日曜日, 12月 7, 2025
ホームつくば「まずサイエンス高をテコ入れ」 つくばの市民団体要望に県教育庁

「まずサイエンス高をテコ入れ」 つくばの市民団体要望に県教育庁

学級増はトーンダウン

人口が増加するつくば市で県立高校が不足している問題で、市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)は26日、森作宜民県教育長宛てに①現時点でつくば市周辺エリアの県立高校は学級数が15学級不足しているとして、高校改革プラン期間中の2026年までに15学級増やし、30年までにさらに10学級程度増やすこと②中学生が安心して進路選択できるよう学級増の計画を早急に示すことなどを求める要望書を提出した。

要望書を受け取った県教育庁高校教育改革推進室は「サイエンス高校の(定員割れの)状況がひじょうにショッキングな状況だったので、まずはそこをテコ入れしていかなくてはならない」とし、考える会が強く求めたつくば市周辺の県立高校の定員増に対しては「つくばエリア(の中学生)が増えていることは理解しているが、周辺地域を含め総合的に判断させていただき検討したい」との回答にとどまった。

昨年11月の県議会一般質問で森作教育長がつくば市周辺の県立高校について「中学生の進路選択に影響が出ないよう検討する」「適切な時期に県立高校の定員を増やしていくことが必要」と答弁したことを受けて(22年11月4日付)、市民団体が改めて学級増を要望した。一方、今年4月に開校したつくばサイエンス高校(旧つくば工科高)が、定員を2学級80人増やしたにも関わらず定員240人に対し72人の志願者しかなかったなど大幅に定員割れした事態を受けて、今年3月の県議会で森作教育長は「既存高校の魅力化を図ることにより志願者確保に努める」「つくばエリアの増よりも周辺エリアのマイナスの方が大きい」と答弁するなど、学級増に対する答弁をトーンダウンさせている(3月8日付4月9日付)。

26日要望書を受け取った同改革推進室の増子靖啓室長は「要望について真摯に検討させていただくが、県の考えとしては、つくばサイエンス高校や筑波高校に欠員が出ており、我々のPRがうまくいなかったと反省しているが、魅力化を図って、来ていただける学校にしたいということが我々の取り組みの第一」だと強調した。

さらにサイエンス高について「『(普通科を希望する中学生が多いという)ニーズと離れているんじゃないか』というご指摘を(考える会から)いただいたが、つくばには研究機関がたくさんあり、大学進学のニーズもあることを踏まえ、学校を変えて定員増をしたが、結果として大変厳しい結果となったことは反省すべき点だと思っている」とし「一番残念だったのは、昨年の段階でPRした時、説明会にはたくさん来ていただいたが、(校舎が改修工事中だったため)実際の教室とか実習室とか、科学技術のために新しく整備したところを一切見せることができなかった。実際にこういう場でこういう授業ができるということを実際に見ていただければ中学生や保護者も違うのかなと思う」と話し、今年はサイエンス高のPRを強化するとした。

考える会の片岡代表はこれに対し「定員割れしている学校の魅力を高める問題と、歴史的に県立高校や学級数が削減された中で人口が増えて7人に1人しか市内の県立高校に入れないという問題を混同している」とし、定員割れの問題と県立高校不足問題を別々に検討するよう迫ったが、同改革推進室は「周りの県立高校に影響が出るので切り分けるべきではない」と答えるなど、平行線に終始した。(鈴木宏子)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

117 コメント

117 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

日本人はロボットとの親和性が高い?《看取り医者は見た!》47

【コラム・平野国美】前回、介護ロボットへの私の懐疑的な視点と、友人が自作の「鉄腕アトム」に心を奪われたという対照的な出来事を紹介しました。この現象の背景を探る鍵は、業界紙が報じたドイツ有識者のインタビュー記事に見出せます。 その記事には、ドイツの専門家アルムート・ザトラパ・シル博士による次のような警鐘が記されています。「ロボットがケアについて自律的に判断してしまうと、人間をサポートするどころか、支配してしまうことになりかねません。『人間とは何か』という根本的な問題にも関わってくるでしょう」 この言葉は、私がデモで見た無機質なロボットから感じた「痛々しさ」の正体を的確に示しています。欧米では、ロボットはあくまで人間の作業を代替する「便利な道具」として捉えられており、それゆえに道具が人間を支配することへの警戒心が強いのだと理解できます。 しかし、友人がアトムに感じた「胸がキュンとなった」という、道具に対するものとは思えない感情は、この文脈だけでは説明がつきません。長い時間をかけて完成させたアトムは、スイッチを入れた友人に「やっと、会えたね」と語りかけました。この一言が、友人にとってアトムが単なる「道具」ではなく、幼い頃から物語を共有し、自らの手で組み立てた「魂のこもった存在」であったことを物語っています。 ここに、日本独自のロボット観が隠されていると考えられます。欧米の映画でロボットが悪の兵器として描かれがちなのに対し、日本では『鉄腕アトム』や『鉄人28号』のように、正義の味方、時には人間以上に豊かな感情を持つ存在として描かれてきました。戦後の日本人は、こうしたロボット観に深く親しんできたのです。 これは、業界紙の記事で指摘された「日本人はロボットへの親和性が高い」ことの一つの大きな理由でしょう。さらに驚くべきは、人間同士や人とペットとの絆を深めるホルモン「オキシトシン」が、人間とロボットとの関係においても分泌されることが確認されたという研究です。 道具も含め万物への畏敬の念 私たちが無意識のうちにロボットに「心」や「物語」を求め、そこに絆を見出す。この「心を通わせる」分野こそ、日本人が最も得意とするところかもしれません。 その根底には、日本人の独特の宗教観、すなわちアニミズムがあるのではないかと私は考えるのです。このアニミズムとは、自然や道具を含むあらゆるものに魂や霊が宿るという世界観です。具体的には、山、川、木、風など、数多くの自然や現象に神が宿る「八百万(やおよろず)の神」の考え方が神道の基盤となり、動植物だけでなく道具にまで万物への畏敬の念が深く根付いています。 現代において、この感覚は失われたように見えても、私たちの意識のどこかに今も残っています。それが、単なる道具ではないロボットとの強い親和性を生み出す源泉となっているのかもしれません。最近では、この癒し系ロボットと過ごされる方も出現してきました。(訪問診療医師)

