金曜日, 12月 5, 2025
ホーム土浦「避難所の体育館は寒かった」 土浦三高生が防災キャンプ体験を報告

「避難所の体育館は寒かった」 土浦三高生が防災キャンプ体験を報告

21日、初の校外発表

災害時の避難所になる学校体育館に寝泊まりしてみたー。県立土浦三高(土浦市大岩田、渡邊克也校長)の2年生グループが21日、県県南生涯学習センター(同市大和町)で同校が開く「探究発表会」に登壇し、防災キャンプの体験を口頭発表することになった。

グループは普通科2年生の7人。昨年12月1日、同校体育館に1泊する防災キャンプを行った。同校は眼下に霞ケ浦を見下す立地に校舎がある。災害地に湖畔の低地は液状化の懸念などがあり、学校が水害や地震の際の指定緊急避難場所になっている。

防災キャンプでは、2015年の関東・東北豪雨で常総市に派遣された土浦市防災危機管理課職員から話を聞いたり、市のハザードマップに基づく防災情報のレクチャーを受けた後、体育館にテントを張って1泊した。

防災キャンプでは体育館に張ったテントに寝泊まり(土浦三高提供)

1カ月後に能登半島地震

同グループは翌12月2日に、土浦市内の街づくりイベントでスタンプラリーを実施しており、2日間の行事にボランティア参加の生徒も含め16人が参加した。メンバーの1人、長谷川春花さんによれば「スタンプラリーは2回目の実施で、1回目のときアンケートをとると『もっと市民と交流したい』という意向があったので、防災キャンプを考えた。けれど、安全面から受け入れが難しく、まずは生徒だけでの実施になった」そうだ。

この防災キャンプの1カ月後の元日に能登半島地震が発生した。長谷川さんは「とにかく体育館の床は死にそうなくらい寒かった。能登の避難所生活のニュース映像を見るたび、あれ以上の寒さが連日続いているのかと思うと辛い気持ちになった」という。指導に当たる橘内敏江教諭は「防災キャンプで残った飲料などを現地に送る検討もしたが、迷惑になるかもしれないと断念した。生徒の前向きに成長する姿を見ることができた」と語る。

下級生たちに引き継ぎたい

生徒たちは「キャンプでは非日常を体験できた。防災はぜひ市民と一緒に取り組んでほしい課題」だと防災キャンプを下級生たちに引き継いでいきたい考えで発表に臨む。

「探究学習」は、生徒自らが課題を設定し、解決に向けて情報を収集・整理・分析したり、周囲の人と意見交換・協働したりしながら進めていく学習活動。同校では活動成果を2年生中心に発表する取り組みを約5年間実施してきたが、校外に出て行うのは今回が初めて。三菱みらい育成財団の助成も得て、「土浦市から宇宙まで探究のフィールドは無限だ!」を掲げて開催する。

天文や防虫効果などを取り上げる理系、ロック音楽や百人一首などの文系を交え12件の口頭発表が予定され、ポスター発表は70件を数える。開会は午前9時30分、午後4時ごろまでの日程で、防災キャンプなどの特別口頭発表は午後1時ごろに予定されている。(相澤冬樹)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

4 コメント

4 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

過ぎたる部分の緩和《続・気軽にSOS》167

【コラム・浅井和幸】「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」は、私が好きな言葉です。もう何十年も好きな言葉トップ10に入り続けています。もちろん、苦しみ悩むことも、こだわり続けて体力の限界まで頑張っていくことを否定しているわけではありません。むしろ、それはそれで推奨するし、尊敬もしています。 しかし、「~過ぎる」ことは、目的を達成すること、喜びを感じることから遠ざかってしまうことにもなりかねません。注意が必要です。 不安で苦しんでいる人は、不安なんてなくなってしまえばよいと考えるでしょう。体の痛みがつらい人は、痛みを感じない体が欲しくなるかもしれません。疲れを感じない体と精神力を得られれば、仕事も勉強もスポーツもうまくいく気がします。 しかし、不安やネガティブな気持ちがあるから、将来起こるかもしれないリスクに備える行動をとれるわけです。貯金をしたり、勉強をしたり、ブレーキをかけたり、保険に入ったり。体の痛みを感じなければ、けがをしているのに動けなくなったり後遺症が残ったりするまで動き続けてしまうかもしれません。 疲れを感じなければ、実際に疲労している心身を休ませず、ある時に突然倒れこむことになるでしょう。 不安もない、体の痛みも疲れも感じない状態で山登りや受験勉強をしたら、休憩をとることを忘れて、むしろ頂上や合格に届かなくなることが考えられます。疲れたら上手に休憩することが、自分が行きたい目的地に近づくひとつのコツになります。 緊張のし過ぎと、リラックスのし過ぎの中間点に程よい緊張があり、それが物事を成すために必要な状態です。緊張がよくない、リラックスがよいという、ゼロか100かの問題ではないのです。休む時はゼロに近いリラックスで、動くときはそれに見合った程よい緊張というイメージでしょうか。 何かこの嫌な習慣がゼロになってほしいという気持ちが浮かんだとしたら、「過ぎた」部分を緩和しようと、言葉だけでも言い直してみることをお勧めします。 公共の福祉に反しない限り… 完全な悪とか善とかも、ほとんど存在しません。格好よく言い切ったり、飛び抜けた表現をしたりすると、刺激的でとても魅力的に感じるでしょう。周りは愚鈍で自分は先を見据えた賢明な人間だと、気持ちよく感じるかもしれません。 カウンセリングでは、思うことも過激な発言もその場限りで、守秘義務があるのでかなり自由です。ですが、カウンセリングルーム内でもそうですが、特にカウンセリングルームの外では行動化はしないようにというのが約束となります。 人は生まれながらにして自由で、行動も言論も自由があるのだというと、素敵に感じます。ですが、限度があるものです。どこが限度かというのはケースバイケースですので難しい問題ですが、「公共の福祉に反しない限り」という表現は便利な言葉ですし、何かしらの指標になるのではないかと思います。(精神保健福祉士)

