つくば市立学園の森義務教育学校(つくば市学園の森)で2日、AI(人工知能)を活用した英語の授業と、対話型AIツールを利用した社会、国語の授業が公開された。AI活用教材は与えられたデータやパターンから新たなデータを生成する能力を持つ。つくば市では昨年7月から「チャットGPT」などの生成AIの活用を学ぶ授業を市内全48小中・義務教育学校の5年生以上を対象に、順次導入している。
今回公開されたのは8年生(中学2年)の英語のクラス。日頃から生徒同士で行なっている英語での対話を、1人1台用意されたパソコンを使いAIと対話を行った。15あるテーマから各生徒がそれぞれ一つを選ぶと、AIが質問を投げかけ、生徒が返答する形で会話を進めていく。
後半は、会話のレベルを上げてAIとディベートを行った。「夏vs冬」など5つのテーマに対して生徒は事前に2つの意見を用意し、対話を繰り返した。前半との違いは、AIに対して事前に、生徒の考えに否定的な意見を出すよう設定したこと。互いに反論し合うことで、より英語での議論を深める経験をした。年齢や性別など設定を変えることで、AIが使う言葉、選ぶ情報や意見が変化することも体験した。

担当の成田崚央教諭(25)は、AIの授業について「AIとしてよく挙げられるのが、英作文の添削や長文作成がある。知らない単語を教えてくれるなど、AIの便利さやメリットももちろん学んでもらいたいが、今回の一番の狙いは、相手を意識して会話をすることの大切さに気づいて欲しかった」とし、「英語力の向上にAIはいい。ただ会話には英語力だけではなく、表情やボディーランゲージなど言葉以外で伝えられる部分が大事だと思うので、そこは人を相手にして話すことが大事だと気づいてもらいたい。気持ちを読み取ることの大切さがある」と語った。
その上でAIのメリットを「自分のレベルに合わせた学習ができるところ。対人では、自分が知らないことを隠したがる生徒もいるが、対AIであれば隠す必要もないし、気にせず聞きたいことを聞ける」とし、「AIは自分のレベルに合わせて、わからないことを教えてくれる」と言う。ただし「改善の余地はかなりあると思う」と語った。
この日行われた8年生の他のクラスでの国語、6年生の社会では、NPOみんなのコード(東京都港区)が開発した学校向け対話型AIツール「みんなで生成AIコース」を用いた授業が公開された。それぞれ、4、5人が一つのグループになり、設けられたテーマについてパソコンで生成AIを利用し、情報収集や、議論のまとめなどに活用した。出された意見は、生徒たちのものとAIによるものを色分けして識別できるようにし、一定程度意見が出されると、教師の呼びかけでAIを閉じ、生徒同士で話し合うよう促された。

適切な活用やルール化へ 文科省
生成AIが急速に普及する中、文部科学省は昨年7月「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」を公表した。試験的にAIを授業で活用する「生成AIパイロット校」として昨年12月までに全国37自治体から52校 を指定した。県内ではつくば市の4校(並木中、みどりの学園義務教育学校、学園の森義務教育学校、秀峰筑波義務教育学校)と、県立竜ケ崎一高が選ばれている。
同省によると、情報活用能力の育成という意味から、生成AIへの理解や活用、使いこなすための意識を育てることは重要であるとする一方で、生成AIは発展途上であり、個⼈情報の流出、著作権侵害、偽情報の拡散リスクもあることから、現時点では活⽤が有効な場⾯を検証しつつ、「限定的な利用から始めることが適切」であるとしている。
感性、独創性、感想の場面は「不適切」
さらに⽣成AIによる⽣成物をそのまま⾃⼰の成果物としてコンクールに応募すること、⼦どもの感性や独創性を発揮させる、感想を求めるなどの場面で安易に使わせることなどを、「不適切な使い方」であるとして、今後は、関連機関や企業と連携をとりながら、教育現場での適切な活用やルール化に関する知見を蓄積し、生成AIを学校教育の改善に生かしていく考えだとしている。(柴田大輔)