土曜日, 2月 7, 2026
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下肢まひ障害者の自立歩行探る つくばで生活支援ロボットコンテスト

障害があり車いすで生活している人たちの「自立歩行」を実現する機器の開発・普及を目的に、生活支援ロボットコンテストが29、30日の両日、つくば市の廃校跡の特設会場で開かれた。グローバル・イノベーション・チャレンジ(GIC)実行委員会(東京都港区、上村龍文実行委員長)による、同市では2回目の開催で、国内外から2チームが参加して、「食事」や「トイレ」「洗濯」など5課題に挑んだ。

会場となるGICつくばイノベーションセンターは、旧菅間小(同市中菅間)体育館に設置された平屋建ての仮設住宅。キッチンとリビングルーム、たたみ敷のベッドルームに水回りなどの間取りで構成され、壁がガラス張りで透視できる形になっている。

今回は藤田医科大学(愛知県豊明市)を中心にしたチームWPAL(ウーパル)、台湾に拠点を置く企業の子会社の日・台の2拠点からの参加となるチーム FREE Bionics(フリーバイオニクス)が参加。それぞれ股継手やロボット支柱、モーターを両下肢内側に配置し、高い立位安定性を実現(WPAL)、股関節と膝関節にモーターがあり、立つ、座る、歩くことを可能にした(FREE Walk)ロボットを持ち込んだ。

チーム FREEのロボットを前に江郁軒さん(左)とパイロットの松原浩平さん

課題「トイレ」は、ベッドから起き上がり、ロボットを装着。トイレに移動し、ズボンを足首まで下ろして便座に座り、用をたした後、便座から立ち上がり、ズボンを上げ、水を流す。洗面所に移動して手を洗い、タオルで手を拭きベッドに戻るまでを制限時間8分でこなす内容だ。

下肢まひの障害を持つ当事者がパイロット役を務め、車いすからロボット装着に乗り換える形で住居内を移動する。住宅の天井から装身具が吊るされ、パイロットの転倒事故を防ぐ配慮が講じられるが、各チームの人力による補助は得られない。両チームとも事前に、同センターで練習を重ねながら、日常の生活動作をこなす一連の課題に取り組み、コンテストに臨んだ。

同コンテストは2021年からリモート競技により始まり、昨年から同会場での「リアル開催」になった。課題ごとに達成賞金が贈られ、7つの課題をすべてクリアした場合の賞金総額は100万ドル(約1億6000万円)、「トイレ」課題1つの達成でも5万ドル(約800万円)が授与される。今回は難易度の高い「掃除」(掃除機で住宅内を掃除しごみ袋を外に出す)、「入浴」(入浴して着替える)の2課題への挑戦は見送られたが、5課題に2チーム合わせ9回のチャレンジが行われた。

昨年は1課題のクリアにとどまったが、今回は各課題で制限時間内に作業を完了させるチームが続いた。ロボットとリハビリテーションの専門家による現地審査が行われ、オンライン審査と合わせた結果から課題クリアの認定が行われる。上村実行委員長によれば「審査には1週間程度かかるが昨年を上回る成績が出そうだ」との見通し。

特設会場の仮設住宅間に集合したコンテスト参加=つくば市菅間

FREE Bionicsチームリーダーの江郁軒(コウユウケン)さんは「時間制限がきつくパイロットに頑張ってもらうことになった。機能を付け足しながら安全性にも取り組んできたがまだ改良すべき点がある。機会を与えてもらえれば来年もチャレンジしたい」という。

上村実行委員長は「7課題については10年ぐらいかけてクリアできればと考えている。次のステップでは街に出たいと考えており、最後には自立歩行で筑波山に登りたい」構想でいる。(相澤冬樹)

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ふるさとのない時代《くずかごの唄》154

【コラム・奥井登美子】お正月には誰も故郷に帰りたくなる。私が育ったのは荻窪のみどり幼稚園。緑の名の通り、生垣に囲まれた家と野原の、のんびりした緑色の住宅街だった。 しかし今の東京の町はどこも高いビルばかりで、緑がない。故郷という言葉とはかけ離れた風景になってしまっている。私の故郷と呼べるような所は、もうどこにもなくなってしまったのだ。 幼い時、父の故郷、新富町へもよく連れて行ってもらった。父は歌舞伎座が新富座であった頃の、鉄砲洲小学校出身。「菅原伝授手習鑑」などに寺子屋の子役として駆り出されて、よく出演させられたそうだ。台詞(せりふ)も筋もよく覚えていて、よく私に語って聞かせてくれた。 隅田川のほとりに町があって、父は「〇〇ちゃんの店でノリを買おう」などと、昔の友達の家に寄っておしゃべりするのを楽しみにしていた。父の故郷はいま、日本ではない、高いビルばかりのどこか架空の空間になってしまっている。 タケちゃんの文が朝日に載った 1月27日の朝日新聞「折々のことば 鷲田清一」に、加藤尚武の文が載っていた。「個人の間の平等は、ある程度まで…自然の平等に支えられているが…国力の差は、ネズミとゾウの違いよりも大きい」 加藤尚武は私の弟のタケちゃん。京都大学の哲学教授を務めた後、鳥取に環境大学を創り、環境問題を、哲学のまな板の上に載せた人。「環境問題のすすめ」という著書もある。生活者として、医療と環境を意識して生活している。 加藤家の男たちはみな食べるのが好きで、父も、兄も、タケちゃんも、好きなものを自分で作って食べるのが趣味だ。 私はせめてせめて、お正月くらいは、おしゃべりの好きな弟のタケちゃん、母の昔の味の料理を作ってくれる妹、姪たちに会って、亡くなった父、母、兄の個性を偲(しの)びながら、今の子供たちと比べて、大笑いするしかないのだろうか。(随筆家、薬剤師)