茎崎交流センター別館17日開館 旧庁舎跡地の利活用一段落 つくば

つくば市小茎、茎崎庁舎跡地の北側に隣接する旧茎崎保健センターが改修され、東隣に立地する茎崎交流センターの別館として17日オープンする。当初、旧庁舎跡地利活用の一環で解体する予定だったが、計画を変更した。同別館のオープンにより茎崎庁舎跡地の利活用事業は一段落する。 保健センターは廃止され、地域交流センターとなる。ただし保健センターとして実施していた地域住民の定期健康診断などは引き続き同別館で実施する。 別館は鉄筋コンクリート造2階建て。1階はだれでも利用できるオープンスペースとなる。住民票などが取得できる窓口センターは改修前と同じ1階に設置される。2階は会議室などの貸しスペースとなる。1階はロビー、キッズスペース、ミーティング室2室、和室と事務室がある。いずれも予約なしで、おしゃべりしたり、くつろいだり、中高生が勉強したり、自由に利用できる。2階は会議室3部屋と調理室、多目的室があり、隣接の茎崎交流センターなどで事前予約して利用する。建物は敷地面積約3880平方メートル、建築面積約1260平方メートル、延床面積約1480平方メートル。 改修工事は、建築から38年経ち老朽化していた屋上の防水工事や外壁の塗装工事、室内の壁や床のクリーニングなどを実施した。トイレは便座を洋式にしたほか、多機能トイレを新設などした。間取りは1、2階いずれも茎崎保健センターとほぼ同じ。総改修費用は約2億6600万円。 一方改修にあたって、住民から要望があったエレベーターは今回、設置されなかった。市地域支援課は「エレベーターを設置すると工事期間がさらに長くかかる。地域住民から『早く利用したい』という要望があり、今回は早く開館できるようにした。エレベーターについては今後、利用者の要望を聞いて検討したい」としている。 開館を前に11月30日、内覧会が催され、茎崎地区住民らが次々と訪れていた。1階では食生活改善推進協議会茎崎支部(寺内元子支部長)から来館者にサツマイモの炊き込みご飯と小松菜の煮びたしがふるまわれた。 内覧会に訪れた近くに住む男性(81)は「きれいになって良かった」などと話し、70代女性は「2階に行くには階段しかなく足の悪い人は大変。茎崎地区は高齢者が多いのでエレベーターをつくってほしい。1階和室に、高齢者が楽に座れる高座椅子などがあれば」と話していた。 市地域支援課の根本隆課長は「地域交流センター別館として生まれ変わるので、地域の方にどんどん使っていただきたい。(内覧会で)アンケートをとったので、予算のこともあるが、声を生かしていきたい」などと話している。(鈴木宏子) ▶旧茎崎庁舎跡地利活用をめぐる動き2002年 茎崎町がつくば市と合併2009年 市原健一前市長が「新庁舎建設に伴う現庁舎利活用方針」を策定、茎崎庁舎跡地をバスターミナルに2015年 旧茎崎庁舎を解体2016年 初当選した五十嵐立青市長が利活用方針を見直し2017年 跡地利活用について市が対話型市場調査を実施(17年11月8日付)2020年 市が公共施設を併設した商業施設誘致計画と保健センター解体方針を発表(20年8月7日付)2022年 市が計画を変更し誘致する商業施設の規模を縮小、保健センターを存続(22年6月11日付)2024年 庁舎跡地の一部にドラッグストアー開店(22年9月26日付、23年3月25日付、24年3月14日付)2025年12月17日 茎崎保健センターが廃止され茎崎交流センター別館として開館

