ワクワクしながらやってる人間は強い
ーWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)をやっている期間は監督も選手も全試合ご覧になったんですか。
小菅 全試合見ました。プロの最高峰の人たちが真剣勝負するというのは最高の材料ですからね。いくらプロでホームランを打っているとはいえ別のプレッシャーがかかるし、ああこの人センター返しするといとも簡単にヒットが出るんだとか。あの人たちが日の丸を背負ってつないでつないでと、心も技も凄く勉強になりました。
ーミーティングでWBCに触れたりもしたんですか。
小菅 もちろん触れました。大谷翔平のセーフティバントどう考える?って話もしました。夏の大会でああいう判断が出てくるかもしれないよねって。それこそフォアザチームじゃないですけどね。実はひょんなことからチケットが手に入りまして、これで大谷翔平を日本で見るのは生涯で最後かもしれないなと思って、中国戦を東京ドームに見に行ったんですよ。なかなかの迫力でしたね。私もこれだけ長く野球をやっていて、目で追えない打球って見たことがないんですよ。左中間にぶつけた当たりなんか、打った瞬間にボンって。普通は打ってしばらくしてボンなんですけど、あんな打球は初めて見ました。本当にすごかったですよね。三塁の横にいたので、本当にドンって感じの。
選手には「大谷は100年に一度の選手で人間性も良い」と、「引退して偉人伝になる前に今見ておくんだぞ」という話をしています。大谷君って結局は野球小僧なんですよね。やはりワクワクしながらやっている人間は強いなと。そして彼は結構チーム愛が強いですよね。勝ちたいってハッキリ言っていますもんね。大谷翔平の勝負にこだわるところは好きです。それこそ野球小僧ですよね。
ー大谷翔平が高校時代に練習試合で下妻二高に来ましたよね。
小菅 私が下妻二高の監督時代に交流があって行き来していましたね。その試合は0対1で負けました。
ースカウトが当時バッターとしても高く評価されていた大谷翔平をエースの諏訪洸選手(下妻二高-亜細亜大-トヨタ自動車)が見逃し三振にとって、諏訪の評価がかなり上がったという話を当時聞きました。
小菅 あの試合は忘れませんね。大谷君と握手してもらいました。これは間違いなく将来メジャーリーガーになる選手だと思いましたし、雰囲気から何から違う。華がありますよね。まさに頭抜けてました。技能じゃないですよ、華が。キラキラっていう華が。
ー大谷翔平と対戦経験がある監督ってたぶん県内見渡しても小菅監督以外にいないんですよ。
小菅 もしかしたらそうかもしれませんね。彼はその試合でセンターフライを打ったんですよ。対空時間が長くて全然落ちてこないセンターフライは初めて見ました。こちらがバントをする場面があったので、一番良いバッターにバントをさせてみたんです。でも出来なかったですね。ピッチャー正面のバントがゲッツーになりました。0対0で進んだ試合でしたが、最後に花巻東が1点をガムシャラにとりに来て、精神面の強さに気圧(けお)されて負けたんですけどね。ただあの年は大谷君は甲子園に行けなかったですね。
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