昔は型に当てはめがちだった
ー指導観が劇的に変化したタイミングやきっかけってありましたか。
小菅 昔は高校野球はこうあるべきだと型に当てはめて考えがちでした。ひと山いくらで見ていたといいますか、一人一人に合った指導をしていませんでした。しかし自分に子供が出来て、子供の成長と共に考え方が変わってきました。やはり一人一人を親御さんから預かっている訳ですから、自分も親になってそういう感覚が分かるようになりました。また、昔は親御さんとは一線を画していましたが、今は親御さんとも一定の距離感は保った上で積極的にコミュニケーションを図っています。毎年12月のオフシーズンに選手と親、私の三者で面談を行うのですが、本人からはこれからどういう風に高校野球に関わっていくかの未来像を話してもらい、それに対して親御さんの意見を伺います。私からは選手の現状や課題、学校生活、育成方針などをお話しし、ざっくばらんに意見交換してコミュニケーションを図っています。
ー中学生に求める選手像や人間像を教えてください。
小菅 素直であって欲しいですね。野球が伸びる1番の要素はこれだと思います。あと野球を好きであって欲しい。たくさん練習して欲しいし基礎基本を大事にしてほしいですね。指導者に言われるままの受け身の子が今の時代にも多いです。間違った指導は疑って欲しい。自分でエビデンスに当たって欲しいです。高校2年生くらいになればみんなができるようになるのですが、それを中学生の頃からやれたらより高校野球にスムーズに入ってこられると思います。
ー野球人口が年々減少していると言われていますが、それに対して何か具体的な動きをされていますか。
小菅 問題意識は持っていますが、実は現場の人間にとってそこが一番欠けている部分だと思います。たくさんの子供たちに野球を好きになって欲しいという考えはもちろんありますけども、私がやれることは魅力的なチームを作って、土浦日大に入りたいとか、高校野球に憧れる子供を一人でも増やすことです。選手たちの青春時代を預かっている限りはそこに全力を注がないと、選手たち、あるいは親御さんの期待を裏切ることになりますよね。ですからあえてこの問題には目を向けないようにしています。
現場の人間には難しいので、そうした危機的状況を組織の上の方が捉えてアイデアを考えて、現場にこういうことをやってくれとか、この小中学校を指導してくれとかいうのがあれば惜しみなく協力します。
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