土曜日, 1月 17, 2026
ホームつくば教員確保できず 募集条件緩和を検討 つくば市【不登校生徒の居場所 校内フリースクール】上

教員確保できず 募集条件緩和を検討 つくば市【不登校生徒の居場所 校内フリースクール】上

つくば市は、不登校の小中学生が学校内で自由に過ごす居場所「校内フリースクール」の整備を始めたが、配置する支援員が足りない状況にある。今年度は新たにスタートした22校のうち3校で専任の支援員が確保できていない。来年度は市内全校に校内フリースクールを設置する計画だが、教員不足がいわれる中、支援員を確保できるかが課題になっている。

同市は、2021年12月に実施した不登校児童生徒の学習支援施設運営事業者の選定をめぐって迷走した問題を受けて、22年度に不登校支援のあり方について検討した。学校内の支援策の一つとして、全小中学校に校内フリースクールを整備し、不登校や教室に入れない児童生徒が安心して過ごせる居場所をつくる方針を決めた。

22年度に中学校1校に校内フリースクールを開設。今年度は、中学校16校につくり、全ての中学校17校に校内フリースクールを整備した。小学校は今年度、空き教室の活用ができ不登校児童が比較的多い6校に設置した。来年度は新設される1校を含め全32校に整備する目標を掲げている。

校内フリースクールには児童生徒の相談や学習支援を行う専任の支援員1人が常駐することになっている。ところが、小中学校合わせて22校の校内フリースクールのうち、支援員を配置できたのは19校で、小中3校は今も支援員が不在のままだ。

「数えきれない教員に応募呼び掛けた」

支援員はどのように募集が行われ、支援員のいない校内フリースクールはどう運営されているのか。市教育局学び推進課によると、支援員の公募は市のホームページ(HP)で2月に始まった。主な勤務条件は▽任期は24年3月31日までの1年間▽公立小・中学校に週4日または5日勤務▽時給1281円、通勤費支給▽教員免許保持者―。市教育相談センター所長で校内フリースクール担当の久松和則参事は「数え切れないほど多くの現役教員やOB教員に電話をかけて応援と応募を呼び掛けた」と話した。

HPで募集を開始すると、同課に問い合わせの電話が多くかかってきたが、募集22人に対し、実際の応募者数は20数人だった。書類審査及び面接で19人に絞られ、小中3校が未配置になった。着任した支援員は20代から60代で、結婚や子育てで教職から長期間離れていた女性が全体の4分の3を占める。

応募者が少なかったことについて同課は、民間フリースクールが知られるようになっているのに対し、県内では昨年4月、同市の中学校に設置した校内フリースクールを皮切りに導入の動きがあるものの認知度は低く、支援員の仕事について理解を得られなかったことが原因と考えられるとしている。

支援員のいない小中3校では、利用している児童生徒の担任教員が手の空いた時間に支援に入る。手が空かない時間は校長、教頭、学年主任らが入れ替わり支援に入り、学校全体で運営しているという。久松所長は「支援員不在での運営が、その学校に勤務する教員の負担になっているという話はない」とした。また、学校によっては不登校の対策会議を開くなど全教員が校内フリースクールへの理解を深め、協力態勢が整ってきていると言及した。

支援員を配置する意義については「校内フリースクールは不登校児童生徒たちの居場所づくりだが、場所をつくったら終わりではない。大事なのは常駐の支援員がいること。いつでも温かく迎えてくれる支援員がいることで安心できる居場所になって、学校に行きやすくなる」と久松さんは力を込めた。

任用期間で応募断念

同課は、支援員不足の状況を好転させたいと、次年度の公募要項の再検討に取りかかっている。「校内フリースクールを継続し、推進することが前提」とした上で、募集条件を緩和して人材の確保につなげたい考えだ。時給は条例で決まっていて、条例改正に時間を要することから変更はないとする。今年度と同じように不登校児童生徒を理解し、1人ひとりに寄り添って支援できる人を採用する。検討結果が出る時期は未定だが、来年1月中には市HPで広く応募を呼びかけるという。また、年度末もしくは次年度に不登校児童生徒や支援員に聞き取り調査を行い、校内フリースクールの1年間の成果と課題を検証するとしている。

子育てで教職から離れている40代の女性教員は「復帰して不登校の子どもたちをサポートしたいが、任用期間が1年間で毎年審査と面接を受けることになり、子どもたちに長く伴走するのは難しい」と応募を断念したそうだ。また、時給について「非常勤だから仕方ない」という声がある一方で「経験を積んだ教員に対して良識ある時給とは思えない」という別の教員OBの意見もある。

