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今こそジェンダーフリーの日本へ《ひょうたんの眼》63

【コラム・高橋恵一】菅直人元首相が次回の衆院選には立候補しないと表明した。1974年、引退するという市川房江さんを「勝手に推薦する市民連」を立ち上げ、参議院に戻した人だ。それまで、労働組合運動や学生運動がイデオロギーに左右されがちだったものが、市民の視点、生活者の視点での政治参加の可能性が見えた瞬間であった。

当時の世界経済において、中北ヨーロッパでは社会民主主義経済の福祉国家づくりが進んでいた。日本では、菅直人氏らの市民社会連合の政党も登場し、英国や西ドイツ、スウェーデンに代表される福祉国家体制を模索したが、米国に追随する保守勢力では懐疑的な反応が主流であった。

スウェーデンについては、福祉サービスが過剰に行き過ぎ、税金が高いので労働意欲が薄く、若者は国外に逃げてしまう、未婚の母親が多く、フリーセックスの国として「世界の歩き方」には、金髪の美人が待っているなどと紹介されていて、好ましくない国の印象が喧伝(けんでん)されていた。

実際のスウェーデン人は、朝早くからよく働き、安心できる社会保障のために、納税は当然というのが常識のようだ。日本と比較すると、税金は高いが医療や教育は無料で、住宅の心配はないから、住宅ローンで苦労する必要も無い。手元に残る可処分所得はほぼ同額と試算されている。

社会福祉の原点といえるノーマライゼーションの考え方も、身障者に不都合な段差は誰にとっても不都合、補装具も個々人にあわせて制作するという思想が、社会的弱者全般に行き渡り、高齢者施策や男女格差解消にも及んでいる。

真の需要に見合った経済社会の構築

現在、北欧5カ国の1人当たりGDP(国内総生産)は、世界ランキングの上位を占め、どの国も10位以内から外れたことはない。日本は30位前後で、先進国で最下位レベルだ。昨年は韓国にも抜かれたようだ。その要因として、女性の社会参加が挙げられる。就業率も給与水準も男性と差が無いのだ。日本の女性は、就業率も給与水準も男性の70%くらいだから、北欧女性のGDP貢献度の49%しかないことになる。

前述のフリーセックスは、セックス・フリー、すなわち現代のジェンダーフリーの翻訳間違い。北欧では、女性の社会進出に合わせて、勤労条件や出産・育児環境をはじめ多くの制度改革を行い、何よりも男性優位社会からの脱却を図ったのだ。

女性や高齢者の非正規雇用、低賃金、人手不足の解消には、公共部門の賃上げが直接効果がある。経済学者ジョセフ・スティグリッツは、米国や日本の新自由主義経済を批判し、真の需要に見合った経済社会を構築すべきとしている。人々は何よりも子どもと親(高齢者)の幸せを望んでいる。経済競争を放任すると、世の中に偏りが出来てしまう。

そこを、是正するために公共(政府)が需要を発動するのが、真の経済の好循環だという。税の基本は、応能負担の必要配分。国民負担に世代間不公平が言われるが、社会保険方式を止めて、全て所得(法人)税で賄う方が、不公平が解消される。負担と受益はシンプルな方が良いのだ。(地歴好きの土浦人)

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