木曜日, 11月 5, 2026
ホームコラムこの日記も今夏で10年《続・平熱日記》149

この日記も今夏で10年《続・平熱日記》149

【コラム・斉藤裕之】朝起きてすぐに薪ストーブに火を入れる。と、その前に必ずすることがあって、それはストーブのガラス窓をきれいにすること。小さく切ったスポンジに水を少しつけて、ストーブの中の灰をちょちょっと着ける。そのスポンジで煤(すす)はきれいに落ちる。きれいになったガラス越しの炎は何とも美しい。

まだ外は暗いが、パクの散歩に出かける。帰って来ると、ストーブの火が程よく部屋を暖めてくれている。コーヒーを2杯分淹(い)れて、新聞を開く。9割の記事は読んでいないと思うのだけれど、それでもページをめくっていると、何となく世の中のことが目に入る。

元旦といえども、このルーティーンが変わることはない。ただ、いつもは閉めているアトリエの扉のカーテンを開けておく。するとその扉の真正面に陽が昇って、アトリエの一番奥の壁に真新しい光を放つ。

今年は子供たちもそれぞれの正月を楽しんでいるようで、私ひとりのひっそりとした正月だ。ここのところは新たな決意などのすることもなくなったが、実は私にはこの正月にやっておきたいことがある。年の暮れから柄にもなく絵を描こうと思っているのだ。

というのも、3月と5月に個展がある。だから、この年末年始になんとか目鼻を付けておきたいと思ったのだ。つまり、このひとりきりの正月は、まさに絶好のお絵かきタイムなのだ。

しかし、なにせ平熱日記というぐらいなものだから、急いでたくさん描けるものでもない。描いているのはほんのわずかな時間で、気が付くと、1日のほとんどがぼーっと過ぎてしまう。

1年の始まりはイリコ描き

ところで、この「平熱日記」の連載を始めて、今年の8月で10年が過ぎようとしていることに気付いた。たまたま別の取材に来られていた旧常陽新聞の記者の方との出会いから始まった平熱日記。

ちなみに第1話は、イリコの絵とそれにまつわる逸話。当時は毎週1話と絵を描いていたので、隔週WEB版の「続・平熱日記」になってからのものを合わせると、これまでにざっと400話のコラムと400点の小さな絵を描いてきたことになる。

今では、すっかり私の生活の一部ともなっている平熱日記。取るに足らない日常のできごとやおじさんのボヤキと、毎朝描く小さな絵。さして目新しいこともなく、毎日毎年、同じところをぐるぐると回っているような気がしないでもないが、「平熱(継続)は力なり」。

さて、相変わらず夜中に起きてしまうことがある(今がそう)。そんなときも、まずはストーブのガラスをきれいにして火を入れる。家の中には私しかいないので、誰憚(はばか)ることもなく、やや?早めの1日を始める。

机の上には年を越した描きかけの絵が幾枚もあって、とりあえずその続きを…。「そうだ!」1年の始まりはイリコだった。思い出したように、冷凍庫からイリコを取り出して描き始める。確か1年前も同じようなことをしたのを思い出した。いい感じに温まってきたストーブのそばにパクが来て寝転がった。(画家)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho





