建築基準法上の違反建築物状態にあるとして昨年11月1日から建物の利用ができなくなっていたつくば市吾妻、中央公園内の古民家、さくら民家園(23年10月30日付)について、つくば市は24日、移築当時の法令に適合していたことが確認できたなどとして、6月1日から建物の利用を再開すると発表した。
さくら民家園は江戸時代後期ごろ建てられた古民家で、つくば科学万博が開催された1985年、合併前の旧桜村の委託を受けて住宅・都市整備公団(現在のUR都市機構)が旧桜村上大角豆から中央公園内に移築した。現在、市が所有、管理している。
昨年、市が、かやぶき屋根の改修に向けた手続きを進める中で、移築当時に必要だった建築確認申請書と検査済証が見当たらず、当時、建築確認申請の手続きをしないまま移築した可能性があることも考えられるなど、手続きの不備が判明したとして、市は昨年10月30日、違反状態を改善するため建物の利用を当面の間、停止すると発表していた。
市生涯学習推進課によると、その後の昨年11月、移築当時の建築確認申請や完了検査に関する交付年月日と交付番号を記録してある市建築指導課保管の計画通知台帳に、さくら民家園移築時に出された計画通知番号と検査済番号があることが分かり、移築当時の法令に適合していたことが確認できたとしている。一方、当時、市に提出されていたはずの建築確認申請と検査済証自体は現時点で見つかっていない。
市はさらに、さくら民家園が立地する地区は現在、火災の発生を防止するため建築基準法でかやぶき屋根の設置や改修ができない区域に指定されていることから、屋根の改修に向けて指定を解除する手続きを実施し、現在の法令に適合しながら屋根の改修をするための手続きがこのほど完了したことを受けて、利用を再開するとしている。
かやぶき屋根はこれから改修するが、時期は現時点で未定。改修工事中も建物の利用は概ねできるという。市は「市民の憩いの場、交流の場として、さらに利用しやすい施設となるよう見直し、老朽化が進んだ部分については改修を行いながら運営していく」としている。
さくら民家園の建物内は座敷、茶室、土間、かまどなどがあり、だれでも無料で見学できる。これまで、お茶会、お話し会、展示会などのイベントが開催されてきた。開園時間は午前9時30分~午後4時30分。休園日は毎週水曜など。