筑波銀行グループの筑波総研が7日まとめた「茨城県経済の現状と展望」によると、コロナ禍の深刻期(2020~21年)に落ち込んだ県内の観光客が緩やかに回復している。
茨城空港を利用した旅客数は、20年春にほぼゼロに落ち込んだが、22年前半に急回復し、23年には月6万人前後と、コロナ前の水準に戻った。国際線が運航されるようになったことも回復に寄与した。
宿泊人数は月45万人泊に回復
コロナ前に月40万人泊前後だった県内宿泊延べ人数は、コロナの影響で20年半ばに月15万人泊近くまで減少したが、昨年11月には45万人泊までに回復した。
筑波総研は旅客数回復について、コロナの終息のほか、県が観光振興策として昨秋から開始した「茨城デスティネーションキャンペーン(DC)」効果を挙げている。県や市町村と観光業者、JRグループが連携して進めているDCが利いているようだ。
住宅着工はコロナ需要の反動で減
県内の住宅着工は減少している。23年の新築住宅着工数は、22年に比べ10.7%減り、1万6345戸にとどまった。コロナ対策で東京のオフィスにリモート業務が導入され、20~21年にはTX沿線に住宅を求める動きが目立ったが、そういった転居需要が一巡したようだ。
筑波総研は「コロナ禍需要の反動減に加え、資材高と人件費高騰による住宅価格高騰が、消費者の持家の購買意欲に影響した」と分析している。
空き家の活用・除去が今後の課題
今後の住宅需要について、筑波総研は「中長期的には縮小していく」と予想。その理由として、①人口減に伴い世帯数が減少する、②高齢者の単独世帯化が進む―などを挙げ、今後「世帯数と住宅総数の乖離(かいり)が進み、空き家、空き室が増える」と指摘。空き家の活用・除去がこれからの課題になるとしている。(岩田大志)