spot_img

最近のコメント

最新記事

市南部にも1000メガワット つくば市、新たなデータセンター集積地誘致

つくば市北部の大穂地区に国内最大級となる1000メガワット(100万キロワット)のデータセンター建設計画が進み、周辺住民から不安の声が出ている中、つくば市は2日、市南部の高須賀、上郷地区約74ヘクタールに、新たなデータセンター集積拠点を誘致するため、民間事業者の募集手続きを開始した。市南部に誘致するデータセンターは受電容量が最大1000メガワットで、大穂と同規模になる。 圏央道つくば西スマートインターチェンジ(IC)周辺の、同市高須賀、上郷に誘致する。開発にあたっては、事業者(企業グループ)が一括して、用地買収、土地造成、建設、管理運営などを実施する。付属施設として排熱を利用する施設や蓄電池を設置・保管する施設などデータセンターと関係のある施設などは立地を認める。 計画地は現在、田んぼ、畑、山林、宅地などで、面積の半分が農業の振興を図るべき農業振興地域の農用地区域となっている。地権者は計251人。産業用地とすることについて意向を確認したところ、96.8パーセントの243人から同意を得ているという。未同意の残り8人は所有者不明や未相続など。一方、2025年1月からこれまで4回地権者説明会を実施しているが、データセンター集積地とすることを地権者に説明したのは10月31日が初めてという。 今後のスケジュールは、12月中に事業者から参加申込を受け付け、市が事業提案書やプレゼンテーション、ヒヤリングなどで審査を実施、来年3月までに事業者を選定する。その後、用地買収価格などについて市及び地権者団体と協議し、市と協定書を締結する。2027年度以降、用地買収を開始し、28年度に農業振興地域の除外申請や開発許可などの手続きを実施、29年度に造成工事に着手し、30年度に建設工事に着工、32年度に1棟目のデータセンターが操業を開始する想定だ。 同地区は2024年12月、地域経済をけん引することを目的とする地域未来投資促進法に基づく重点促進区域となり、開発の際に農業振興地域の除外などの手続きが簡素化されたり、税制優遇などを受けることができる地域となった(25年1月10日付、25年1月26日)。さらに今年9月、つくば市が、脱炭素電源を核とするデータセンター集積型のGX戦略地域に認定されたことを受けて、市が事業者に伴走しながら環境配慮・地域共生型のデータセンターを目指すとしている。 具体的な環境配慮として、自主的な環境影響評価の実施、サーバーや機器の冷却は液冷却や液浸冷却など高効率な技術を導入、排熱の活用、環境データの測定など。地域共生として住民説明会の開催、地域振興施設の整備、市内の大学や研究機関との連携、想定される市税、用地買収価格などを審査し、事業者を選定する際の加点にするなどとしている。 市立地推進課によると、昨年6月から9社を対象にサウンディング調査を実施、併せて50社以上にヒヤリングを実施してきた。当初、製造工場や物流施設の誘致も検討したが、資材高騰などの中、データセンター以外を一括開発により誘致するのは厳しいと判断したという。データセンターに関しては、すでにかなり多くの企業から問い合わせなどがあるとしている。 大規模データセンターの立地に対しては、莫大な電力使用や排熱、水利用、騒音、振動などの環境影響について専門家が課題を指摘、大穂地区では大きな不安の声が出ており、住民団体「データセンターから市民を守る会」が結成されている。(鈴木宏子)

住民手づくり 8日 つくばで「おのがわ防災まつり」

空き缶炊飯、重機ボールすくいなど23のイベント 地震や豪雨などの大規模災害が全国各地で頻発する中、地域の防災意識を高め住民同士の絆をつくろうと、「おのがわ防災まつり」が8日、つくば市館野、小野川小学校で催される。住民手づくりの防災イベントで、小野川小学校区の自治会や区会などが、区域を超えて連携して取り組む。昨年に続いて2回目。昨年より多い23のブースが出展し、楽しみながら防災について学べるイベントを展開する。 空き缶でご飯を炊いたり、新聞紙スリッパやごみ袋レインコートなど、いざという時の防災グッズ作りを体験したり、災害時のスマートフォンの使い方などを学んだりできる。震度6の地震の揺れや100ミリの豪雨、火災現場の煙を体験する疑似体験コーナーも設けられる。ショベルカーに乗ってボールをすくったり、防災ストラップを作るなど、楽しみながら防災を学ぶことができるイベントが盛りだくさんだ。会場に小野川地域の地図を掲示し、参加者に危険箇所などを書き入れてもらいながら「おのがわ安心マップ」を作成する試みもある。 自治会や区会のほか、地域の民生委員、防災士なども参加し、防災に役立つ知恵を伝授する。地域企業の協賛を受け、だれでも無料で体験できるイベントとした。 同地区は転入者が増加し日常の交流が不足する傾向にある中、災害時に互いに助け合える、区会を超えた新しい関係をつくろうと、市社会福祉協議会から声が掛かったのがきっかけ。市社協の見守りネットワーク事業の一員で、ふれあい相談員の大森哲實さん(78)が中心になり、地域の相談員らに声を掛けた。2024年11月、10人で実行委員会をつくり、地域住民同士が交流できる防災イベント開催に向けた取り組みがスタートした。 その後、毎月1回打ち合わせを重ねる中、実行委員が増え、昨年11月、初めて防災まつりを開催、19のブーズが出展し、約350人が参加した。今年は400~500人の参加者を見込む。 大森さんは「日頃のつながりが、いざという時の支えになるような地域づくりを、楽しみながら進めていければ」と話す。 ◆おのがわ防災まつりは8日(日)午前10時~午後2時、つくば市館野731、小野川小学校で開催。入場無料。小野川地区住民だけでなく、だれでも参加できる。主な体験・出展コーナーは▽震度6の地震体験▽100ミリの降雨体験車▽火災現場の煙体験▽救急車・消防車展示▽パトカー・白バイ展示▽重機でボールすくい▽液状化実験▽簡易トイレの実践▽屋内簡易テント展示▽毛布で担架作り体験▽車椅子体験▽防災かるた遊び▽防災ストラップ作り▽防災クイズ▽新聞紙でスリッパ作り▽ごみ袋でレインコート作り▽防災リュック重さ体験▽おのがわ安心マップ作り▽防災科学技術研究所パネル展示▽スマホの災害時対策▽心肺蘇生法など救急対応▽自衛隊災害活動紹介など。

