大館市の高校生とともにブレンドコーヒーのドリップパックを開発し、参加者に無料配布した。 行政機関のブースには茨城県のほか石岡市や牛久市などの自治体、県開発公社などが出展した。つくば市は同市認定物産品の日本酒や菓子などを集めた「つくばコレクション」と、筑波山麓サイクリングなど市内周遊観光モデルコースを紹介した。同市産業振興課の本田茜さんは「つくば市は面積が広く、知られていない観光スポットも多い。市に移住している人も増えているので、県外の人はもちろん市内の人にも今日の機会に市の良さを周知したい」と話していた。(伊藤悦子)

割烹着の制服 大日本忠君愛国婦人会《くずかごの唄》152

【コラム・奥井登美子】荻窪で生まれ育った私は、父の仕事の関係で荒川の近くに引っ越した。小学3年生のとき、サリーという名のシェパード犬を飼っていた。サリーは私にとって愛犬以上の存在だった。「ハウス」と叫ぶと犬小屋にさっと入っていく。毎朝、サリーとの散歩が学校へ行く前の楽しい日課だった。 サリーを連れて荒川の土手を散歩しているとき、愛国婦人会という旗を持ち、自分たちで制服と決めた割烹(かっぽう)着を着た3人のおばさんたちに会ってしまった。「日本はいま戦争中です。私たちも愛国の精神で、このような活動をしています」。一人一人バラバラになると、普通の平凡なおばさんだが、3人が束になると迫力がすごい。 「忠君愛国」「忠君愛国」「……」。お念仏のように唱えて、旗を振っている。 「今、日本は戦争中です。犬なんか飼っている人はおりません」 「この犬はとてもお利口さんで、人間の雑飯、残り物を何でも食べてくれます。わざわざ犬の餌を用意しなくても、大丈夫なのです」 「住所と名前を言いなさい」 「犬の名はサリー」 「犬の名、聞いてどうするのですか。しかも、サリーだなんて、敵性用語ではないですか。あなたの親の名と住所を言いなさい」 「はい……」 サリー、どこへ行ったの? 私が学校に行っている間に、隣組長さんのところに愛国婦人会の人が来て、犬をどこかに連れて行ってしまった。その日のうちに殺されてしまったそうである。 「サリー、どこへ行ってしまったの?」 それから1カ月間、私はサリーの名を呼びながら、泣いてばかりいた。(随筆家、薬剤師)

