月曜日, 2月 2, 2026
ホームつくば教員確保できず 募集条件緩和を検討 つくば市【不登校生徒の居場所 校内フリースクール】上

教員確保できず 募集条件緩和を検討 つくば市【不登校生徒の居場所 校内フリースクール】上

つくば市は、不登校の小中学生が学校内で自由に過ごす居場所「校内フリースクール」の整備を始めたが、配置する支援員が足りない状況にある。今年度は新たにスタートした22校のうち3校で専任の支援員が確保できていない。来年度は市内全校に校内フリースクールを設置する計画だが、教員不足がいわれる中、支援員を確保できるかが課題になっている。

同市は、2021年12月に実施した不登校児童生徒の学習支援施設運営事業者の選定をめぐって迷走した問題を受けて、22年度に不登校支援のあり方について検討した。学校内の支援策の一つとして、全小中学校に校内フリースクールを整備し、不登校や教室に入れない児童生徒が安心して過ごせる居場所をつくる方針を決めた。

22年度に中学校1校に校内フリースクールを開設。今年度は、中学校16校につくり、全ての中学校17校に校内フリースクールを整備した。小学校は今年度、空き教室の活用ができ不登校児童が比較的多い6校に設置した。来年度は新設される1校を含め全32校に整備する目標を掲げている。

校内フリースクールには児童生徒の相談や学習支援を行う専任の支援員1人が常駐することになっている。ところが、小中学校合わせて22校の校内フリースクールのうち、支援員を配置できたのは19校で、小中3校は今も支援員が不在のままだ。

「数えきれない教員に応募呼び掛けた」

支援員はどのように募集が行われ、支援員のいない校内フリースクールはどう運営されているのか。市教育局学び推進課によると、支援員の公募は市のホームページ(HP)で2月に始まった。主な勤務条件は▽任期は24年3月31日までの1年間▽公立小・中学校に週4日または5日勤務▽時給1281円、通勤費支給▽教員免許保持者―。市教育相談センター所長で校内フリースクール担当の久松和則参事は「数え切れないほど多くの現役教員やOB教員に電話をかけて応援と応募を呼び掛けた」と話した。

HPで募集を開始すると、同課に問い合わせの電話が多くかかってきたが、募集22人に対し、実際の応募者数は20数人だった。書類審査及び面接で19人に絞られ、小中3校が未配置になった。着任した支援員は20代から60代で、結婚や子育てで教職から長期間離れていた女性が全体の4分の3を占める。

応募者が少なかったことについて同課は、民間フリースクールが知られるようになっているのに対し、県内では昨年4月、同市の中学校に設置した校内フリースクールを皮切りに導入の動きがあるものの認知度は低く、支援員の仕事について理解を得られなかったことが原因と考えられるとしている。

支援員のいない小中3校では、利用している児童生徒の担任教員が手の空いた時間に支援に入る。手が空かない時間は校長、教頭、学年主任らが入れ替わり支援に入り、学校全体で運営しているという。久松所長は「支援員不在での運営が、その学校に勤務する教員の負担になっているという話はない」とした。また、学校によっては不登校の対策会議を開くなど全教員が校内フリースクールへの理解を深め、協力態勢が整ってきていると言及した。

支援員を配置する意義については「校内フリースクールは不登校児童生徒たちの居場所づくりだが、場所をつくったら終わりではない。大事なのは常駐の支援員がいること。いつでも温かく迎えてくれる支援員がいることで安心できる居場所になって、学校に行きやすくなる」と久松さんは力を込めた。

任用期間で応募断念

同課は、支援員不足の状況を好転させたいと、次年度の公募要項の再検討に取りかかっている。「校内フリースクールを継続し、推進することが前提」とした上で、募集条件を緩和して人材の確保につなげたい考えだ。時給は条例で決まっていて、条例改正に時間を要することから変更はないとする。今年度と同じように不登校児童生徒を理解し、1人ひとりに寄り添って支援できる人を採用する。検討結果が出る時期は未定だが、来年1月中には市HPで広く応募を呼びかけるという。また、年度末もしくは次年度に不登校児童生徒や支援員に聞き取り調査を行い、校内フリースクールの1年間の成果と課題を検証するとしている。

