木曜日, 12月 25, 2025
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久しぶりのベトナムで思ったこと《文京町便り》21

【コラム・原田博夫】9月中旬、ハノイ市のベトナム社会科学院(VASS、国家機関)を訪れた。日越関係樹立50周年記念の会議・シンポジウムへの参加が主目的だった。この会議の主催は、ベトナム社会科学院、国際交流機構(JICA)、日本財団(JF)、専修大学だったが、駐ベトナム日本大使の山田滝雄氏や専修大の理事長・学長から祝辞が披露された。

40周年記念会議の際にも、当時私が主宰していた研究プロジェクト・専修大社会関係資本<ソーシャル・キャピタル>研究センター(2009年度~13年度)とVASSが研究交流協定を結んでいた関係で来訪しているので、10年越しの訪問になる。

会議以外にも現地事情の視察が組まれ、その一環でイオンモールを訪ねた。訪問先はハノイ中心部から南に車で15分程度の郊外で、周辺は田園地帯である。ここの基本的なレイアウトは日本各地のそれと同様で、横長3階建て・1階左右の一方に大型スーパーを配置し、中間部に衣料品などの各種テナント、2階にはレストラン・飲食店、3階にはエンタメ系店舗が入居している。

来店客はこの横長のモールを周回移動し、購買意欲のおもむくままに消費する仕掛けである。対象客層としては、この10年間で30%から70%に急増している同国の中間層、とりわけファミリー・若者・カップルに焦点を当てているようだ。

増えるイオンモール郊外店舗

店長(ベトナム人)・副店長(日本人)の話によると、地元コミュニティとの連携・意識改革を重視していて、ゴミは出し・捨てるもの(ベトナム人一般のこれまでの意識・行動)ではなく回収・処分の対象にし、清潔さを旨としたトイレなどに加えて、モール全体のグリーン化を促進する観点から、駐車・駐輪(バイク)場からモールへのルートには植栽を配置し、今後はEV設備も設置予定(充電時間がかかっても、その間、モール内に誘導できる)、屋上にはソーラーパネルも設置予定、とのこと。

同国でのイオンモールは、2013年1月にホーチミン市でスタートし現時点では6カ所だが、25年までには16に拡大する予定(30年までには30カ所も)とのこと。意欲的な取り組みに感心した上での私の懸念は、東南アジア各国での混雑した道路際に立ち並んでいる個人商店・飲食店と、こうしたイオンモールの集客力は両立するのか後者に席巻されるのか、という点だ。

かつての日本の中小都市でも、大型シッピングセンターが登場する前の地元商店街はそれなりににぎわいを見せていたが、規制を主眼にしていた大規模小売店舗法(1973年10月公布、74年3月施行)が廃止され、「まちづくり3法」の一環としての大規模小売店舗立地法(98年6月公布、2000年6月施行)以降は、さらなる来訪者の減少からシャッター街となり、さらには店舗それ自体が立ち退き・コインパーキングに変貌している。

今や日本の地方圏では、旧市街地内の伝統的な生活産業の店舗はほとんど姿を消し、代わって、郊外に大規模な駐車スペースを確保したショッピングセンター(イオンモールはその代表例)が立地して、人々の日常生活を支えている。

東南アジアの街の魅力は小規模な商店・飲食店の多様性と活力にあると私は感じるのだが、その馴染(なじ)みやすさ・逞(たくま)しさ・したたかさは、イオンモールの新規性・清潔さ・魅力を跳ね返すのだろうか、それに屈してしまうのだろうか。(専修大学名誉教授)

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つくば駅前に大型ディスプレイ登場 イルミネーションと共ににぎわいを

