つくば市は22日、同市上郷、旧上郷高校跡地(約7ヘクタール)に計画している陸上競技場整備事業の基本計画を発表した。概算の建設工事費は校舎解体費も含め計約41億4100万円で、2021年4月策定の基本構想の工事費27億3600万円と比べ1.5倍にふくらむ。年間維持管理費は基本構想が8000万円だったのに対し1.1倍の8850万円。市議会12月定例会閉会後に開かれた全員協議会で報告した。
わずか2年半で工事費が1.5倍になる理由について市スポーツ施設課は、資材費の高騰のほか、バックスタンドに屋根を付けるためなどとしている。基本構想については、市大規模事業評価委員会が事業費も含めて検証し、22年3月に「概ね妥当」との答申を出している。
今後のスケジュールは、パブリックコメントと説明会を実施して23年度末までに基本計画を策定し、24年度に基本設計と実施設計に着手、25年度に現在の校舎や体育館などをすべて解体し、26、27年度に建設工事を実施、27年度末に完成予定という。
メーンスタンドを縮小
21年策定の基本構想と比べ基本計画は、メーンスタンドの規模を縮小し観客席を1500席から600席にする。一方、バックスタンドに300席の屋根付き観客席を新たに設置する。芝生スタンドなどを含めた施設全体の観客席は、基本構想は4000席だったが、基本計画は2900席に減らす。市は、利用を想定している小中学校などから意見を聞き、経費を抑えたと説明する。
ほかに基本構想では付帯施設として、会議室や研修室などがあるセミナーハウスを建設し、地域交流や物販、避難所や備蓄倉庫などとして利用する計画だったが、セミナーハウスは建設せず、代わりにメーンスタンド脇に分棟として地域の交流拠点や多目的集会所を新設する。さらに付帯の多目的広場には屋根付きの80メートル雨天走路を5レーン設置する。
上郷高校の新体育館は、基本構想では解体せず残して活用する計画だったが、高校の施設はすべて解体し、併設の体育館はなくなる。
一方、競技場内は基本構想と同じで、トラックは400メートル8レーン、サッカーなどの利用を想定している内側のインフィールドは天然芝で、日本陸上競技連盟の施設基準で第3種公認相当規模の整備をし、4種公認とする。
年間利用者数は4万5000人程度とした。想定される利用者を積み上げて算出したものではなく、3種公認の龍ケ崎市陸上競技場と同程度と想定したという。
議会からは「小中学校の陸上競技大会は各学校にゆだねられており、先生方の働き方改革で縮小されている、現在、各学校で行われている大会を陸上競技場で行うことが決まっているところはあるのか」などの質問があり、市は「具体的に(利用が)決まっている学校はないが広めていきたい。小中学生が利用すれば年間利用者は4万人より多い」などと答えた。(鈴木宏子)
◆同基本計画案の説明会は①24日(日)午後1時~茎崎交流センター②同午後4時~豊里交流センター➂26日(火)午後2時~大穂交流センター④同午後5時~つくば市役所で開催される。パブリックコメントは18日から来年1月19日まで実施中。
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