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高齢者がスマホ予約に挑戦 AIで乗合タクシーを便利に【公共交通を考える】4

高齢化が進むつくば市茎崎地区を対象に12月1日から、同市が運行する乗合タクシー「つくタク」のスマホ予約実証実験が行われている。スマートフォンで専用アプリを開き、乗車時間と場所、目的地を入力して予約すると、AIが自動生成したルートで複数の客を乗せながら効率良く目的地まで運行するという実験で、AIオンデマンドシステムと呼ばれる。来年2月29日まで3カ月間実施される。

「分からない」手を挙げる人続出

実証実験に先立ち11月21日、茎崎交流センターで、自分のスマートフォンからネット予約するための説明会が開かれ、60代から80代の高齢者56人が市職員らのサボートを受けながらネット予約に挑戦した。

つくタク利用者の8割を高齢者が占める。アプリを用いた予約に慣れてない高齢者が説明会に集まった。説明会は、高齢者が自分のスマートフォンに、QRコードからアプリをダウンロードすることから始まった。会場から「分からない」と手を上げる人が続出し、サボートにあたった市職員ら8人が1人ひとりに向き合って操作を支援した。

参加した同市自由ケ丘の民生委員で70代の男性は「みんなに教えないといけないから」と、前かがみになりながらスマートフォンの画面に目を凝らした。森の里の谷中絹代さん(80)は「外出にはつくタクを利用している。予約は当日利用が朝8時半から、当日以外は正午からと決められていて時計を見ながら予約している。操作ができると予約が便利になると聞いて来たが、インストールとかタップとか用語が分からないし難しい」と話した。

実証実験を推進する市科学技術戦略課は来年1月10日まで、同センターのほか茎崎地区の各所でスマホ相談会を開いて普及に努めている。森の里の自治会長、倉本茂樹さん(81)は「つくタクを利用するのは75歳以上の後期高齢者が多くを占めると思う。スマホ操作に不慣れな状況を踏まえて、高齢者でも使いやすいシステムにしてほしい」と、操作に不安な高齢者をおもんばかった。

25年度にネット予約導入

茎崎地区を運行する8人乗りのつくタク車両

国交省の「スマートシティモデル事業」に選定された同市は、筑波大学、KDDIをはじめとする47機関で構成する「つくばスマートシティ協議会」(会長・大井川和彦知事、五十嵐立青市長)を設立。先端技術を取り入れて都市が抱える問題を解決する事業に取り組んでいる。つくタクの実証実験は、市と同協議会、AIを活用した効率的な配車システムのノウハウを持つ民間企業との連携事業で実施されており、同地区で使用されている8人乗りジャンボタクシー3台のうち1台が実証実験に使われている。

つくタクは現在、市内5つの地区(筑波、大穂・豊里、桜、谷田部、茎崎)ごとにオペレーターが電話予約を受け、2011年の運行開始以来、人手作業による配車を実施している。運行は1時間に1便で平日の午前9時台から午後5時台まで。年約4万4000人が利用し、そのうちの8割が高齢者で買い物や通院目的での利用が主体となっている。

同課がまとめた今年4~8月のつくタク利用実績によると、利用者数は5カ月間で2万590人で、前年度同期と比較して158人(0.7%)増えている。月別利用者数や地区別の1時間毎の利用者数などは地区によって増減が見られる。乗合率は全地区平均で52%(昨年は51%)と、ほぼ半数が1人での利用となっている。

一方、全ての地区で予約のお断り数が増加してキャンセル待ちが生じており、利用者からは「予約をとるのが面倒」「予約センターが混み合い、予約できない」など改善を求める声が挙がっている。

茎崎地区では3カ月間にわたる実証実験の後、利用者数や運行距離などのデータ、利用者とつくタクを受託している事業者の感想や要望などを元に検証が行われる。つくタクの運行を担当する市総合交通政策課は、現状の人手による電話予約に加えて2025年度から、24時間いつでもネットで予約受け付け可能なAIオンデマンドシステムを導入することを検討している。(橋立多美)

続く

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