【山口絹記】近所のスーパーに青梅が並んでいるのを見て、今年ももうそんな時期かと気が付いた。10年ほど前、もうすぐ産まれてくる娘が大人になったら一緒に飲める梅酒を作ろう、ということで梅酒を作り始めてから、我が家ではなんだかんだと毎年のように青梅を買っている。
当初は梅酒に梅シロップ、梅酢シロップの3種を作っていたのだが、普段からあまりお酒を飲まないために梅酒は余るようになり、砂糖と梅と少量の酢で作る梅シロップは失敗(除菌が不十分なのかカビが生えてしまう)することもあって、まず失敗することもなく、こどもにも人気の梅酢シロップだけ作り続けている。
なんらかの果実を漬ける、という文化は、私の中では母方の祖母から受け継いだものだ。祖母は生前、割と様々なものをお酒に漬けていた人で、梅酒の作り方は祖母に教えてもらった。私の知らないところでもマタタビの実などでお酒を作っていたようで、実家にはいまだに謎の数十年物のお酒と思われる液体が保管されている。
様々な液体が増える?
最初は私と妻だけでゆったり丁寧に作っていた梅酒やシロップも、次の年からは娘が参加して部屋が水浸しになったり、娘が上手に手伝ってくれるようになったと思ったら、今年は下の息子も参加して青梅がそこかしこに転がるようになった。
昔はこだわっていた容器も、スーパーで売っている一番安い赤いフタのやつになり、当初は試行錯誤していたレシピも、ここ数年は必要なものが入っていればいいか、という感じである。やっていることは毎年同じでも、その状況や情景が少しずつ変わっていく。
梅酢シロップを作り終えたあと、娘が氷砂糖の袋に記載されていたレモンシロップのレシピを見て、次はコレを作ってみたいと言った。我が家でもこうして様々な液体が増えていくのかもしれない。(言語研究者)