たかが5千円 されど5千円《短いおはなし》44

【ノベル・伊東葎花】 夕方の混み合うスーパーのレジ。 あら、この人、お釣り間違えてる。2300円買って5千円出したら、お釣りは2700円でしょう。それなのに私の手には、7700円が載っている。やっぱり言わないとまずいよね。5千円って大きいもの。「あの」と言いかけた途端、後ろに並んだ客に肩を押された。 「終わったらさっさとよけて」 弾かれて、私はすごすごと下がった。ネコババしたわけじゃないのよ。ちゃんと返そうとしたのよ。なのに、あのおばさんが押すから。言い訳しながら、万引きでもしたような気分で、ささっと店を出た。 戸惑いながら5千円札を見る。たかが5千円。そうよ。普段の行いが良いから、神様がくれたご褒美よ。そう思ったら気が楽になった。 夜になって帰ってきた夫が、やけに沈んでいる。 「何かあったの?」 「実はさ、同期のKくんが、懲戒免職になったんだ」 「まあ、どうして?」 「K君は経理の仕事をしているんだけど、会社の金を使い込んだらしい」 「まあ、いくら?」 「5千円」 「5千円? たったの5千円?」 「たとえ5千円でも横領だよ。ちょっと借りて後で返すつもりだったらしい。これまでも、何度かやってたらしいんだ」 「クビになったら大変じゃないの。どうするの、これから」 「職探しだな。奥さんは駅前のスーパーで働いているらしいよ」 「駅前のスーパー?!」 私はハッとした。 釣銭を間違えた店員のネームプレート、確かKではなかったか。「飯まだ?」という夫の声など聞こえないほど動揺していた。罪悪感で押しつぶされそうだ。明日スーパーに行って、5千円を返そう。 翌日、封筒に5千円を入れてスーパーに行った。Kさんは、都合よく人気の少ない通路で品出しをしていた。 「あの、Kさん」 話しかけるとKさんは笑顔で振り返った。 「いらっしゃいませ。何か御用でしょうか」 「あの、昨日、レジのお金、合わなかったでしょう?」 「え?」 「ごめんなさい。私、お釣りを多く受け取ってしまって。これ、返します」 「何のことでしょう?」 「いいから受け取って。ご主人だけでも大変なのに、あなたまで辞めさせられたら大変じゃないの。ね、受け取って」 私はKさんのポケットに封筒をねじ込んで、素早く店を出た。これでいい。これで私が地獄に落ちることはない。 Kさんは、首をかしげていた。 「なんだろう、あの人。レジのお金はきっちり合っていたのに。あら、5千円も入ってる。店長に言った方がいいかな。でも私、今日で辞めて夫と田舎に帰るから、別にいいか。もらっておこう。ラッキー」 Kさんが、意外としたたかだったことなどつゆ知らず、私はその夜家計簿を付けながら、5千円が足りないことに気が付いた。もしかして私、昨日の買い物で1万円出していた?あ、そういえば、1万円札だったかも。絶対そうだ。私の勘違いだった。落ち込む私に息子が追い打ちをかける。 「お母さん、部活の合宿代5千円ね」                                     (作家)

日本語学ぶ10月入学生大幅増 日本つくば国際語学院で歓迎会

つくば文化学園(東郷治久理事長)が運営する日本語学校「日本つくば国際語学院」(つくば市松代、東郷校長)の2025年10月入学の新入生歓迎会が21日、同市小野崎の料亭、つくば山水亭で開かれた。9つの国と地域から来日した65人が、鮮やかな民族衣装などに身を包み、新たな一歩を踏み出した。昨年10月と比べ1.5倍の入学者数となった。在校生も含めこの日は日本語を学ぶ211人の学生が会場にあふれた。 入学生の出身国・地域はネパール、ミャンマー、スリランカ、バングラデシュ、べトナム、中国、モンゴル、台湾、フランスの計65人で、ネパールが27人と最も多く、次いでミャンマー20人。 歓迎会では学生証の授与式などがスピーディに行われた。その後、出席した10月入学生64人全員が一人ひとり、習いたての日本語で自己紹介した。出身国、年齢、日本でやりたいこと、趣味などを話し、「日本語を学び大学や大学院に進学したい」「IT技術を学び母国で役立てたい」などと語った。趣味は「サッカー」「読書」「旅行」など、好きな食べ物は「ラーメン」「おにぎり」などと話す新入生もいた。 在校生代表してスリランカ出身のカンブラワラ・ヴィターナゲ・ハンサマーリ・サダルワニさんが歓迎のあいさつをし「最初、不安を感じることもあるが、少しずつでも、諦めず、頑張り、努力すれば必ず道は開ける。あせらず自分のペースで夢を実現していこう」と新入生にエールを送った。 東郷理事長兼校長は「日本語は難しいが、努力を積み重ねることで必ずものにすることが出来る。そして日本の文化や社会を学んでほしい。つまずくこともあるかも知れないが、明るく前向きにチャレンジしていけば良い結果が生まれる」と話した。 記念撮影会や歓迎パーティなども催され、ダンスや歌などが披露された。ミャンマー出身の学生によるダンスがフィナーレを飾り、会場を盛り上げた。 同校は県内最大の日本語学校。東郷理事長は「今回も入学者がかなり増え、この傾向は続くと思う。現在、校舎もいっぱいいっぱいの状態で対策を考えているところ」などと話した。(榎田智司)