土浦市消防職員 窃盗容疑で逮捕

土浦市は4日、同市消防職員が同日、窃盗の疑いで水戸警察署に逮捕されたと発表した。逮捕されたのは、市消防本部土浦消防署に勤務する同市木田余東台、芳賀丈絋容疑者(26)。今年8月3日午前9時ごろから翌4日午前8時ごろまでの間、茨城町長岡、県立消防学校の寮内で、同じ寮に入っていた水戸市に住む消防士(23)など4人の財布の中から、現金計9000円を盗んだ疑い。 同消防本部消防総務課によると芳賀容疑者は、2025年10月に採用され、土浦消防署に勤務。今年4月から9月まで半年間、新人消防士の研修のため、他市町村から参加した新人消防士と一緒に寮で生活しながら消防活動について訓練などを受けていた。県立消防学校での研修終了後は、土浦消防署に戻り、4日朝まで勤務していたという。動機などは分からないとしている。 比気武行消防長は「消防職員の窃盗容疑での逮捕は心痛の思い。今後の警察の捜査に全面的に協力して参ります」とするコメントを発表した。

データセンターを議論しよう 14日 歌川学さん講演

NEWSつくば主催 「データセンターを議論しよう」をテーマに、NEWSつくばは計3回の連続講演会を開催します。第1回は14日(土)午後6時から、つくば市役所コミュニティ棟で、温暖化対策を研究する歌川学さんが「データセンターの地域影響」と題して講演し、その後、意見交換会を開きます。 つくば市大穂の元公有地にグッドマンジャパンが計画している国内最大級のデータセンターに対し、歌川さんは今年4月、排熱や水利用、騒音・振動などの環境影響可能性を指摘しました。(5月19日付、5月20日付) 歌川さんの講演会はこれまで、データセンター建設予定地近隣の大穂交流センターで計3回開かれてきましたが、歌川さんの話を直接聞きたいという声がNEWSつくばに寄せられていることから、連続講演会第1回の講師に歌川さんを迎えます。 歌川さんの指摘以降、つくば市や事業者はそれぞれ、データセンターのメリットや環境影響などについて情報発信を始めました。ただし排熱、水利用、騒音・振動など環境影響について具体的な数値予測はまだ示されておらず、市民からは依然として不安の声が出ています。14日の講演会では、これまでの市議会一般質問の答弁を中心に、現在までに明らかになった課題も踏まえてデータセンターの問題を考えます。 市民が議論する場をつくります 周辺住民団体「データセンターから市民を守る会」はこれまで、事業者のほか、市に対し住民説明会の開催を求めてきました。しかし市が10月に策定したデータセンター建設ガイドラインは、敷地境界から100メートルより外側の市民に対しては、集会型の住民説明会ではなく、展示パネルや資料を見て回るオープンハウス型説明会を開催するとし、グッドマンジャパンは、市のガイドラインに沿って、オープンハウス型の情報・相談ブースを11月から12月に開設すると市に回答しました。(8月31日付、9月29日付、10月6日付、10月23日付、10月29日付) 集会型の住民説明会は、参加した市民がそれぞれの意見を表明したり、ほかの人の意見を聞くなど、議論して合意形成を図る、民主主義を維持・発展するための重要な場でもあります。市や事業者が一般市民向けの住民説明会を開催しないと表明しているなら、地域メディアであるNEWSつくばが、その場をつくり、報道します。 地域メディアの新たな方向性を模索する動きの一つに「エンゲージド・ジャーナリズム」という取り組みがあり、米国などですでに実践されています。市民とメディアが地域の現実やニーズ、課題について対話しながら、新たな信頼とつながりを育んでいこうという試みです。NEWSつくばは、連続講演会「データセンターを議論しよう」をエンゲージド・ジャーナリズムの実践の場と位置づけ、市民の声を聞き、市民と共に、地域の具体的な課題を可視化し、報道していきます。 連続講演会は11月から月1回程度、計3回を予定しています。 連続講演会「データセンターを議論しよう」第1回歌川学さん講演会日 時 11月14日(土)午後6時~9時 講演(70分)&意見交換会(90分)会 場 つくば市役所コミュニティ棟1階参加費 300円(資料代)定 員 120人(事前予約必要)主 催 NEWSつくば参加申し込みは、グーグルフォームへ。先着順問い合わせ NEWSつくばのメール(info@newstsukuba.jp)へ。