月曜日, 1月 12, 2026
ホームつくば費用負担 年2.3億円 無償譲渡受ける方針を議会に説明 洞峰公園問題でつくば市

費用負担 年2.3億円 無償譲渡受ける方針を議会に説明 洞峰公園問題でつくば市

市議会「情報そろってない」

つくば市二の宮にある県営の都市公園、洞峰公園(約20ヘクタール)について、五十嵐立青つくば市長は14日、県から無償譲渡を受け市が管理する方向で県と協議を進める方針を市議会に改めて説明した。近日中に県に正式に伝えるという。

無償譲渡を受ける場合、新たに市が負担する費用は、維持管理費が年間約1億5000万円、体育館や温水プールなどの大規模修繕費が2027年度までに年平均7800万円、年間で合計約2億2800万円かかることが想定されるとし、28年度以降の大規模修繕にいくらかかるかは施設状況の調査が必要になるとした。

3月議会開会日の14日、本会議終了後に全員協議会を開き、説明した。議会から出た意見も含めて県に正式に伝える。今後のスケジュールがどうなるかは明らかにしなかった。

一方議会からは、28年度以降の大規模修繕費がいくらかかるのかなどの質問が出たほか、「まだ情報がそろってない」など慎重な意見が相次いだ。

五十嵐市長は全協後の記者会見で「議員から明確に無償譲渡に反対するという声はなかったが、議会として承認いただいたという話ではない。議会との対話は継続して行っていきたい」とした。

年間2億円を超える新たな費用負担が生じることについては「費用はありとあらゆるものにかかる。費用をどう考えるかを含めて議会や市民と対話する機会があれば価値がある」などと述べ、明言を避けた。

無償譲渡を受けることは市民の総意か否かについても記者から質問が出て、五十嵐市長は「多くの住民が洞峰公園の環境を守ってほしいと思っているということがアンケートや説明会から読み取れるが、さまざまな市民がいて、既存の公園の修繕が必要だという声もある。何か一つやれば、他にこういうことをやるべきだという考えの方がいる。私としては無償譲渡は望ましいことだと考えた」などと述べた。

一方、県は、無償譲渡を受けるか否かについて1月31日までに市から正式な回答が無かったとして、2月1日から、洞峰公園内の野球場にグランピング施設を建設する建築基準法の手続きのための事前協議の準備に入っている。今回、市から回答を受け取れば事前協議手続きを止めるか否かについて、県公園緑地課は「市の回答を確認してからでないと判断できない」(1月31日付2月1日付)などとしている。(鈴木宏子)

   ◇   ◇   ◇

14日の市議会全員協議会のやりとりは以下の通り。敬称略

飯岡宏之市議(自民党政清クラブ)市民にはどのような方法で説明するのか。市全体でアンケートを行うのか。早急に市民に説明すべき。

五十嵐立青市長 これまでもさまざまな形で対話してきた。全協で話を伺ってその方向性を県に伝える。譲渡を受けることを伝えて県の返事を待ってその上で検討していく。協議会を設置し、どのような管理運営が望ましいか皆さんと議論するプロセスを踏みたい。

飯岡 維持管理費が年1億5000万円、温水プールやアリーナがある施設の大規模修繕費は総額8億6000万円(2017-27年度)、23年度から27年度までにあと3億5600万円かかる。建物は築43年、体育館やプールはまだ耐震補強されていない。27年度からさらにどれくらいの修繕費がかかるのか。

建設部長 その部分は県に確認が済んでいないのでお答えできない。

飯岡 県に聞いて分かり次第、議会に報告してほしい。利用料金値上げは議会と市民に問わなければならないということでよいか。

市長 無条件に値上げするとは考えてない。

山中真弓市議(共産)県から無償譲渡される場合、パークPFI事業者との契約はどうなるのか。

部長 県と事業者との契約なので市としては承知していない。

山中 県の方で契約を破棄した上で無償譲渡を受けるのか。

部長 無償譲渡となったら県と事業者との契約は無くなると認識している。

山中 建物の修繕費が今後かかると予想されている。建物の管理と公園の維持管理を分けて考えることは選択肢の中にないか。

部長 建物の小規模修繕は、指定管理を仮定した場合、指定管理費の中でお願いする。大きな修繕は市で対応すると考えている。

山中 体育館やプールの大規模修繕など、今後、市の予算の大きな負担になることが考えられる。大規模修繕は県にお願いし軽微なものは市がやるなど、県と協議する可能性はあるか。

