金曜日, 4月 10, 2026
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土浦市立博物館が郷土史論争を拒絶!《吾妻カガミ》158

【コラム・坂本栄】土浦市立博物館と市内の郷土史研究者の間で論争が起きています。争点は筑波山系にある市北部(旧新治村の一角)が中世どう呼ばれていたかなどですが、博物館は自説を曲げない相手の主張に閉口し、この研究者に論争拒絶を通告しました。アカデミックディスピュート(学術論争)を挑む市民をクレーマー(苦情を言う人)と混同するかのような対応ではないでしょうか。

「山の荘」の呼称はいつから?

博物館(糸賀茂男館長)と論争しているのは、藤沢(旧新治村)に住む本堂清さん(元土浦市職員)。社会教育センターの所長などを務め、退職後は市文化財審議委員、茨城県郷土文化振興財団理事も歴任した歴史通です。「山の荘物語」(私家版)、「土浦町内ものがたり」(常陽新聞社)、「にいはり物語」(にいはりの昔を知り今に活かす会)などの著作もあります。

争点はいくつかありますが、主なものは現在東城寺や日枝神社がある地域の呼び方についてです。本堂さんは、同地域は古くから「山の荘」と呼ばれていたと主張。博物館は、同地域は「方穂荘(かたほのしょう=現つくば市玉取・大曽根辺りが中心部)」に含まれ、中世室町時代以前の古文書に「山の荘」の記載はないと主張。この論争が2020年12月から続いています。

博物館によると、この間、本堂さんは博物館を11回も訪れ、館長や学芸員に自分の主張を展開したそうです。そして、文書による回答を要求されたため、博物館は「これ以上の説明は同じことの繰り返しになる」と判断。これまでの見解をA4判3枚の回答書(2023年1月30日付)にまとめ、最後のパラグラフで論争の打ち切りを伝えました。

その末尾には「以上の内容をもちまして、博物館としての最終的な回答とさせていただきます。本件に関して、これ以上のご質問はご容赦ください。本件につきまして、今後は口頭・文書などのいかなる形式においても、博物館は一切回答致しませんので予めご承知おきください」と書かれています。博物館は市民との論争に疲れ果てたようです。

博物館=権威vs.市井の研究者

本堂さんはこの対応に怒り、「博物館は間違ったことを言っており、茨城県史を歪めている。市町村史も執筆している館長の糸賀さんは中世史の先生(常磐大名誉教授)だが、歴史学者の故網野善彦氏(元名古屋大教授)の間違った説をそのまま展開している。しかも、それを単に肯定するだけでなく、誤りを補強している」と言っています。

さらに、「糸賀さんが館長に就任した後、『山の荘が方穂荘に含まれていたという説はおかしい』と面談で指摘したら、『その話は止めましょう』と言われた。それなら文字でと書面による回答を求めた。相手がどう出ようと論争は続ける」と諦めていません。

中世史家を館長に擁する市立博物館vs.その権威に挑む市井の研究者。似たような構図は隣の市にもありました。つくば市の施策をミニ新聞で批判した元市議vs.それを名誉毀損だと裁判所に訴えた市長―です。土浦のケース(権威vs.市民)はつくばのケース(権力vs.市民)ほど深刻ではありませんが…。(経済ジャーナリスト)

<参考> つくばのケースは、126「…市長の市民提訴 その顛末を検証する」(2022年2月7日掲載)に出ています。

<予告> 本堂清さんと土浦市立博物館の論争のポイントについては、次回のコラム159で取り上げる予定です。

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「おひたじ」のまち土浦《くずかごの唄》156

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「水エンジン」量産へ 東大発 宇宙ベンチャーがつくばに生産拠点

