入梅のころ カブトムシの話《続・平熱日記》160

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絵は筆者

【コラム・斉藤裕之】テレビのアナウンサーの言い回しが気になることが間々ある。あまり言うと年寄り扱いされるので言わないことにしているが…。それから、天気予報というか予報士のコメントや報道。一昔前に比べて精度も上がって詳しい情報はありがたいのだけれども、洗濯物がどうのこうの、日焼け止めを、折りたたみ傘にしろとか、ちょっと過剰な気もする。

さて、そろそろ梅雨。その前に毎年恒例のアルバイト。知り合いの打ちっぱなしゴルフ場の土手のり面草刈りに出掛ける。

枯れ草の下に幼虫がごろごろ

こういう作業の常だが、草を刈るよりも刈った草を熊手で集めて捨てるのが大変。しかし、世界最強のブロワー(ドイツ製のマシンはゴーストバスターズよろしくエンジンを背負って手に持ったノズルから風を発射するのだが、体重70キロの私でもその風力で体が持っていかれそうになる)がお目見えしたおかげで、その作業がすこぶる楽になった。

とはいえ、斜面を昇ったり降りたりするだけでも翌日の筋肉痛は免れない。体がギシギシきしむ朝を幾度か迎える。

作業の終わりが見えたころ、オーナーから小さなビニール袋を渡された。中にはクワガタムシが一匹。そういえば、林に囲まれたゴルフ場の夜の街灯にはカブトムシが飛んでくるというので、虫好きの孫のために捕獲をお願いしておいたのを思い出した。

「ありがとう。そういや、この間山口に帰ったときに、道の駅で孫のためにカブトムシの幼虫を買ったよ…」なんて話をしたら、「幼虫でよければ刈った草の捨て場にわんさかいるよ…」というので、スコップを軽トラに積んでオーナーと出動。ふかふかの枯草を軽くほんのひと堀すると、大きな幼虫がゴロゴロ現れた。

「こりゃ通販で売れるな! 草刈りのバイトしてる場合じゃない!」。もちろんその気はないが、冗談抜きで売るほどいるのだ。とはいえ、必要以上に持ち帰ってもしょうがない。ビニール袋に少し入れて持ち帰ることにした。

孫の誕生日には幼虫を贈ろう

しかし、なんで男の子は虫が好きなのだろう。大学ではカブトムシをモチーフに石を刻む友人がいたが、あの艶(つや)やかな外骨格には何か男心をくすぐるものがあるらしい。かく言う私も、小学校の夏休みは毎朝虫取りに裏の山を数キロ歩いてからラジオ体操というのがルーティーンだった。

さて草刈りの副産物というわけではないが、裏手の林で倒れた木を薪(まき)用にもらって行くことにしている。

しかし、この林でもメディアでも取り上げられるようになったナラ枯れが見られるようになった。目の高さ辺りに小さな穴の開いたナラ。見上げると葉はなく立ち枯れている。このままだとナラはやがて姿を消し、やがてカブトムシもいなくなる日がくるのか。枯れたナラを一本切り倒して薪にして持ち帰った。

迎える孫の誕生日。年の数だけ幼虫を贈ることにした。テレビでは「我慢しないでエアコンを…」と言っている。電気代また上がるらしいが。(画家)

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