土曜日, 1月 17, 2026
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少子化対策は女性の過剰負担になる 《ひょうたんの眼》56

【コラム・高橋恵一】少子高齢化を「国難」と言った元首相がいたが、昨年の出生数が80万人を割り込んだ結果を受けて、少子化が大きな国政の課題とされている。

少子化が進めば、若い世代が減少し、高齢者を支える社会保障制度が維持できない。さらに、いずれ人口が減り、経済規模が縮小し国力も低下するとされ、少子化問題を説明するために、若者が数人で高齢者を持ち上げて支えているイラストを示し、将来、少子化で支える若者が減る一方で高齢者が増え、若者が支えきれないとして、世代間の確執をあおり、「高齢者の集団自決の薦め」まで登場している。

その論点を整理する必要がある。人口の年齢区分を、国連(WHO世界保健機構)は、年少人口(0~14歳)、生産年齢人口(15~64歳)、老年人口(65歳以上)に3区分している。前述イラストの若者が生産年齢人口、高齢者が老年人口である。また、国連は、年少人口と老年人口を足して、生産年齢に対して従属人口という区分も設定している。つまり、働き手人口全体で、子どもも老齢人口も支えているのだということである。

国連は、高齢化を7.0%からとし、日本の場合1970年に達し、その後も高齢化が急速に進行した。一方、日本の年少人口は、1970ごろまで40%弱あり、従属人口は、50%を下回っていた。このように生産年齢人口比率が高い時代を「人口のボーナス期」というが、大戦終結後の欧米や日本にほぼ同時期に現れ、世界的な高度成長期となった。イラストで言えば、支える若者数が、子どもと老齢者を上回っている時代である。

スウェーデンなどのヨーロッパ諸国は、この余力を、高齢社会に備えて堅実に生かし、1人当たりのGDPは、世界のトップ水準を維持している。日本は、この「余力」を生かすべき時代を、「ジャパンアズナンバーワン」などと浮かれ、社会保障費や医療、教育費などを軽視して、ヨーロッパ社会に後れを取った。

男性優位社会を根底から直せ

その後の日本の若者支えイラストは、どうなったか? 生産年齢人口は、長寿化で国連の設定を越え、定年延長や再雇用などで、高齢者が就労を続けたのだ。もう一つ、女性が就労に大きく参加したのだ。短絡的にいえば、支える若者(?)が、モデルよりも増えたのだ。人口のボーナス期が伸びたのだ。

しかし、再雇用も、女性の就労参画も、賃金を抑えた。さらに、若者まで、非正規雇用とした。イラストで言えば、支える人数は確保されても、体力の弱い若者なのだ。賃金が安いということは、稼働人数が少ないと同じ、個人購買力が低迷した。

北欧などが国力を高めたのは、女性の社会進出の要因が大きい。社会の男女格差を無くし、女性の能力が大きく生かされた。日本の少子化問題を解決するためには、非正規雇用を無くし、同一労働、同一賃金を制度として保障することだ。

そして、男性優位社会を根底から直すことだ。旧統一教会のお題目でもあるまいに、日本の伝統的家族観などを理由に、夫婦別姓も、同性婚も、LGBTに至っては「理解増進」さえも進めない。今のままでは、結局、子育てが母親の精神的、肉体的、経済的過大負担になってしまう。児童手当の増額や、教育費の無償化などとは次元を変えて、我々の意識切り替えが必要だ。(地図好きの土浦人)

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