部長 道路が県から市に移管されることがある。その場合、目に見える修繕が想定されるものは事前に修繕してもらう。そういった形が望ましい。

山中 分かる範囲の修繕は県にお願いすることが可能だが、想定されてない大規模修繕は市がやるのか。

部長 今後、県との協議の中に入ってくる。

小森谷さやか市議(市民ネット)この間の知事のやり取りはあまりにも強引だ。報道等でも無償譲渡と移管という言葉が混在して使われている。無償譲渡と移管の説明をお願いしたい。

部長 無償譲渡は所有権まで市の所有になる。移管は所有は県、管理は市になる。

小森谷 今回、管理も所有も市になるということか。

部長 その通り。

小森谷 全協で議会の意見を聞いてから県に返事をするということだが、全協は何かを決定する場ではない。全協で各議員が質問や意見を言う中でどうやって意見をまとめるのか。決め方がわからない。議会に議案として出るのか。

市長 現時点で議決をいただくものは想定してない。無償譲渡を受けるのに議会の議決は必要ない。今後、維持管理費など予算をいただくものは議会の議決を受ける。県は県議会の議決が必要になるのではないか。

小森谷 全協で皆の意見を聞いて、どのように県に持っていくかが見えない。

市長 無償譲渡を受ける方向性を考えていることを県に正式に伝えたい。本日、皆さんからどんな意見があったのかも県にお伝えしていく。市としてこのような形で進めたいと(県に)お話したい。

皆川幸枝市議(市民ネット)今後のスケジュールは見えてないのか。1年(ぐらいかかるの)か。スケジュール感はどう考えているか。

市長 期限を区切ることは難しい。県議会の議決が必要かどうかは県の中で精査すること。詳細は県が方針を出していただくことだと考えている。

皆川 市民への説明だが、周辺部の住民からは「いつも中心部ばかり」「何でも中心部にばかりお金をかける」という指摘がある。維持管理費は結構かかる、大規模修繕はこれから調査するということだが、各地域で説明会を行い、しっかり説明して理解を得るよう進めてほしい。

川久保皆実市議(チェンジチャレンジ)市が仮に無償譲渡を受ける場合、協議会を設置して進めていくということだが、大きなコンセプトしとして洞峰公園をどうしていきたいのか。県の整備方針にインクルーシブ遊具の設置があり、ニーズはある。白紙に戻すとインクルーシブ遊具をゼロから検討するのか。

市長 大きな方針だが、洞峰公園は完成された環境にあり、多くの人にとって重要な場所。市が管理することになれば新たな費用がかかるが、洞峰公園への市民の思いやアイデアが可視化されたと思っている。環境を守りながら、一方でどうすれば費用負担を最小限に抑えていけるか、新しく事業をやる余地があるのかなど協議会などを通して協議したい。インクルーシブ遊具は白紙になるが、市としてインクルーシブ遊具を増やす方向で進めている。

川村直子(市民ネット)大規模修繕費の算出根拠だが、部長の説明では、道路の維持管理で県から市に移管されるときは目に見えて分かる部分は修繕を済ませてから移管を受けるということだった。2023年度から27年度に県の方で想定される大規模修繕費は3億5600万円と明確に示してある。この辺は県の方で修繕してから譲渡を受けると考えられるがいかがか。

部長 できればそういった形が望ましいが、今後の県との協議の中での話になる。

川村 市から県にまだ伝えてないということか。

部長 これからになる。

塚本洋二市議(自民党政清クラブ)(配布された)資料によると県との協議は2021年からということだが、2021年10月以前に県から問い合わせはあったのか。最初いつぐらいから問い合わせがあったのか。県と市との協議の内容を示してほしい。