土浦市に本格的自家焙煎の店 5日オープン

【PR】土浦市藤沢に本格的自家焙煎の店「COFFEHOUSE BLUE」(コーヒーハウス・ブルー)が5日オープンする。栽培から流通まで品質管理された「スペシャルティコーヒー」を提供する。焙煎機は茨城県初上陸のトルコから取り寄せたBESCA(べスカ)製品を使用する。 コーヒー豆の販売のほか、店内に7席が用意され、カフェとしても営業する。煎りたてのコーヒーを味わうことが出来、ホットサンドなども準備する。 コーヒー豆はインドネシア、エチオピア、メキシコ、パプアニューギニア、グアテマラ、コスタリカ、ブラジル、コロンビア、エクアドル、ニカラグアの10種類、同店で作るオリジナルブレンドもある。 焙煎機にBESCA製品を選んだ理由として「高品質で細部まで考え抜かれた設計で比較的手に入れやすい」ということから直接輸入した。国内でも20機ほどしかないという。 開店するのは野口雄太郎さん(38)。土浦市木田余で生まれた。当初はミュージシャンを目指し、音楽の専門学校に通った。ドラム奏者として活躍し、自主制作のCDまで作ったが、コーヒー職人の道を目指すことになった。 東京・浅草の老舗店「ロイヤル珈琲店」やコーヒー好きが通う神保町の「豆虎」などで5年間働き、コーヒーに関する技術や知識を身に付けた。新規店舗では、コーヒーのおいしい淹れ方などの相談にも乗る。 同店は旧国道125号線沿いにあり、大叔父が1987年から2013年まで営業していた喫茶店「ブロートツァイト」を改装して開業する。地域の喫茶店として幅広いファンがいたが、22年間空き店舗になっていた。店舗面積は約70平方メートル。 野口さんは「コーヒー好きの人だけでなく、コーヒービギナーの人にも来店してもらい、ゆっくりとした時間をコーヒーとともに味わってほしい」と語り「手に取りやすい価格でおいしいものを提供するのがモットー」と話す。 ◆「COFFEHOUSE BLUE」は土浦市藤沢3560-2、電話029-846-0744

サイン本コレクター 中山光昭さん《ふるほんや見聞記》11

【コラム・岡田富朗】今年30周年を迎えた「アートウェーブつくば」。その初期から参加し、長年にわたり作品を発表してきたのが、中山光昭さん(70)です。アートウェーブつくばは、つくば市周辺で活動する作家による展覧会で、日本画・洋画・立体・平面・書・彫刻・工芸・写真など、幅広いジャンルの作品が一堂に会します。 1985年のつくば万博をきっかけに始まり、現在も毎年開催されている地域密着の美術イベントで、5年に一度は五浦の県立天心美術館(北茨城市大津町)でも展示が行われます。アート制作のかたわら、中山さんはつくば市文化協会の芸術副部長を務め、さらに筑波山神社の氏子総代としても地域に寄り添ってこられました。その活動の幅は実に多岐にわたります。 中山さんは、サイン本のコレクターでもあります。2〜3年かけてご自身の足でコツコツと集められたサイン本は、実に300冊を超えるとのこと。古本屋やリサイクルショップで偶然出会ったものから、サイン会に足を運んで手に入れたものまで、収集の方法はさまざまです。 今回12月9日から3日間、つくば市民ギャラリーにて、コレクションの中から50冊前後のサイン本を見ることができる展示が開催されます。写真に写っているサイン本だけでも、谷川俊太郎(詩人)、永六輔(放送作家)、ピーコ(タレント)、神田伯山(講談師)、柳生博(俳優)、桂三枝(落語家)、中島潔(画家)─と、実に多彩な顔ぶれが並びます。 著名人の人柄を感じられる 古いものや骨董にも関心があったという中山さんに、サイン本の魅力について伺いました。 「サイン本との出会いは偶然が多く、たまたま気になって手に取った本にサインが入っていることがよくあります。まるで本に呼ばれているかのように感じることもあります。サイン本と一口に言っても、サイン会で書かれたもの、作家が贈呈のために記したもの、編集者への推薦として他者の著作に署名したものなど、実にさまざまです。サインに絵が添えられていたり、言葉が書き加えられているものもあります」 「また、どのような経緯で、誰から誰へと渡ってきたのかを想像すると、その本が歩んできた“時間”を感じることができます。現在は手書きのものも少なくなりつつあり、著名な方々の人柄を感じられるサインは、とても貴重で魅力的なものだと思います。今後も自分が納得できるまでは、サイン本の収集を続けていくつもりです」と語ってくださいました。(ブックセンター・キャンパス店主) 中山光昭コレクション サイン本展・他(仮)・会期:12月9日〜12月11日・会場:つくば市民ギャラリー(つくば市吾妻2-7-5、中央公園内)・時間:午前9時〜午後5時