子育てで教職から離れている40代の女性教員は「復帰して不登校の子どもたちをサポートしたいが、任用期間が1年間で毎年審査と面接を受けることになり、子どもたちに長く伴走するのは難しい」と応募を断念したそうだ。また、時給について「非常勤だから仕方ない」という声がある一方で「経験を積んだ教員に対して良識ある時給とは思えない」という別の教員OBの意見もある。

同市の校内フリースクールの総称はハートフル「Sルーム」と名付けられている。SはSafe(セーフ)、Select(セレクト)、Special(スペシャル)、Support(サポート)、Space(スペース)の頭文字から付けられた。特徴は▽教室復帰ではなく社会的自立を目指す▽時間割はなく自主的な過ごし方と学びができる▽Sルームに登校すればその日は出席扱いとなるなど。

同市の不登校児童生徒数は21年度末で592人。現在、校内フリースクールに通っているのは、不登校や登校しても教室に入れず校門でUターンしたり保健室で過ごしていた児童生徒のほか、発達障害をもっていたり、外国籍で日本語によるコミュニケーションが苦手な児童生徒など。学校規模によって利用する児童生徒数は違うが、夏休みなど長期の休み明けは不登校や登校を渋る子どもたちが増え、利用者が増えることが予想されるという。(橋立多美)

続く

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

10 コメント

10 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

大岩剛監督が帰国報告 U23アジアカップで2連覇 サッカー男子

関彰商事つくば サウジアラビアで開かれたサッカー男子U23アジアカップで優勝し、2連覇を達成したU21日本代表の大岩剛監督(53)が帰国し、2日、スポーツアドバイザーを務める関彰商事つくばオフィス(つくば市二の宮)で開かれた帰国報告会で大会を振り返った。関太士副社長のほか社員約100人が集まった。 大岩監督率いる日本代表は、他国の出場チームが23歳以下で戦う中、21歳以下のチーム編成で臨み、高い完成度と組織力を発揮し、全試合失点0で大会を制した。 日本時間1月25日に行われた決勝戦では中国代表と対戦。中国は今大会、堅い守備を武器に無失点のまま決勝まで勝ち上がった強豪だが、日本代表は試合を通して主導権を握り、4-0で快勝しアジア王者に輝いた。 帰国報告会で大岩監督は「若いチームを率いたので、選手を鼓舞しながら戦っていくのは大変だった。その中で選手たちはどんどん成長していった。アジアのサッカーは強くなっている。今回日本は21歳以下で戦った。みんな格上のチームと考えていい中で勝ち抜き、2連覇を達成したことは素晴らしいこと」だと話した。 昨年、鹿島アントラーズがJ1で優勝、水戸ホーリーホックがJ2で優勝し、筑波大学も全日本大学サッカーで優勝したなど茨城旋風が吹いたことについては「期待されると選手ががんばるというのは事実。今年も鹿島は優勝候補だし、水戸もがんばれるのではないか」と話した。 社員から「短い間で組織を作り上げる方法」について質問が出て、「スタッフを信じ、ミーティングを効果的に短くすることが大事」とアドバイスした。 関副社長はあいさつの中で「大岩監督は時間があれば会社に出勤してくれる真面目な方。今回は優勝とともに、失点0に監督やチームの強い意思を感じることが出来た」と述べた。 大岩氏は静岡県出身、静岡市立清水商業高等学校、筑波大学を経て、名古屋グランパスエイト、ジュビロ磐田、鹿島アントラーズと選手時代を過ごしたあと、鹿島のコーチを務め、2021年にはU-21の代表監督に就任した。2024年のパリ五輪でもチームを率いた。(榎田智司)