部長 2021年10月に県の事業者選定会議に出席した。オブザーバーとして参加依頼があった。夏頃、事業者の公募がされている中で、市建築指導課に問い合わせがあった。2020年10月、サウンディング調査を行う話を聞いている。グランピングなどの中身はその頃は無かった。事業者公募の際、何社かから建築関係で質問がきて、グランピングは建設できないと市建築指導課が回答した。

塚本 2020年12月にサウンディング調査の話があって、当時、市の方では内容を把握してなかったということだが、これまでの県との協議の流れと内容を示していだだくようお願いしたい。

小野泰宏市議(公明)きょう説明をいただいたが、議員の方も内容を精査しないと、意見はアウトラインぐらいにしかならないと思う。こういう機会をもっとしていただくか、会派で意見をまとめる等、こういう機会をもっとつくっていただかないと双方向にはならない。双方向でやらないと、議決の時に、納得した形で我々は判断しないといけない。きょうは第1弾の説明という感じしか受けない。そういう機会をもっと増やしていただけるようお願いしたい。

橋本佳子市議(共産)市が移管を受ける場合、協議会を設置するのはひじょうに大事。このままいけば皆が望まない方向で洞峰公園が運営されてしまうという中で、県の方から「それなら無償譲渡するから市の方でやってね」的な提案だと感じている。今、無償譲渡という形で協議を進めているということでいいのか。無償譲渡なら無条件でOKといえるかというと、情報がまだ何もそろっていない。例えばパークPFI事業者との契約が本当に破棄されて、きれいにして市に渡されるのかなど、あくまでもこちらがそうだろうと言うだけで、県の確認がとれていない。住民への説明も「お金がかかるのにどうしてあそこの公園に」という声もある。(無償譲渡が)決まりましたよということではなく(協議を)進めているということでよいのか。

市長 県としても譲渡となれば正式なプロセスが必要になる。市としては譲渡を受ける方向で協議していくということを正式に県に伝えるプロセスになる。併せて議員からさまざまな意見をいただいていることを県に伝える。(きょう)議会で承認されたということではないので、今後も随時、県との情報を共有していきたい。協議会の設置もしながら、どういうことができるか考えていくことが今後のプロセス。県には正式に譲渡を受ける方向で考えてます、ということをお伝えしていきたい。

あさのえくこ市議(市民ネット)建築基準法48条の特例、グランピングの建設について知事が、特例許可を受ける手続きに入ると、一種のどう喝発言をされている。今日、無償譲渡を受けますという判断にはならない状況にある中で、特例手続きはいつ消えるのか。

市長 譲渡を受ける方向性を県に正式にお伝えしたい。常識的に考えれば、そこで一旦止まるのではないかと考えている。

鈴木富士雄市議(自民党政清クラブ)議会で議決するのは維持管理費の時になるということだが、その前に経過をもっとよく説明してもらいたい。今日は(無償譲渡を受ける方針で)検討していくという話だが、協議していくことは結構あると思うので、議会に丁寧に何回も説明していただきたい。

市長 おっしゃる通りの方向性でやりたい。対話をきちんと積み重ねていくことは重要。進ちょくについてご相談させていただきながら、契約関係はどうするとか、適時適切に議会に報告し協議したい。市民ともプロセスを踏んでいきたい。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

