常総市が首都圏中央連絡自動車道(圏央道)常総インターチェンジ(IC)付近で整備を進めてきた「道の駅常総」が28日午前11時、オープンする。27日には関係者を招いて内覧会が催された。午後から市民向けにプレオープンし、行列に入場制限が出るほど来場者でごった返した。
道の駅は、常総IC周辺の約45ヘクタールで整備中の産業団地「アグリサイエンスバレー常総」の一画にできた。区画整理事業後の新町名である常総市むすびまちの約2万平方メートルの敷地に、鉄骨造2階建て延床面積約2千平方メートルで建設された。
1階が農産物加工品を中心にした物販店、2階が「常総 いなほ食堂」名で展開する飲食店となる。運営は、指定管理者のTTC(本社・静岡県熱海市、河越康行社長)が常総市に作ったCOLLECT(コレクト、河越敬仁社長)による。TTCグループは全国に13の食のテーマパーク、道の駅を展開しており、地域産品を発掘してのオリジナル品開発を得意としている。
今回は料飲メニューを含め約1500アイテムの商品を展開する。農産物直売所には常総市内の80軒をはじめ県内を中心に180軒の地元生産者から1100種の商品が届くという。陳列商品の9割がたは加工品で、メロンを使ったパンやソフトクリーム、サツマイモのケンピやチップス、地元養鶏農家の卵を「天てり卵」と名付けて加工した各種スイーツなどオリジナル商品が並ぶ。
道の駅では年間100万人の来場を目指し、28日からのゴールデンウイーク中10日間で10万人の人出を見込んでいる。
水害からの復興のシンボル
「アグリサイエンスバレー常総」は同市が掲げる「食と農と健康」テーマの6次産業化の拠点施設として、地元農産物や加工品の販売、飲食をはじめ、周辺施設と連携したコンテンツの提供を通じ、市の新たな玄関口としてまちの魅力を発信していくとされる。
優良農地を残しながら、企業を誘致する都市エリアを形成し、生産・加工・流通・販売が一体となった地域産業の核となる産業団地を形成する構想。2015年の鬼怒川決壊がもたらした常総水害からの復興のシンボルとして計画された。
道の駅が2階建てとなったのも、水害時の垂直避難ができる想定からという。内覧会で、神達岳志市長は「水害を乗りこえてシビックプライド(市の誇り)を取り戻す拠点がようやくできた。関係者や市民に感謝したい」とあいさつした。
プレオープンまで1時間以上行列に並んで買い物した同市の主婦(72)は「連休には東京の子供が孫を連れてくるっていうのでのぞきに来たがこんなに混むとは思ってなかった。楽しみが出来てよかった」と話した。
28日は午前10時からのオープニングセレモニーに大井川和彦知事らが出席してテープカットが行われる。物販部門の営業時間は午前9時~午後5時。隣接するいちご園「グランベリー大地」が昨年12月に先行してオープンしている(22年12月15日付)ほか、引き続き5月に書店の「TSUTAYA(ツタヤ)」、24年に温浴施設がオープンの予定となっている。(相澤冬樹)