日本代表キャプテン
女子サッカーなでしこリーグ2部のつくばFCレディースで正ゴールキーパー(GK)を務め、セキショウグループのアドバンス・カーライフサービスに勤務する伊東美和選手(22)がこのほど、デフサッカー女子日本代表に主将として選出された。世界選手権出場を前に8日、五十嵐立青つくば市長を表敬訪問した。
出場するのは23日からマレーシア・クアラルンプールで開催される第4回ろう者サッカー(デフサッカー)世界選手権大会。聴覚障害者を対象とした競技で、選手同士はアイコンタクトや手話などでコミュニケーションをとる。今大会、女子は10カ国が参加。予選リーグで日本は米国、イングランド、ネパール、トルコと同じBグループに配された。
「出場するからには優勝が目標。日の丸を背負う責任と結果が求められる。応援してくれる方々に一番見ていただきたいのは、厳しい状況でも全員で必死に最後まで戦い続ける姿。一人でも多くの人に感動と勇気を与え、子どもたちに日本代表を目指してもらえるようなプレーがしたい」と伊東選手。
世界選手権は新型コロナの影響により延期され、開催は7年ぶり。今回、女子チームは11人制のところ8人しかメンバーが選出されておらず、人数のハンデを背負って戦うことになる。これはデフフットサルワールドカップ(11月10日~、ブラジル・ノヴァペトロポリス)と開催時期が近いことが原因。両方に出場する遠征費がねん出できず、一方に絞らざるを得ない選手が多かったという。
ルール上は最低7人いればゲームが成立するが、当然控え選手はおらず、ケガをしてもピッチから下がるわけにはいかない。「どうしても厳しい時間が長くなると思うが、キャプテンとして常にチームを鼓舞したり、一人一人に声掛けしたりして、チームが一番いい状態で戦えるよう準備していきたい」
栃木県出身。小3でサッカーを始め、中2からGKを務める。宇都宮文星女子高で3年次に全国高校選手権出場、卒業とともにつくばFCに入団。仕事ではDr.Driveアドバンスセルフ吾妻店に勤務し、カーメンテナンスなどに従事する。
つくばFCでは現在4年目。今季は背番号1を背負い、開幕から多くの試合で先発出場を果たしてきた。身長は157センチ。なでしこリーグ1部・2部を合わせ60人ほどのGKがいる中で、最も小柄なクラスに入るという。だが持ち前のキック力とビルドアップ能力で最後方からゲームを組み立てる。伊東選手の蹴るロングフィードがチャンスをつくり出すことも多い。
右耳は3歳のとき突発性難聴を患い、左耳も3年ほど前から聴力が落ち始め、半年前から補聴器を装着する。デフサッカーには昨年7月の代表候補選考会を機に挑戦を決めた。つくばFCの試合でも前座イベントとして、子ども向けのデフサッカー体験会を自ら主催するなどの取り組みもしている。
五十嵐市長は「障害者サッカーの体験会は市でも開催したことがあり、子どもたちの視点が変わって良い影響があると思う。機会があればスケジュールの許す限り参加したい」と話すとともに、大会での健闘を祈り、激励金を伊東さんに手渡した。(池田充雄)