148 コメント

148 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

招待状に「特別支援学校」初めて記載 つくば市 二十歳の集い

これまでは「市外の中学校など」 11日つくば市竹園、つくばカピオで開かれた同市主催の「二十歳の集い」で、参加対象の新成人にあらかじめ送付される招待状(入場券付き案内状)の出身中学校に今年初めて、「つくば特別支援学校」の学校名が記載された。市内にある市立や県立、私立の18中学校と並んで記載された。市によると、これまで同支援学校出身者は、対象者を限定しない「市外の中学校など」に含まれていたという。今年から学校名を明記した理由について市は、「『特別支援学校の卒業生が参加していいのか分からない』という市民の声に応えた」と説明している。 同市の式典は、出身中学校別に午前と午後に分かれて開催される。つくば特別支援学校の学校名は市のホームページなどにも、午前の部に他の中学校の学校名と並んで記載された。 会場では例年同様、身障者など専用駐車場の設置や筆談対応、車いすの貸し出し、事前連絡を条件とした介助者の式典同行を認めるなどの合理的配慮を実施した。 「ちゃんと存在している」 式典に参加した、つくば特別支援学校卒業生の梅山樂さん(19)の母、恵子さんは、「出身校として学校名が記載されたことで、『ちゃんと存在している』とみんなに認められた気持ちになり、うれしい気持ちになった。子どものころに交流してきた地元中学の同級生が声を掛けてくれ、覚えていてくれたのがとてもうれしかったし、お互いに立派になっていたことにも感動した。これから先、子どもが親から離れて、自分で何かを選び、希望していけるといいと思っている」と話した。 同じく式典に参加した五十嵐心音さん(19)の母親で、会場に付き添った純子さんは「体調を崩した時期もあった中で二十歳を迎えることができ、親としてもひと段落という思いがある。感慨深い」と語った。 根本侑弥さん(19)の父親、隆行さんは「あっという間の20年。何度も入退院を繰り返してきた。よく元気でこの日を迎えてくれた」と笑顔を見せた。母親の希美子さんは、出身校として「つくば特別支援学校」が記載されたことについて「車いすでも式典に参加しやすくなった。自分が通っていた学校名が記載されていなかったとしたら、行きにくさを感じる人もいたかもしれない」とした上で、「市主催の式典に出れられることで、地域の中に障害のある子どもがいるんだと知ってもらえると思うし、子どもの頃に交流していたことを思い出してくれるかもしれない。とても意義あることだと思う」と話した。 五十嵐立青市長は「特別支援学校の卒業生も大切な同じ仲間であり、市民の一人。皆さんと一緒にお祝いできることが大切。前に進んでいくきっかけの日にしたい」とコメントした。 つくば特別支援学校では毎年、市主催の成人式とは別に、卒業生を対象とした「成人を祝う会」を開いている。今年は1月17日に同校で開催し、16人の卒業生が参加する予定だ。(柴田大輔)

映画「倭文-旅するカジの木」を見て《邑から日本を見る》190

【コラム・先﨑千尋】先月7日、東京都練馬区の大東文化会館で国際シンポジウム「旅するカジの木、旅する神々-静御前と倭文(しづり)」が開かれ、その中で北村皆雄監督の映画「倭文-旅するカジの木」が上映され、北村監督の講演などがあり、筑紫舞、大和高田の白拍子舞などが披露された。 倭文ないしは倭文織は古代の織物の名称で、常陸国風土記や万葉集、日本書紀、延喜式などの古典に登場するが、現物が発見されていないので、“幻の織物”と言われている。その素材はコウゾやカジの木などの自然繊維で、神事に使う幣(ぬさ)、手纏(まとい)、鞍(くら)などに使われていたようだ。 私は那珂市静に鎮座している常陸二の宮静神社のすぐ近くに住んでいることもあって、かなり前からその織物に関心を持って、史料も集めてきた。常陸国風土記には「まだ織物がなかった時代に倭文部(しどりべ)という織物の技能集団が静周辺に来住し、倭文を織った」とある。静神社の主祭神は、織物の神様・建葉槌命(たけはつちのみこと)だ。 「衣食住」という言葉 北村監督は映画上映の前に「衣食住という言葉があるが、衣が最初で、食、住と続く。それはなぜなのか。人が生まれてきて最初に産着(うぶぎ)を着ける。布は第二の皮膚と言われ、人間しか着けない大事なものだ。倭文という謎の織物を手掛かりに、衣の持つ呪術性を探ってみたいと考えて映画を製作した。何もないものを作るのは大変なことで、5年もかかった」と話した。 映画は最初に、日本の原始布が残る徳島県旧木頭村を訪ねるところから始まる。ここではカジの木やコウゾで織る太布(たふ)が現在でも織られている。次に、糸を使わない布、タパが登場する。カジの木の樹皮をたたいて伸ばす。撮影隊は、タパを作っているパプアニューギニアに向かい、人類最古に当たる植物繊維の衣服が今でも作られている有り様を伝える。 カジの木の原産地は中国南部から台湾。そこから4000年にわたってフィリピン、インドネシア、オセアニア、日本などに伝わったという。北村さんらは正確を期するために各地でDNA鑑定を行っている。茨城県内にはコウゾはあるが、カジの木はほとんど見かけない。コウゾはカジの木とヒメコウゾの交配から生まれたものだ。 この映画を作るために、国内の4人の織物作家(山口源兵衛、石川文江、西川はるえ、妹尾直子)が帯や幡(はた)、紙布を作る。その苦労する過程が克明に映し出される。 映画の最後は、日立市の大甕倭文(おおみかしず)神社にある宿魂石上(しゅっこんせきじょう)で、神話に出てくる倭文神「建葉槌命(たけはづちのみこと)」(大和朝廷側)がまつろわぬ星の神「香香背男(かがせお)」を、倭文織を使った呪術的な力で圧倒する場面。この場面だけがフィクションである。 冒頭に戻る。今回のシンポジウムのタイトルに「静御前と倭文」とある。静御前が鎌倉鶴岡八幡宮で歌ったという「しずやしず 倭文の環(おだまき) くりかえし 昔を今になすよしもがな」から採ったと思われるが、静御前と倭文の関係について、今後の研究に期待したい。(元瓜連町長)