同市の校内フリースクールの総称はハートフル「Sルーム」と名付けられている。SはSafe(セーフ)、Select(セレクト)、Special(スペシャル)、Support(サポート)、Space(スペース)の頭文字から付けられた。特徴は▽教室復帰ではなく社会的自立を目指す▽時間割はなく自主的な過ごし方と学びができる▽Sルームに登校すればその日は出席扱いとなるなど。

同市の不登校児童生徒数は21年度末で592人。現在、校内フリースクールに通っているのは、不登校や登校しても教室に入れず校門でUターンしたり保健室で過ごしていた児童生徒のほか、発達障害をもっていたり、外国籍で日本語によるコミュニケーションが苦手な児童生徒など。学校規模によって利用する児童生徒数は違うが、夏休みなど長期の休み明けは不登校や登校を渋る子どもたちが増え、利用者が増えることが予想されるという。(橋立多美)

続く

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

10 コメント

10 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

川口公園で火災 芝生2500㎡焼ける つくば市

17日午前10時53分ごろ、つくば市が管理する同市上郷、川口公園で芝生が燃える火災が発生し、同公園北側の芝生の一部約2500平方メートルが焼けた。消防車6台が出動し、火は午前11時23分に鎮火した。けが人はいないという。 市公園・施設課と市中央消防署豊里分署によると、出火時、公園内に人がいたどうかは不明という。現在、消防署で出火原因などを調査している。 同公園は広さ約5ヘクタールで、小貝川の近くにあり、公園内には三つの池がある。周囲は田んぼや林などに囲まれている。

研究者、経済人、政治家が集い つくばで賀詞交歓会

つくば市商工会主催による「つくば市新春賀詞交歓会」が17日、市内のホテルグランド東雲で開かれ、国や民間研究機関の関係者、市内に支店を置く大手企業や地元企業の関係者、国会・県会・市会議員など約400人が参加した。恒例の賀詞交歓会は昨年まで、市、商工会、研究機関交流協議会、筑波大学の4者共催だったが、今年から商工会の単独主催になった。 今年から商工会が主催 最初にあいさつした桜井姚商工会会長は、研究学園の可能性について「熊本県に半導体工場が集中しているが、これは水の質がよいからと聞いている。市内にある研究機関の技術力を動員すれば、自然と同じぐらいの質の水は人工的にできる。今やつくば市は、世界が必要とする半導体を全部つくれるぐらいの学園都市に育った」と述べ、研究力を駆使した事業地域化構想をぶち上げた。 また、五十嵐立青つくば市長は、主催を商工会に移譲した理由について「行政が主催すると、(ビジネスなど)次につながらず、形式的なところで終わってしまう。これだけ地域の皆さんが集まるところだから、地域経済の糧になる、市の魅力を形にできるような賀詞交歓会にするには、主催者は市でない方がよいのではないかと思い、桜井会長に相談したら『まかせておけ』と引き受けてくれた」と説明した。 立ち話の話題は衆院総選挙 国会議員で開会時から参加したのは、いずれも茨城選挙区の上月良祐、加藤明良、桜井祥子の参院議員3氏だけだった。国光あやの衆院議員(比例)は副外相の仕事で外国訪問のため欠席、青山大人衆院議員(茨城6区)は開会式の途中で駆けつけた。 参加者の間では、総選挙が大方の予想より早まって2月になること、立憲民主党と公明党が一緒になり「中道改革連合」が誕生したこと―など中央政局の話題と、つくば市が入る茨城6区の票の行方に話題が集中、各種情報を基に票読みがなされた。6区では青山氏(立憲)と国光氏(自民)のほか、堀越まき氏(参政)の立候補も確実になっており、桜井議員と一緒に名刺を配る同氏の姿も見られた。 筑波大学長が「2つの約束」 国会議員のあいさつの後、永田恭介筑波大学長は「ここで2つの約束をしておきたい」とし、①つくば市には科学技術の研究所がたくさんあるが、それらが一堂に会して全体でパワーを示すシステムを4月にスタートさせたい、②大学には文学系の学生も体育系の学生もおり、多様な学生たちに参加してもらい、大学としてもつくば地域の未来に貢献したい―と述べた。しかし、新たなシステムの詳細は明らかにしなかった。(坂本栄)