ポルシェセンターつくば 6日 リニューアルオープン

ドイツの自動車メーカー・ポルシェの正規販売店「ポルシェセンターつくば」が6日、つくば市学園の森にリニューアルオープンする。5日には、運営会社でセキショウグループのザルツブルグ・モータース(本社・つくば市)の関正樹社長、ポルシェジャパン(東京都港区)のイモー・ブッシュマン社長ら関係者による開所式が同所で開かれた。 式の中でブッシュマン社長は「ポルシェのみならず、自動車業界そのものが電動化・デジタル化など多くの変化と課題に直面している。ポルシェとして未来に向けて準備を進めている。素晴らしい製品とサービスを提供することで信頼をいただき、自然と科学が共存する筑波研究学園都市で、今後の成長を目指すイノベーターとなっていきたい」と語った。 ポルシェセンターつくばは、2015年にポルシェセンター水戸(ひたちなか市)が移転し、名称を改め開店した。開店10年となる今回のリニューアルでは今年4月から既存の建物の改装工事を行ってきた。 同店は鉄骨造2階建て、敷地面積約8240平方メートル、延床面積約3089平方メートル。約1035平方メートルのショールーム内を「Eパフォーマンス(電動モデル)」「レーシングカー」などコンセプト別に色分けし、最新モデルをはじめ最大10台が展示される。また敷地内には最大150キロワットの出力を持つ電気自動車用急速充電器が引き続き設置され、有料で24時間365日利用できる。店舗奥には新たに168インチ(3840mm×2160mm)の大型LEDモニターが設置され、プロモーション映像などが映される。 ポルシェセンターつくばの栗原裕治店長は「つくばを起点にポルシェブランドの伝統と革新を力強く発信し、持続可能なブランドづくりを実現していきたい」と述べ、ザルツブルグ・モータースの関社長は「世代を超えてポルシェに乗っていただければ」と語った。(柴田大輔)