つくば、土浦で「二十歳のつどい」

12日の成人の日を前に、つくば、土浦両市で11日、「二十歳のつどい」がそれぞれ催され、20歳を迎えた若者たちの門出を祝った。 手荷物検査など今年も厳重警備 つくば つくば市の式典は同市竹園のつくばカピオで催された。出身中学校別に午前と午後の2部制で行われ、合わせて計1950人が出席した。 同市では2017年の成人式で逮捕者を出したのを契機に、翌18年から手荷物検査をはじめ多数の警備員や警察官が厳重警備を実施。会場近くの道路はバリケードを設置して通行止めにし、会場に隣接する大清水公園などを警備員や制服・私服警察官が巡回した。名前入りのぼり旗を掲げた10人前後の若者の一団が現れたが、市職員らの指示に従いのぼり旗を一時預かり所に預け、大きな混乱は見られなかった。 式典では、新成人代表の長谷川莉生さんが誓いの言葉を述べ「違いを受け入れ、互いの価値観を尊重しながら未来を描き築いていくこと、それが二十歳を迎えた私たちに求められる姿勢だと感じています」と話した。 五十嵐立青市長は、つくば育ちの宇宙飛行士、諏訪理さんが、宇宙飛行士の選抜試験に一度は落ちながらも苦難の末に夢を成就させたエピソードを語り「今日の日をきっかけに、皆さんが幸せな人生を歩み続けていくことを心から願っています」と式辞を述べた。 その後、出身中学校の恩師からのビデオメッセージが放映されると、参加者からは感嘆の声が上がった。 式典自体は約30分で終了、終了後は出身中学校ごとに係員が誘導して参加者を退場させた。参加した大学生の中崎遥香さんは「一つひとつの行動に責任を持っていきたい」と、20歳の抱負を述べた。 千葉ロッテ・木村投手がサプライズ 土浦 土浦市の式典は、同市東真鍋町のクラフトシビックホール土浦(市民会館)で開かれ、847人が出席した。 会場前の広場は、参加者らが滞留しないように入場規制が敷かれ、市職員や警察官らが酒類やのぼり旗の持ち込みを警戒した。時折のぼり旗を掲げた改造車が会場付近に数台現れたが、大きな混乱は見られなかった。 式典で安藤真理子市長は、新成人が中学・高校の頃はコロナ禍で、部活動や学校行事などが制限された件に触れ「これまでの難局を乗り越えてきた皆さんは、すでに壁を打ち破る力をもっているはず」「どうか自分の力と可能性を信じて、未来を築き上げていってください」とエールを送った。 出身中学校恩師からのビデオメッセージの後、同市出身で千葉ロッテマリーンズの木村優人投手から「20歳になり、自分も含め自覚と責任を持ち、子どもたちの模範となり、夢を与えられるように共に頑張っていきましょう」とのビデオメッセージがサプライズとして流された。その直後、場内にいる木村投手が紹介されると、場内から歓声が上がった。 代表謝辞で長田舜さんは、コロナ禍での辛い学校生活に触れ「困難な状況だからこそ、支えてくれる人がいることの大切さやありがたさに気づかせてくれました」と感謝の意を示し「今度は私たちがここ、土浦で受けた愛情をこれからの世代へ伝えていく事を約束します」と誓いの言葉を述べた。 参加した、両親がスリランカ出身で同市生まれの大学生、サケンタ・ペレラさんは「将来は科学の分野の仕事を目指している」と語った。専門学校に通う知久心愛さんは「将来は美容師になっていっぱい稼ぎたい」などと抱負を述べた。(崎山勝功)