掛け声は「福は外」 土浦 瀧泉寺で七福神らが豆まき

開山620年 本堂に場所移し 節分を前に、土浦市中心市街地にある瀧泉寺(りゅうせんじ、中央2丁目)で1日、節分会追儺式七福神豆まきが行われた。毎年2月3日に近くの中城不動院(中央1丁目)を会場に豆まきを行っているが、今年は開山620年祭として本堂境内へ場所を移した。掛け声は「福は外」で、これは「お寺には鬼はおらず、お寺の福を皆さんにお分けする」という意味だそうだ。 「当寺が620年間も時代を乗り越えて続いてこられたのは、支えてくださった檀家さんらいろんな方々のおかげ。お礼の意味で皆さんに福をお授けしようと、例年より内容もさらに盛大に開催した」と住職の齊藤純英さん。 午後3時から節分会追儺式の法要が行われた後、いよいよ年男らが本堂前の特設舞台に登場。安藤真理子市長や下村壽郎市議らによる七福神のほか、乙姫に扮した高橋直子県議と、市非公認キャラクターのキララちゃんも加えた九福神が、集まった善男善女に向けて福豆や紅白のもち、菓子、おひねりなどを投じた。 参加者の一人、阿見町から来た佐藤しをりさん(45)は「例年の不動院の豆まきもこじんまりとして楽しいが、ここでは広々とできてよかった」と感想。授かった福餅は来年受験を控える娘のために持ち帰り、家できなこ餅にして食べるそうだ。ほかにも伊東大翔ちゃん(5)は「いっぱい拾えて楽しかった」、梶原杏那さん(7)は「ちょっと怖かったけど楽しかった」などと話していた。 かつて土浦城の祈願寺 瀧泉寺は同寺は土浦市街部の中では最古級の寺の一つ。1406(応永13)年の開山で、大岩田法泉寺の興誉上人が開いた。法泉寺は当時、小田領4カ寺の一つとして隆盛を誇った。 最初に瀧泉寺があった場所は勝軍木(ぬるで)郭(旧鷹匠町、現中央2丁目)といい、亀城タクシーの裏手のあたりだったらしい。1605(慶長10)年あるいは1619(元和5)年に、土浦藩主により現在地(筑波銀行本店裏)へ移された。寺嶋誠斎「土浦史備考」は元和5年説で罹災が原因という。 1691(元禄4)年に時の藩主・土屋政直が同寺を土浦城の祈願寺と定め、以降は年2回、城内の守護繁栄と歴代城主の供養のため、住職が登城して護摩祈祷をするなど深く関わった。本尊は十一面観音菩薩坐像で市指定文化財、頭部は南北朝~室町初期の作とされる。本堂前にある樹高9メートルのクロガネモチも市指定名木に指定されている。(池田充雄)

孤独は病か?それとも恋の予兆か?《看取り医者は見た!》49

【コラム・平野国美】今回は前回コラム(48 定年後の「孤独」は病気ですか?)の続きです。さて、さまよえる孤独な訪問医師、私の居場所はどこかにあるのでしょうか? 私が見つけた「令和の楽園」 そこで思い出したのが、昔、一度だけ訪れたことがある入浴施設付きのアスレチックジムでした。バブル期のころ、雨後のタケノコのように出現した「アスレチックジム」。かつては、若者が汗を流し、肉体を誇示する場所でした。しかし、久しぶりに足を踏み入れたそこは、「定年後の楽園」と化し、70代以上の高齢者の「たまり場」となっていました。 面白いのは、スポーツジムというだけでなく、世代による「すみ分け」です。24時間使える最新施設では、若い人たちが耳にイヤホンをつけ、黙々とトレーニングに励んでいます。そこには、他者との関わりを遮断した「個」の空間があります。格安の女性専用ジムでは、隣の人との会話を楽しみながらマシンを動かしています。 一方、この老舗ジムはどうでしょう。トレーニング後に井戸端会議を楽しみ、お風呂場からはにぎやかな笑い声が聞こえてきます。みなさん「家の風呂はほとんど使っていない」と言います。彼らにとって、ここはスポーツをするだけの場所ではありません。自分たちの大切な居場所「大事なコミュニティ」なのです。 こうした「すみ分け」は、利用者の思いが反映したものなのか、施設側の経営戦略なのか―私は両方だと思います。人は、本能的に居心地のよい場所を探しているのです。 薬ではなく「つながり」を処方 この「楽園」には驚くべき生命力があふれています。 私の住む地域の老舗ジムでは、なんと! 80代カップルが誕生するまでに至ったというのです。これこそ、私が提言したい「社会的処方」の究極の姿ではないでしょうか。人が社会と他者とつながること。これが高度な医療よりも、強く、長く、人の命を輝かせるのです。最新の認知症薬を試すよりも、よほど魂が動き出すかもしれません。 「いい年をして」と、顔をしかめられる方もいるでしょう。しかし、人の価値観はそれぞれです。日本人の寿命が延びたのは事実ですが、患者さんと対話していて感じるのは、誰もが生活に満足しているわけではないという現実です。寿命だけではなく、生活の質(QOL)を上げなくてはなりません。 「孤独」は、確かに恐ろしい病の入り口かもしれません。しかし、一歩外へ踏み出し、自分たちの手で作り上げた「楽園」に身を投じる勇気さえあれば、人生の第2幕は80代からでも最高潮を迎えられるでしょう。かつてテニスクラブを失い、心細さに震えた61歳の医師は今、ジムの喧騒(けんそう)の中に、新しい希望の形を見ています。 さて、私もそろそろ、お風呂上がりの談笑の輪に加わってみようかと思います。(訪問診療医師)