オフィスビル「T.S BUIL」 つくば駅前のオフィスビル「T.S BUIL」(同市吾妻)のペデストリアンデッキに面した2階部分の壁面に21日、縦2.5メートル×横4.4メートル、200インチの大型ディスプレイがお目見えし、クリスマス関連の映像が放映されている。 22日夜からは同ビル恒例のクリスマスイルミネーションも加わり、道行く人たちの目を楽しませている。駅前をもっとにぎやかにしたいと、同ビルを所有する不動産業の都市開発(塚田純夫社長)が新たに大型ディスプレイを設置した。 ディスプレイの設置工事は14日から始まり、1週間の工事期間を経て21日から放映が始まった。毎日正午から夜9時まで映像が流れる。クリスマスの現在は、クリスマスにちなんだクイズやイルミネーション点灯のお知らせなどが流れ、26日以降は年越しに関する映像に変わる。 今後は市の情報や警察関連情報、防災情報なども放映していく予定だ。「屋外広告物」という扱いのため、大きな音を出し大勢の人が集まるコンサートやパブリックビューイングを行うためには今後、市と相談しながらになるという。 イルミネーションは来年1月12日まで点灯する。3年前に始まり、昨年同様、同ビルのペデストリアンデッキに面する2階エントランスのガラス張り壁面全体がLEDで装飾され、ショーケースの中にはサンタクロースや雪だるま、トナカイ、クリスマスツリーなどが飾り付けられている。 ディスプレイに見入っていた市内に住む60代女性は「大型のディスプレイにびっくりした。世の中に季節感がなくなってきた時代なので、こんな感じでクリスマスなど季節を知らせてくれるのはありがたい。ディスプレイの前のペデストリアンデッキは広くなっているのでコンサートでもやってくれたら」と話す。近くの職場に通う50代の男性会社員は「ずっと殺風景だったので、とても良いと思う。どんどんにぎやかにすることをやってほしい」と話していた。 都市開発の霞学部長は「つくば駅前にあるつくばセンター広場のにぎわいづくりに協力出来たらということでやっている。防災も重要なので、行政の防災の取り組みに協力し、防災に関することも放映していきたい」と語る。また「今年、1階にスタジオを移転したラヂオつくばの中継も可能なので、ディスプレイで何が放映できるか考えていきたい」と述べる。 現在放映している映像の制作は20代の同社若手社員が担当した。管理部の藤沢花恋さんは「グラフィックデザインのソフトを使って動画を作ったが、初めてだったので大変だった。デザインなどは不慣れだが担当させてもらい、いい経験になった。今後の展開も考えたい」と話した。設置業者とのやりとりや申請業務など担当した営業部の高橋開人さんは「人が集まる場所が出来ればとてもうれしい」と述べた。(榎田智司)

サンタクロース《短いおはなし》46

【ノベル・伊東葎花】 今日、学校で男子とケンカした。だって、サンタクロースはいないって言うんだもん。私は絶対いると思ってる。プレゼントだって、毎年くれるもん。家に帰ってママに聞いた。 「ママ、サンタクロースはいるよね」 「そんなことより、今夜は冷えるから温かくして寝るのよ」 …そんなことって言われちゃった。 今、世界中が燃料不足で大変なのは知ってる。イブなのに、イルミネーションも暖房も自粛なの。お店は早く閉まっちゃうし、地球全体がどんより暗い。テレビも毎日「新しい燃料が見つからないと人類滅亡」とか言ってる。でもね、私はそんなことよりサンタクロース。今日は寝ないで、サンタクロースの写真を撮るの。私をバカにした男子を見返してやるんだから。 私は、ベッドにもぐりながら、その時を待った。すると、午前0時を過ぎた頃、窓の外が一瞬明るくなった。街中が真っ暗だから、すぐにわかった。サンタクロースが来たのかも。 耳を澄ますと、ピコピコと電子音のような音が聞こえた。サンタクロースは鈴の音と共に来ると思っていたけど、今どきは違うんだ写真を撮ろうと窓を開けると、緑色の少し小さめの人が飛び込んできた。あれ、サンタクロースは赤い服を着たおじいさんだと思っていたけど違う。緑色だ。 「いやあ助かった。船が故障しちゃってさ。地球って寒いね」 サンタクロースが言った。サンタクロースは、そりに乗って来ると思っていたけど、船で来るんだ。 「あ、仲間が助けに来てくれた」 サンタクロースが指さす先に、角が生えた黄色い生き物がいた。これがトナカイ? 本物のトナカイを見たことはないけど、角があるし、きっとそうだ。 「お邪魔しました。ありがとう地球人」 サンタクロースがトナカイと一緒に帰ろうとしたので、私は慌てて呼び止めた。 「あの、ちょっと待って…、プレゼントは?」 「ああ、親切にしてくれたお礼ね。地球人、意外としっかりしてるね」 サンタクロースは、持っていた袋から赤い石を取り出してポイと投げた。「石かよ!」と思ったけれど、世界中が不景気なので文句は言えない。「じゃあね」とサンタクロースは、あっという間に出て行った。きっとたくさんの家を回るから急いでいるんだ。 「あ、写真!」 慌ててシャッターを押したけど、UFOのような白い光が写っただけだった。ああ、失敗。 写真は撮れなかったけど、サンタクロースに会えた興奮でなかなか眠れない。それに、どういうわけか部屋の中が夏みたいに暑くて、毛布を全部蹴飛ばした。サンタクロースからもらった赤い石は、暗い部屋で不思議な光を放っている。なんだろう、これ。 この石が、燃料不足の地球を救うエネルギー源になる物体だと知るのは、少し後の話。地球を救ってくれたのはサンタクロースだって、私は信じてる。 (作家)