「ロビンソン酒場漂流記」で考える学校の魅力《竹林亭日乗》36

【コラム・片岡英明】茨城県教育委員会は2025年7月、高校審議会に対し、中学卒業者数減が大きな課題として、27年以降の「人口減少をはじめとする様々な社会変化に対応した活力と魅力のある学校・学科の在り方について」を諮問した。この内容は18年の高校審と同じで、県が生徒減に伴う県立高の魅力を継続的なテーマにしていることが分かる。今回、私もこの課題を耕してみたい。 この諮問に対する答申案は25年12月の総会で了承されたが、残念ながら、構えは広いが議論が狭く、つくばエリアなど生徒が増えているエリアには目が向けられていない。答申では「活力と魅力ある学校・学科」という大項目に全16ページの3分の2が充てられ、それを3項目構成で記述している。 1項目「高等学校の適正配置・適正規模」、2項目「魅力ある学校・学科の在り方」は前回と同じ構成だったが、前回は「その他」だった3番目を「選ばれる県立高校であるための魅力訴求」とし、「県立高の広報充実と校名・学科名変更の検討」を提案した。 実際の高校受験はどうなのか? 県全体では定員と受験者数はほぼ見合う中、通学上の問題もあり、受験者の偏在と地元からの入学減によってかなりの高校で定員割れが起きている。これに対し、2つの対策で十分だろうか? 確かに、広報や校名の視点も必要だが、その前に大切な点があると思う。 「高校の魅力」を知らせる前に ルポ「ロビンソン酒場漂流記」(加藤ジャンプ著、新潮新書、2025年7月刊)で著者は、駅からも繁華街からも遠く、おおよそ商売向きとは思えない場所で、料理のうまさと大将のもてなしでしたたかに生き延びる酒場をロビンソン酒場と称し、訪ねている。この本を読みながら、県立高定員割れ解決のヒントになると感じた。 そこで、料理(教育)と大将(教師)のよさが光るロビンソン酒場を参考に、定員割れ高校が「ロビンソン高」になる魅力について考える。 では、魅力を広報する前に高校が行うべきことは何だろう。まず、自分たちの学校のよさを確認することだ。受験者減を地元の受験生の「もっと私たちが行きたい学校にして!」の声と捉え、そして各高校に「魅力ある〇〇高校委員会」を作り、皆が知恵を出し合い、学校のビジョンを明確にする。 そのビジョンを地域と共に生きる学校として発信する。具体的には、「学び・青春・進路」での充実した教育、教職員の個性豊かな指導をアピールする。ビジョンを定め、生徒と教師の手作りの学校説明会を行うと、ビジョンに共感する生徒が必ず入学する。そして、これらの生徒を大切にしてロビンソン高校をめざす。 地元生徒も入学するプラチナ高 入学した「こだわり派」の生徒・保護者は、必ず地域で自分の学校のよさを宣伝する。この最初のヒットが次の波を起こし、学校・教師の自信が深まる。魅力が地元に広がるにつれ、学校のイメージが改善、高校の魅力を求め入学する生徒が増える。すると、こだわり派を集めることから始めた遠くにあるロビンソン高校は、地元の生徒も多く入学する近くのプラチナ高校になる。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表) ➡県高校審議会の過去記事はこちら(2025年8月27日付、12月21日付、12月25日付)