次女、入籍する!《続・平熱日記》153

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絵は筆者

【コラム・斉藤裕之】話は半年前にさかのぼる。「次女にだれかいい人いないかなあ…」なんてこぼしていたら、「私なんか、ある日宅配便で彼氏が送られてきましたよ…」。

「?!」。 内容は思い出せないが、彼氏と宅配便という言葉が新鮮で、要は彼氏も宅配されるご時世だということか。しかし、冗談抜きで次女のことで少々気がかりなことがあって、こんな時に男親はからっきし役に立たねえなあ…。

それから間もなく、「彼氏ができた!」という次女からの報告。そして、それからすぐに「結婚する!」という電話。事の次第を簡潔に言えば、次女のアパートにツタが生い茂って困っているという話を飲み屋でしていたら、植木屋だという若者が、それなら俺に任せろと。

すると、次の日に「ピンポン」とその若者がやってきて、ツタを切ってさっさと帰ってしまった。それがきっかけ。いやいや、本当に宅配便の話じゃないけど、まさかねえ。

次女だから書けることもあるのだけれど、次女だから書けないこともある。よくある話ではあるが、分かっているつもりだったのだけれども、次女のことを分かっていなかった、ということが分かったのはそれほど前のことではない。いわゆる多様性の時代と言われる、多様の中のひとりというか。

差し障りないところでいうと、なぜか彼女だけが家族の中でRHマイナスで、足の人差し指が長くて…。飲み屋で、他の客に「植木屋で一番大事なことはなんだ?」と聞かれ、「掃除ですかね」と答えた彼に、掃除のできない次女はしびれたらしい(そのとき彼は植木屋を辞めて無職だったらしいのだが)。

しかし、もうとにかく、もらってくれる人がいれば「どうぞ、どうぞ」というのが私の正直な気持ちで…。

私とではなく地中海旅行

閑話休題。先日、コーヒーを飲みに行きつけのカフェに行こうと思ったら、その日は牛久シャトーのイベントに出店しているというので、寄ってみた。

実は、カミさんは亡くなる前まで、このシャトーの日本遺産登録に関わる仕事をしていたこともあって、無意識にここに来るのを避けていた(というのもご存じのようにシャトーの運営は市の悩みの種でもある)こともあって、来るつもりもなったのだが。しかし、天候にも恵まれ、日本遺産に関係するイベントは朝から多くの人出で賑わっていた。

同じく日本遺産に登録され出店していた笠間のテントブースに、何気なく立ち寄った私は、栗羊羹(ようかん)を見つけた。次女は栗が大好きで、カミさんは面倒くさがりながらも渋皮煮を作ってやっていたことを思い出した。私は次女の結婚祝いにその栗羊羹を買って帰ることにした。

近い将来次女と行こうと約束していた海外旅行は、どうやら私とではなくハネムーンという名目に変わりそうだ。次女はなぜか地中海の国に行きたいという。フランス留学から帰国する直前に、お腹の大きい妻と小さな長女と共に南仏を旅したことを思い出した。

もちろん本人は憶えているはずもないが、そのときお腹の中にいた次女はちょうど30年の時を経て、地中海を臨むことになる。(画家)

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