今年からSNSへの試験問題投稿禁止 出願手続きオンライン化も 共通テスト始まる

2026年度の大学入学共通テストが17日、始まった。試験は18日までの2日間。会場の一つ、筑波大学(つくば市天王台)では、2日間で6093人が受験する予定だ。 今回から新たに、試験終了後であってもSNSなどインターネット上に試験問題を投稿することが禁止された。 また出願方法が「オンライン出願」に変更され、これまでの高校経由の郵送出願は廃止になった。それに伴い大学入試センターでは、受験生は自分で受験票を印刷し、本人確認ができる顔写真付きの身分証と併せて持参するよう呼び掛けた。万が一、試験当日に受験票を持参し忘れた場合には、試験場本部で身分証を確認の上で仮受験票が交付される。 初日の17日は、地理・歴史・公民、国語、外国語、2日目は理科、数学1、数学2、情報が実施される。体調不良者などへの追試験は今月24日と25日に予定されている。 受験予定者数は、筑波大学で昨年より160人少ない。県内では昨年とほぼ同数の1万2226人。全国では昨年より1066人少ない49万6237人が受験を予定している。減少の理由として少子化のほか、推薦入試を選ぶ受験生が増えていること、思考力を重視する方向に転換した共通テスト離れがあることなどが指摘されている。 いつもの力を発揮したい この日、最高気温16度が予想されたつくば市では、小春日和の青空の下、午前8時には開場を待つ受験生が筑波大学に集まっていた。 自転車で来たという市内在住の高校3年男子生徒は「おとといは緊張で眠れなかったが、昨日はよく眠れた。緊張とワクワクが混ざった不思議な気持ち。意気込みが空回りしないよう、いつもの力を発揮したい」と語った。市内から来た女子生徒は「オンラインでの出願や受験票の印刷は学校でみんなでやったので問題なかった。まだ本番を迎えた実感が湧かないが、会場に入っても緊張せずに頑張りたい」と話した。(柴田大輔)

土浦三高の生徒が考案 「まごころ弁当」21日からイオンで販売

県立土浦三高(同市大岩田、渡邊聡校長)の生徒とイオンリテール北関東・新潟カンパニー(永山久美子支社長)が共同で、弁当「愛の彩り まごころ弁当」を開発した。21日から27日まで、茨城、埼玉、群馬、栃木県内のイオンなど31店舗で販売される。 販売に先立ち、開発した生徒らが16日、土浦市役所を訪問し安藤真理子市長に報告した。弁当の開発は、イオンが2011年に茨城県と締結した地域活性化包括連携協定に基づいて実施され、同校商業科の3年生10人が授業の一環で1年掛けて取り組んだ。 販売される弁当は、単身の男性をターゲットに「子どものころ、家族が心を込めて作ってくれた愛情いっぱいのお弁当を再現」した。ご飯は、しょうゆを使っただし汁で炊いた茶飯にサツマイモとゴマをトッピングしている。おかずはカレーソースで仕上げた唐揚げをメーンに、ハート型オムレツ、菜の花とコーンのマヨマスタード和え、ポテトサラダ、昔ながらの赤いウインナーなど彩り豊かで多彩な副菜を取り入れた。メンバーで唯一の男子生徒、成嶋孝弘さんは「男性が好きなものばかり入っている。嫌いな人はいないと思う」と話す。 温かみ感じる商品を 開発メンバー代表の永島葵さんは「企画で大変だったのは、お弁当を買う人のターゲットを決めたり、コンセプトを考えたりすることだった」と振り返り、「単身の男性や忙しい方がお弁当を買うのではと考え、その中でコンセプトを練った。喜ぶメニューは何かを考え、人の温かみをお弁当や食材から感じる商品を作ろうと決めた」と話す。メニューはメンバーで案を出し合い、学校で試作品を作りながら決めていった。 同行した渡邊校長は「土浦三高商業科は1年生で商品開発、マーケティングの基礎を学び、3年生になると課題研究科目で学びの総まとめとして、調査や研究、実践、商品制作などを行う。今回は学校だけで終わる学びではなくイオンリテールさんの力を借りて実際に商品化し販売できる。真の生きる力を育めたのではと感じている」と語った。 試食した安藤市長は「おいしい。皆さんが一生懸命考え、高校生活の集大成だと思うと胸がいっぱいになる。ハート形のオムライスなど見た目も楽しめる。食べる人がホッとするというか、愛を感じると思う」と話した。 イオンリテールの中鶴英治エリア制作推進グループマネージャー代行は「茨城県との包括連携を通じて青少年の育成に寄与するものということで、実際に売り場で販売するなども生徒にとって役に立つと思っている。コンセプトを決めたり、ターゲットを決めたりといったところから始まっているのでおいしいお弁当ができたと思う。来週の発売が非常に楽しみ」と話した。 「愛の彩り まごころ弁当」は645円(税込み)。全部で1550個を販売する予定だ。24日午前10時30分からは同市上高津のイオンモール土浦1階お惣菜売り場の弁当コーナーで同校生徒による推奨販売が実施され、45個を販売する予定。予定数量に達し次第、終了する。(伊藤悦子)