小型人工衛星向けの推進機(エンジン)を開発する東京大学発の宇宙ベンチャー、ペールブルー(Pale Blue 本社・千葉県柏市、浅川純社長)がつくば市内に建設していた「つくば生産技術開発拠点」の開所式が8日、大井川和彦知事、五十嵐立青つくば市長ら関係者30人余りが参加して催された。同施設では、同社が開発した「水」を推進剤とする独自のイオンエンジンの量産に向け、技術開発から製造、検査、出荷までを1カ所で完結させる。 拠点は、つくばエクスプレス(TX)万博記念公園駅周辺の工業地域に立地する。鉄骨造3階建て、敷地面積は約1900平方メートル。当初は25年8月の操業開始を予定していたが、実際の稼働は今年2月となった。 用地は県が土地区画整理事業を実施したTX沿線の上河原崎・中西地区内で、県有地をペールブルーが約9800万円で落札し、取得した。土地取得費を含む総事業費は約16億円。成長産業の本社や研究所などの誘致を目的とした県の企業立地促進補助金に、2023年12月に採択された。補助見込額は約1億5000万円。主に人材の雇用に対する奨励金として活用される。 施設内には、真空状態となった内部で機器の試験を行う真空チャンバー、振動試験機、クリーンルームなどの主要な設備があり、推進機の生産技術開発から最終検査・出荷までを自社で完結できる「一気通貫」の体制を構築した。 拠点は今年2月に稼働を開始し、現在は約15人が勤務する。生産拡大に合わせて段階的に人員を増やし、将来的には最大60人体制を目指す。生産技術や品質管理、調達などものづくり関連の人材を中心に採用を強化している。 県プロジェクトの目玉企業 ペールブルーは2020年、東大大学院で航空宇宙工学を専攻した浅川さんら研究者4人が創業した。従来の推進剤には毒性の高いヒドラジンや、希少で高額なキセノンが使われ、取り扱いに制約があった。これに対し同社は、安全で調達が容易な水に着目し、水蒸気やプラズマを噴射して推進力を得る独自の推進機「水イオンエンジン」を開発した。エンジンの重量は、水を含めて約1.5キロ、大きさは約10センチ四方と、従来型では難しかった小型化を実現。浅川さんは水の利点として「安全性、入手性、コスト」の3点だと説明する。2025年9月には宇宙空間で水イオンエンジンを稼働させることに、世界で初めて成功した。 同社が開発する推進機は、ロケットで打ち上げられた人工衛星が宇宙空間で切り離された後に初めて役割を発揮する装置で、推進剤となる水を宇宙空間に噴射し、その反動で衛星を動かす仕組みだ。機能は大きく四つある。衛星を目的の軌道に送り届ける「軌道投入」、空気抵抗や重力の影響で生じる軌道のずれを定期的に修正する「軌道維持」、運用を終えた衛星を大気圏に落下させる「軌道離脱」、増加が問題となっている宇宙ごみ(スペースデブリ)との「衝突回避」だ。 近年は多数の小型衛星を連携させて運用する「衛星コンステレーション」が急速に広がり、年間数千機規模の打ち上げが続く。衛星の数だけ推進機が必要となるため、需要は世界的に増加している一方で、供給が追いついていないと浅川さんは言う。 県は2018年、JAXA(宇宙航空研究開発機構)と連携し宇宙ビジネスに取り組むベンチャー企業などを支援する「いばらき宇宙ビジネス創造拠点プロジェクト」を立ち上げた。大井川知事は開所式で「宇宙開発は新たな段階に入りつつある。つくばを中心に宇宙ビジネスに貢献できる企業を集積したい。ペールブルーはプロジェクトの中でも目玉の企業であり、県としてしっかりと支援していく」と述べた。 五十嵐市長は「世界から注目されるペールブルーの新拠点がつくば市にオープンしたことを光栄に思う」と歓迎し、約4年前から欧州の宇宙産業をリードするルクセンブルクの機関と連携協定を結び、市内のスタートアップを現地に派遣するプログラムを実施しており、ペールブルーの海外展開についても支援する意向を示した。(柴田大輔)