ハープギター国際イベントで3位 岡田英典さん 6日つくばで演奏披露

米国リトルロックで11月に開催されたハープギターの国際イベントで3位に入賞した取手市在住のミュージシャン、岡田英典さん(59)が6日、つくば市内2カ所で演奏を披露する。岡田さんは「日本でハープギターを弾く人は知っているだけで4~5人しかいないので、ハープギターを広めたい、呼ばれればどこでも行って演奏したい」と話す。 ハープギターは、ギターにハープのような高い音や低い音を出す追加の弦を取り付けた楽器。国際イベントは「ハープギターギャザリング」で、ハープギターの愛好家や演奏家、楽器職人らが集まり、セミナーや演奏会などが催される。23回目の今年は初めてコンテストが実施された。 イベントは米国、ベルギー、オーストラリア、イギリスなどから約100人が参加した。日本からの参加は岡田さん一人。岡田さんは、前から行きたかったイベントで、初めてコンテストが実施されると聞いて「記念受験のつもり」で参加した。また亡き友人のものと岡田さんのハープギターを製作したベルギーの楽器職人も出席すると聞いて、彼の前で演奏したかったという。 3位になった理由について「ハープギターのスーパートレブルという竪琴のような弦の音とテクニックがよかった、印象的だったと参加者らに言われたので、おそらくそこが評価されて3位になったのではないか」と語る。 予選では日本の歌謡曲「秋桜(コスモス)」など、決勝ではビートルズの曲目とアイルランド民謡を演奏した。 20年たって購入 岡田さんは中学2年からギターを弾き、大学生の頃ハープギターを弾きたいと思うようになった。カナダ出身のロックバンドがハープギターを弾いている映像を見たのがきっかけだ。楽器を手に入れたいと思いいろいろな店を訪ねたが、珍しい楽器なので手に入れることができなかった。 40歳になり、たまたま入った楽器店に中古のハープギターが売られているのを見つけ、20年たってようやく購入できた。1902年に作られたもので故障が多く、修理してくれる楽器店もなかなか無かった。 友人の急逝がきっかけ 現在、岡田さんが演奏するハープギターはベルギーの楽器職人が製作した。2018年にハープギター奏者の友人が56歳で急逝したことがきっかけだった。友人は演奏中に倒れ、ハープギターは壊れた。ベルギーの楽器職員が製作したものだった。 その後、友人の妻から「一周忌で弾いてほしい」と頼まれ、岡田さんは友人のハープギターを預かった。修理のためにベルギーの職人とメールで何度もやり取りし、一周忌で演奏、ハープギターを遺族に返した。 メールでやり取りしているうちに自分が演奏したいハープギターのイメージがわき、ベルギーの楽器店に製作を依頼した。完成した岡田さんのハープギターはギター弦6弦、ハープ弦13弦と、低音を出すためにベース弦が8弦張ってある。長さ約1.3メートル、横幅約50センチで、重さは11キロある。 6日はつくば市内2カ所、来年2月1日は土浦で演奏する予定だ。(伊藤悦子) 〈つくば、土浦の岡田さんのコンサート予定〉◆12月6日(土)午後1時~2時、つくば市吾妻1丁目8−10、BiViつくばイベントホールで開催の「もりのうさこ絵本読み聞かせ」で、BGM演奏後、少しソロ演奏する。参加費無料。問い合わせは「音色のまちづくり実行委員会」(メールinfo@chrimachi.art)。◆同日午後6時から、つくば市花室989-4、パブリックハウスf’inn(エフイン)で開催の「冬のヨナヨナ夜長ライブ」に出演。フードとドリンクの注文が必要。問い合わせは電話029-850-6172(同店)◆2026年2月1日(日)午後6時から、土浦市桜町1丁目5-2 桜Ⅰビル1F、土浦LEO’S LIVE BAR(レオズ ライブバー)のライブイベントに出演。岡田さんの出演は午後7時20分から。3500円+1ドリンクの注文が必要。予約はメールleos.livebar@gmaii.comへ。

過ぎたる部分の緩和《続・気軽にSOS》167

【コラム・浅井和幸】「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」は、私が好きな言葉です。もう何十年も好きな言葉トップ10に入り続けています。もちろん、苦しみ悩むことも、こだわり続けて体力の限界まで頑張っていくことを否定しているわけではありません。むしろ、それはそれで推奨するし、尊敬もしています。 しかし、「~過ぎる」ことは、目的を達成すること、喜びを感じることから遠ざかってしまうことにもなりかねません。注意が必要です。 不安で苦しんでいる人は、不安なんてなくなってしまえばよいと考えるでしょう。体の痛みがつらい人は、痛みを感じない体が欲しくなるかもしれません。疲れを感じない体と精神力を得られれば、仕事も勉強もスポーツもうまくいく気がします。 しかし、不安やネガティブな気持ちがあるから、将来起こるかもしれないリスクに備える行動をとれるわけです。貯金をしたり、勉強をしたり、ブレーキをかけたり、保険に入ったり。体の痛みを感じなければ、けがをしているのに動けなくなったり後遺症が残ったりするまで動き続けてしまうかもしれません。 疲れを感じなければ、実際に疲労している心身を休ませず、ある時に突然倒れこむことになるでしょう。 不安もない、体の痛みも疲れも感じない状態で山登りや受験勉強をしたら、休憩をとることを忘れて、むしろ頂上や合格に届かなくなることが考えられます。疲れたら上手に休憩することが、自分が行きたい目的地に近づくひとつのコツになります。 緊張のし過ぎと、リラックスのし過ぎの中間点に程よい緊張があり、それが物事を成すために必要な状態です。緊張がよくない、リラックスがよいという、ゼロか100かの問題ではないのです。休む時はゼロに近いリラックスで、動くときはそれに見合った程よい緊張というイメージでしょうか。 何かこの嫌な習慣がゼロになってほしいという気持ちが浮かんだとしたら、「過ぎた」部分を緩和しようと、言葉だけでも言い直してみることをお勧めします。 公共の福祉に反しない限り… 完全な悪とか善とかも、ほとんど存在しません。格好よく言い切ったり、飛び抜けた表現をしたりすると、刺激的でとても魅力的に感じるでしょう。周りは愚鈍で自分は先を見据えた賢明な人間だと、気持ちよく感じるかもしれません。 カウンセリングでは、思うことも過激な発言もその場限りで、守秘義務があるのでかなり自由です。ですが、カウンセリングルーム内でもそうですが、特にカウンセリングルームの外では行動化はしないようにというのが約束となります。 人は生まれながらにして自由で、行動も言論も自由があるのだというと、素敵に感じます。ですが、限度があるものです。どこが限度かというのはケースバイケースですので難しい問題ですが、「公共の福祉に反しない限り」という表現は便利な言葉ですし、何かしらの指標になるのではないかと思います。(精神保健福祉士)