大幅薄型化、装着時間10秒 新型の作業用アシストスーツ発売 サイバーダイン

身体機能をサポートする装着型サイボーグHAL(ハル)を世界で初めて開発し、販売する筑波大発ベンチャー「サイバーダイン」(つくば市学園南、社長・山海嘉之筑波大教授)は、労働作業などの負担を軽減する腰部装着タイプ新型モデル「LB06」の販売を2日から開始する。 従来モデルから大幅に薄型化し、10秒で装着できるように改良した。救急救命活動をはじめ、空港、工場、物流倉庫、建設、農業の現場など、重量物の持ち上げや運搬など身体に大きな負担がかかる現場での利用を想定している。 背面をスリム化 HALは、人間の皮膚につけたセンサーによって動きたいという意思の電気信号を読み取り、内蔵コンピューターが解析し補助モーターを作動させることで、人の動きを助ける。新型モデルは、これまで同社が展開してきたHALの腰部装着タイプ「LB03」の後継にあたる。 最大の特徴は本体背面のスリム化で、従来比約65%の薄型化を実現した。これにより、装着したままでフォークリフトや作業車両の乗り降り、運転時の後方確認、狭い場所での作業などが格段に行いやすくなった。従来モデルでも車両操作は可能だったが、利用者から寄せられた「背中の出っ張りが気になる」といった現場の声を反映し改良につなげたという。 装着性も向上している。腹部と脚部のベルトを固定するだけのシンプルな構造で、装着時間は約10秒。救急救命の現場でも必要時に即座に使用できる。重さは約2.7キロと、従来モデルより約400グラム軽量化された。実際の数値以上に「軽く感じる」という。バッテリー性能も強化された。連続稼働時間は従来の約4.5時間から約10時間へと倍以上に延びた。1日の作業を十分にカバーできることから、現場での使い勝手が向上している。 機能面では、持ち上げ動作や中腰姿勢の保持に加え、脚を大きく開いた開脚姿勢やガニ股での持ち上げ作業にも対応できるようになり、アシストできる作業の幅が広がった。また同社のバイタルセンサーとの連携も可能で、心活動、体表面温度、被服内湿度、加速度などのデータを取得し、作業者の体調変化や転倒などの異常を検知できる。救急救命分野では、救急救命士自身の体調管理とともに、患者の健康状態を数値化し、データを搬送前から医療機関と共有することも想定する。 製品は、販売またはレンタルを行う。価格は非公開で、導入企業ごとに見積もり、対応する。レンタルを主体とする背景には、平和利用を前提とした同社の企業方針や、独自技術の管理を重視する目的がある。 パワーとスムーズな動きの両立に注力 サイバーダイン新規事業開発部の中澤泰士さんは「今回のモデルチェンジでは、パワーとスムーズな動きを両立させることに力を注いだ。スリムになったからいろいろできることが増えたという声が届いている」とし「人とAIロボットや情報などを融合する『サイバニクス技術』によって、深刻化する人手不足や超高齢化社会といった社会課題の解決を目指し、単なる作業負担軽減にとどまらず、働く人が健康で、安心して働き続けられる環境を実現したい」と話す。(柴田大輔)